『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』
原題:Freeheld
2015年製作
アメリカ映画
チネチッタで鑑賞
監督 ピーター・ソレット 脚本 ロン・ナイスワイナー 撮影 マリス・アルベルチ 音楽 ハンス・ジマー ジョニー・マー 出演 ジュリアン・ムーア エレン・ペイジ マイケル・シャノン スティーヴ・カレル ルーク・グライムス ジョッシュ・チャールズ 原題の意味などの解説は 公式サイトを是非ご覧ください。 『ハンズ・オブ・ラヴ』は 2007年製作シンシア・ウェイド監督の 短編ドキュメンタリー映画 「Freeheld」 (サンダンス映画祭や アカデミー賞などで受賞を重ねました。) を元に長編映画化した作品です。 ニュージャージー州オーシャン郡に住む 勤続20年以上の刑事 ローレル・へスターは 治る見込みのないガンを患い、 自分の死後 一緒に暮らすパートナーの 自動車整備士ステイシー・アンドレに 遺族年金を残そうとしますが、 同性婚は認められておらず、 婚姻関係にないパートナーに 遺族年金を受け取ることはできません。 ローレルはオーシャン郡の委員会へ 異性カップルと同じように パートナーに遺族年金が残せるよう 訴えます。 ドキュメンタリー映画「Freeheld」は ローレルとアンドレが 委員会に訴える様子を リアルタイムで追っています。 私は「Freeheld」は 『ハンズ・オブ・ラヴ』の鑑賞後に 見ました。 『ハンズ・オブ・ラヴ』は素直に感動して 涙もこぼれました。 ガン闘病の描写については 自分の経験から厳しくなってしまいます。 ニット帽被りゃいいってもんじゃないぞ! と、腹が立つこともあります。 でもジュリアンの演技はさすがでした。 『アリスのままで』より、 こちらでアカデミー賞主演女優賞を 取ったら良かったのにと思いました。 エレン・ペイジもいい演技です。 マイケル・シャノンは ジュリアンの刑事の相棒で、 最後までジュリアンを応援します。 スティーヴ・カレルは 実在のLGBTアクティビスト スティーブン・ゴールドスタインです。 演技派の役者たちの誠実な演技に 心を打たれました。 『ハンズ・オブ・ラヴ』は前半、 ローレルの刑事としての仕事ぶり、 2人の出会いや生活も描いています。 彼女たちの衣装や委員会での様子などは 「Freeheld」にかなり忠実な描写。 ただ「Freeheld」は 本人たちをリアルタイムで追った 本当に素晴らしいドキュメンタリーなので、 比べるのは酷な気もします。 『ハンズ・オブ・ラヴ』は 普遍性を持たせて 誰にでも受け入れやすいドラマにするため、 マイケル・シャノン演じる同僚が フィーチャーされています。 委員会の委員の描き方のアレンジも 少し気にはなりました。 でも、それはそれで 脚色としては理解できるし、 マイケル・シャノンの演技も (いつもですが)素晴らしいです。 しかし、ドキュメンタリーを 見てしまうと、 『ハンズ・オブ・ラヴ』では ローレルの命をかけた闘いが 男性の助けがなければ できなかったようにも見え いただけない、 もっと事実通りに 描かれるべきだったという 批評にも頷けます。 しかし、短編ドキュメンタリーは 優れた映画でも 上映やソフト化の機会は多くなく、 有名スターが出演する 長編映画になった意義は 多くの人に届くことにもあります。 同性愛者をカミングアウトしている エレン・ペイジが プロデューサーも務めた本作は 誠実でとても素晴らしい映画なので、 是非多くの人に観て欲しいです。 音楽はハンス・ジマーと ジョニー・マー、 主題歌「Hands of Love」が マイリー・サイラスと豪華! 米連邦最高裁は2015年に 同性婚の権利は合衆国憲法が 認めるところであり、 一部の州で、 同性婚が州法によって 認められていないのは 憲法違反であるとの判断を示しました。 トランプ大統領の元で LGBT活動が 勝ち取ってきた権利が 後退しないか心配です。 そしてさらに 遅れている日本で LGBTへの理解が進むよう この映画が 多くの人に届いて欲しいです。 元気だった頃のローレル本人 ステイシー・アンドレさん本人。 ステイシーさんは 映画の委員会でのシーンの 傍聴席にいる人で 出演しています。 デーン・ウェルズさん (ローレルの同僚)本人 スティーヴ・カレルと スティーブン・ゴールドスタイン さん本人 |
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