『二重生活』
2016年製作 日本映画
試写会で鑑賞
(映画美学校試写室にて)
浜松シネマイーラでは7月23日(土)~
7月29日(金)上映
試写会で観たので
もっと早く記事UPしないとでしたがf^_^;
↓『二重生活』予告動画
監督・脚本:岸善幸
製作:杉田浩光
佐藤順子
富田朋子
原作:小池真理子
撮影:夏海光造
美術:露木恵美子
音楽:岩代太郎
出演:
門脇麦
長谷川博己
菅田将暉
河井青葉
篠原ゆき子
西田尚美
鳥丸せつこ
リリー・フランキー
宇野祥平
岸井ゆきの
ツウ好みなキャストでございます。
あらすじは...
主人公の哲学科の大学院生珠(門脇麦)は、
ゲームデザイナーの卓也(菅田将暉)
と同棲しています。
冒頭は朝からなんとなくなアッサリ系!?
寝起きセックス(^o^;)
菅田くんは今回は草食系男子を
ナチュラルに演じてます。
修士論文を書くために
「文学的・哲学的尾行」をしてみないかと
担当教授篠原(リリー・フランキー)に
示唆される。
相手は無作為に選んだ知らない人で、
利害関係などはない理由なき尾行。
直接接触しないのがルール。
自分の部屋のベランダから見える
家に住んでいる
やり手編集者石坂(長谷川博己)を
尾行することにします。
彼は資産家の親から引き継いだ家に住み
美人で良くできた妻(河井青葉)、
可愛い娘がいます。
珠はおしゃべりなマンション管理人の
おばちゃん(烏丸せつこ)から
情報を仕入れます。
石坂は、
申し分のない生活をしているように見えますが...
本の装丁も手掛ける
売っ子デザイナーの愛人(篠原ゆき子)
がいて、
2人が入ったレストランに自分も入ったり
後をつけてみると、
なんと昼間っから建物と建物の隙間で
濡れ場が始まります。
じっくり!?観察しちゃう珠(〃∇〃)
同じゼミのあやかちゃん(岸井ゆきの)と
約束があるなどと卓也には嘘をついて
尾行にのめり込んでいく...
で、色々ありまして、
ついに石坂に尾行がバレてしまいます。
そしてなんと次は
ターゲットを篠原教授に変更。
篠原教授には入院中の母親がいて
余命も告げられています。
今まで母に紹介していなかった
妻(西田尚美)を病院に連れて行きます。
でもその妻は実は...
この試写会は娘と行きました。
娘は哲学コースにいます。
正確には
「哲学・倫理・美術史」コースだけど
省略で哲学コースと呼ばれているそう。
娘は美術史専攻です。
哲学コースは
珠ちゃんみたいな地味で真面目な子
ばかりで、
麦ちゃんは
すごく雰囲気出てると言いました。
私の経験からだと
私の大学の哲学科の人たちは
留年する人が多かったです。
今でいうこじらせ系かな。
映画の中で宇野祥平が出てくる
哲学ゼミの飲み会シーンがありますが、
そのゼミの男性たちが
何十年も経っているのに
そのまんまの感じでした...
娘は哲学専攻ではないけど
大学院に行くと言っているし
なんか珠ちゃんタイプというか...
話方がそっくりでええっ!?
と思って観てましたが、
当の娘本人も自分と話し方がそっくりで
びっくりしたと言いました。
残念なことにルックスは似てません(苦笑)
「珠ちゃんはすごく地味な格好をしてるのに、
下着は勝負下着にしてたな~」
な~んて言ってましたよ(笑)
ちなみに娘は珠ちゃんみたいな
地味なメガネっ子ではないです。
あ、すみません、
映画の話に戻ります。
麦ちゃんは地味な哲学科大学院生の
雰囲気とても良く造形していて、
長谷川博己との濡れ場になる
プロセスの所が色っぽい。
濡れ場は露出はファンの期待ほどでは
ないかもしれないですが、
2人のなだれこみ具合とか、
麦ちゃんの上気した表情なんか
地味な時とのギャップもあって
相当エロいんじゃないかな。
もう1人、長谷川博己と
濡れ場のある篠原ゆき子さんも色っぽいです。
原作は50代の設定の編集者なので
佐藤浩市や役所広司、
豊川悦司あたりになりそうかな?
でも長谷川博己にして幅広い年齢層ウケを
狙ったのだと思いますが、
成功してるのではないでしょうか。
スマートで
おやじ臭もなさそうで。
この試写会はアメーバマイスターの募集で
女性限定でした。
上映後に
湯山玲子さんと
ペヤンヌマキさんの
女性目線の「ニュー濡れ場」話など
赤裸々なトークショーがありました。
長谷川博己とリリー・フランキー
の細かい演技を褒めてましたよ。
湯山玲子&ペヤンヌマキ、尾行とセックスは似ている?
「二重生活」ギリギリトーク展開←クリック
リリー・フランキー出演映画は
私は今年これで4本観ました。
『シェル・コレクター』
『女が眠る時』
『海よりもまだ深く』
そして『二重生活』
どれもリリーさんらしいけど
全部違っていて味がありました。
西島秀俊が「尾行」にのめり込む
ウェイン・ワン監督
『女が眠る時』の私の記事です↓
『二重生活』の
岸善幸監督はテレビマンユニオンで
是枝裕和監督と同期。
現在テレビマンユニオン代表取締役常務。
劇場映画はこれが初めてですが
テレビのドキュメンタリーやドラマの
制作やプロデュースをしてきました。
ATP賞、文化庁芸術祭などでの受賞歴がある
映像制作のベテランです。
主人公珠目線での「尾行」映像がスリリング。
撮影の夏海光造はドキュメンタリー畑のカメラマンで
岸善幸監督との仕事も多いそうです。
繊細な技術を使って尾行する
珠の心情を映像で表現していますので、
撮影技法に拘りのある人は
語りたくなる作品でしょう。
監視カメラのモノクロ映像の使い方も
印象的でした。
この映画を観たら、
利害関係のない「理由なき尾行」
したくなるかもしれませんョ。
ストーカーとは違いますからネ。
でも、自分の「生」を哲学的に考証するために
「尾行」するのはかなりハイリスクなことは
間違いなさそうです。
二重生活 (角川文庫)/小池 真理子
原作未読です。
著者の小池真理子さんは
フランス人現代美術家ソフィ・カルの
「本当の話」にインスパイアされて
「二重生活」を書いたそう。
ソフィ・カルの美術展は日本でも
原美術館などで開催されました。
写真と言葉で構成した物語性の高い作品の
制作で知られるソフィ・カル。
1953年にパリで生まれた彼女は
これまでにも見知らぬ人々を自宅へ招き、
自分のベッドで眠る様子を撮影したものに
インタビューを加えた『眠る人々』(1979年)や、
ヴェネツィアのホテルでメイドをしながら
宿泊客の部屋の様子を撮影した『ホテル』(1983年)、
拾ったアドレス帳に載っていた人物に
その持ち主についてのインタビューを行い、
フランスの日刊紙ベラシオンに連載した
『アドレス帳』(1983年)など、
物議をかもす作品を次々に発表してきた。
(OPENERSより)
執拗な好奇心に導かれた
驚くべき制作プロセスによって
うみだされるカルの作品は、
常に観るものの感情を強く揺さぶります。
自身や他者のきわめて個人的で
親密な体験を主題にするカルの作品ですが、
そこに提示されるのは、
アイデンティティ、コミュニケーション、
記憶、知覚といった誰もが日常のなかで向き合う
普遍的なテーマといえます。
生と芸術表現とのあいだに
新たな関係を樹立しようとするカルの試み、
それは、わたしたちの現実のさまざまな場面おいて、
思いもよらない視点をもたらしてくれることでしょう。
(豊田市美術館公式サイト
ソフィ カル-最後のとき/最初のとき より)
本当の話/ソフィ カル
『本当の話』は
「ヴェネツィア組曲」
「尾行」
「本当の話」
の3作品と巻末に
ジャン・ボードリヤールの解説収録。
「ヴェネツィア組曲」は
カルが街で見かけた男を尾行し観察した記録で
ヴェネツィアまで追っかけて行く執拗さ。
「尾行」は尾行している自分を
母親に依頼者になってもらい
探偵に尾行させ写真付で報告させる。
(実際の自分の行動と違うところも)
尾行する主観の自分と
尾行される客観の自分により
自己存在の二重性を作品として表現。
「本当の話」で風変わりな
自分の人生を
誰も撮らないような写真とともに綴る。
(例えば、別れる夫がバケツに
おしっこをするその局部を
自分が二人羽織のように持っている。
それをスタジオでプロのカメラマンに
撮ってもらったもの。
アメブロには貼れませんが
ネットに画像はありますよ)
ソフィ・カルに比べたら
麦ちゃん演じる珠なんて、
可愛らしいもの。
ソフィ・カルの美術展の展示。
今週劇場鑑賞した映画
『日本で一番悪い奴ら』
東映の昔の実録シリーズを彷彿させるエンタメ作品。
ギラギラ感、あぶら感、汗が足りないという
向きもあるでしょうけど、
良く頑張っていて私は面白かったです。
『うつくしいひと』
熊本地震チャリティー上映。
地域起こし映画が地震前の熊本城など
貴重な風景を記録した映画にもなりました。
『ファブリックの女王』
フィンランドの人気ファッションブランド
「マリメッコ」創業者アルミ・ラティアの人生を
リハーサル中の劇中劇とその制作過程も見せる
という手法。
『ファニーとアレクサンデル』の
プロデューサーヨールン・ドンネルが監督。
ベルイマンの劇中劇へのオマージュもある。
分かり易い伝記映画とは言えないから
戸惑う人もいるのだろう。
自分の理解を越えていたり、
自分が期待していた内容と違うと
すぐにつまらなかったと
低評価する人がいるけど
それは気にしないで
興味ある人は観た方がいいですよ。
『COP CAR コップ・カー』
『お盆の弟』大崎章監督と脚本家足立紳コンビの
トークショー付きで観ました。
子役2人が上手く、
悪徳警官ケビン・ベーコンが画になるの。
話は単純だけど見せ方がすごく上手くて面白い。
鑑賞した映画の短評は↓
ツィッター eigajikou←クリック
アメーバ映画時光の「なう」←クリック
に鑑賞後随時投稿しています。
ぜひ読んで下さい。
毎週月曜日に「なう」への投稿が
まとめてブログにUPされます。
インスタグラム始めました。←クリック
ヴィゴ・モーテンセン新作「キャプテン・ファンタスティック」
マット・ロス監督