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この国の空 感想 戦時下、少女から女になってゆく里子を二階堂ふみが魅力的に演じる静かな戦争映画

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『この国の空』

浜松シネマイーラでは9月19日(土)~10月2日(金)上映

2015年製作
日本映画
シネリーブル池袋で鑑賞








↓『この国の空』予告動画


監督・脚本:荒井晴彦

原作:高井有一
詩:茨木のり子
製作:奥山和由
プロデューサー:森重晃
撮影:川上皓市
美術:松宮敏之
照明:川井稔
録音:照井康政
編集:洲崎千恵子
音楽:下田逸郎
柴田奈穂

出演:二階堂ふみ、
長谷川博己
富田靖子
利重剛
上田耕一
石橋蓮司
奥田瑛二
工藤夕貴

高山有一の小説が原作。

あらすじは...
戦時下の東京で19歳の里子(二階堂ふみ)は、
父を結核で亡くし、
母(工藤夕貴)と2人暮らし。
ある日、
横浜の空襲で焼け出された伯母(富田靖子)が
転がり込んで来て、居候することになる。
里子は隣に住む妻子を疎開させた
銀行支店長の市毛(長谷川博己)の
身の回りの世話をするうちに彼を愛してしまう。


この映画には空襲で直接被害に遭う場面は
ないですが、
子どもたちが疎開でいなくなった静かな町で、
いつ、自分も空襲で死ぬかもしれないという状況です。
恋もせず、男性も知らずに死んでしまうのかと、
里子にはやるせない思いがあります。
疎開させた妻、子どもとの絆を守りたいと
新聞の切り抜きを送ったりしている市毛ですが、
自分の身の回りの世話を何くれとなくしてくれる
美しい娘が傍にいればたまらないですよねェそりゃ。
本土決戦になったら自分も兵隊になって
闘わなければならないという恐れも抱いているし。
こういう状況で2人は肉体関係を持つことに...
行為の後、水浴びするふみちゃんの後ろ姿ヌードは、
とても美しいです。

このようなセクシーな
グラビアより綺麗でした。


う~ん、でも、
ふみちゃんの色気と言う面では、

『地獄でなぜ悪い』

地獄でなぜ悪い感想
國村隼、二階堂ふみ、堤真一、
長谷川博己、星野源、友近
園子温監督映画愛大爆発
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『私の男』

私の男 感想
二階堂ふみ濡れ場期待の
軽い気持ちで見ると火傷するかも。
浅野忠信も新境地。熊切会心作
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の方があった気がしますが、
(これは男性目線、女性目線の差があるかもしれません)
今回は普通の少女が女になっていく様子が
丁寧に描かれている作品なので、
ふみちゃんの繊細な演技をじっくり見られます。

食事のシーンが多く、
意外に食材も豊富で驚きます。
こういう食事ができる
所ばかりじゃなかったと思いますけど。

焼け出されて居候する横浜の伯母と母の確執は、
富田靖子と工藤夕貴なので、
あまり怖くなかったです。(^o^;)

太秦(東映京都撮影所)でセットを組んで、
フィルムで撮影された映像、
ベテランを集めたキャストの演技も
戦時下の雰囲気が出ていると思いました。




私がこの映画で一番印象に残っているのは、
ラストカットのふみちゃんの表情と、
最後にふみちゃんが朗読する、
茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」です。

私が市毛だったら、
里子よりお母さんに
お願いしたいかもですが、
男はやっぱり若い子好きが
今も昔も主流派か!?






工藤夕貴は44歳ですが、
相変わらず可愛らしいです。
ふみちゃんのお母さん!?って
キャスティング正直びっくりでした。









妻子ある男の言葉など
信じちゃだめよ娘さん゛(`ヘ´#)












正直なところ、
『この国の空』は、
制作された意義はある作品だと思いますが、
個人的にはあまり印象に残らない気がします...
魂に響いてきたり、
心を引っ掻いてくるものがあまりなかったので...

これは8月12日に観たのですが、
同じ日に新文芸坐で名作
『真空地帯』『雲ながるる果てに』
観たのも問題かもしれません...
翌週17日に、岩波ホール戦後70年特別企画
黒木和雄監督「戦争レクイエム」4作品+αで、
『TOMORROW 明日』(1988)
『美しい夏キリシマ』(2002)
『父と暮せば』(04)
『紙屋悦子の青春』(06)
短編「ぼくのいる街」(89)
を、一気観したのも影響してるかも...

『TOMORROW 明日』(1988)の中で、
南果歩のお風呂での後ろヌードのシーン、
明かりが漏れないように電灯を覆った布の中に、
虫が入ってくるシーン、
『この国の空』のシーンと似ていました。
よくあるシーンなのか、
黒木作品へのオマージュなのか?

同じ荒井晴彦氏脚本の戦争映画としては、
『戦争と一人の女』の方が、
映画としての完成度は落ちると思うけど、
印象には残り続けています。

戦争と一人の女 感想 
江口のりこ、永瀬正敏、村上淳、柄本明が
坂口安吾世界で勝負!インディー魂炸裂
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「わたしが一番きれいだったとき」
茨木のり子

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
誰もやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように ね

茨木のり子1926年(大正15年)6月12日~
2006年(平成18年)2月17日
19歳で終戦を迎えています。

茨木のり子詩集 わたしが一番きれいだったとき
(豊かなことば 現代日本の詩 7) (豊かなこと.../茨木 のり子



この国の空 (新潮文庫)/
高井 有一












ニャンコなふみちゃん(=^・ェ・^=)

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