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雪の轍/三人吉三/グローリー/コングレス未来学会議/エンリコ4世/時の重なる女/鈴木清順他感想

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『雪の轍』浜松シネマイーラでも上映

『グローリー 明日への行進』
浜松シネマイーラでは9月12日(土)~10月2日(金)

『三人吉三 NEWシネマ歌舞伎』

『コングレス未来学会議』

『メビウス』

『エンリコ4世』

『時の重なる女』

『眠れる美女』

『陽炎座』
『夢二』
『ツィゴイネルワイゼン』

『本日休診』
『好人好日』



6月23日~30日に観た映画





『雪の轍』

角川シネマ有楽町で鑑賞
2014年トルコ、フランス、ドイツ合作
原題:KIS UYKUSU
英題:Winter Sleep
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
出演:ハルク・ビルギネル、メリサ・ソゼン
デメット・アクバァ、アイベルク・ペクジャン

昨年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作。
3時間16分の長い会話劇に引き込まれた。
チェーホフ、ドストエフスキーの小説が
ベースにあるが知らなくても問題ない。
どの登場人物からも人間の精神性が
露わになる普遍性を感じて
心がヒリヒリした。
充実の長丁場。

会話劇は眠くなることがあるけど、
この作品は静かなのに、
心にグサグサ突き刺さる会話に引き込まれて、
眠くなるどころではなかったです。
一昨年のパルムドール『アデル、ブルーは熱い色』は、
アデル・エグザルコプロスとレア・セドゥの
濡れ場は確かに綺麗だったけど、
多過ぎ長過ぎで正直退屈しちゃった。
『雪の轍』はそういう見所はないけど、
人間ドラマ的に深くて刺激的。
ロシア文学の専門家2人、沼野充義氏(主にチェーホフ)
亀山郁夫氏(主にドストエフスキー)のトーク付の回で、
観たので、それも含め、
これはまた1本で書く予定。
『マッドマックス』とは対極にあるような映画だけど、
『雪の轍』も確かにワールドワイドに
普遍性のある作品なのです。

image


昨年のカンヌ映画祭で、
タランティーノとユマ・サーマンから、
パルムドールのトロフィーを受け取る
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督





『グローリー 明日への行進』

TOHOシネマズ川崎で鑑賞
2014年アメリカ映画
原題:SELMA
監督:エイヴァ・デュヴァネイ
出演:デビッド・オイェロウォ、トム・ウィルキンソン
キューバ・グッディング・Jr.、カーメン・イジョゴ
ロレイン・トゥサント、ティム・ロス
オプラ・ウィンフリー、テッサ・トンプソン

1965年セルマでのキング牧師と
全国から集まった人々の闘いを力強く描く。

キング牧師のデビッド・オイェロウォは熱演で素晴らしい。
アカデミー賞主演男優賞ノミネートもれて気の毒。
デビッド・オイェロウォも、
妻のコレッタ役カーメン・イジョゴも、
ジョンソン大統領役トム・ウィルキンソンも、
ジョージ・ウォレス州知事役ティム・ロスも、
好演なのですが、
この主要な役の俳優が皆英国人なのは気になる所。
(他のアメリカ人キャストも良いです。)

黒人女性監督作品がアカデミー賞受賞するのは
ヒラリーが大統領になるより難しいのが現実か。
オプラが大統領に立候補したらどうなんだろ。
これも1本で書きたいところですが。

映画観るとこの「Glory」が今まで以上にグッときます。
↓Common, John Legend









『三人吉三 NEWシネマ歌舞伎』

チネチッタで鑑賞
2015年日本映画
監督:串田和美
出演:中村勘九郎、中村七之助、
尾上松也、笹野高史、坂東新悟、
中村鶴松、真那胡敬二、大森博史、
笈田ヨシ、片岡亀蔵

↓『三人吉三 NEWシネマ歌舞伎』予告動画


渋谷のシアターコクーンで上演された歌舞伎の名作を、
演出・美術を担当した串田和美が
監督を務めて新たな作品として映像化。
ということで、
劇場中継的な映画ではなかったです。
串田和美は記録映画でなく、
劇場の記憶を映画化した
記憶映画だと言っています。
ゲキ×シネも観たことなく、
シネマ歌舞伎も初めてでした。
30分の解説付きの回で観て勉強になりました。
映画は迫力ありました。
本物の舞台で観たくなってしまいます(^o^;)
解説者の方が、
串田さんが歌舞伎に敬意を払って
作ったお芝居だと言われていました。
時代劇に上手く「三人吉三」を融合させた
あるいは「三人吉三」を斬新な時代劇にした、
そんな感じじゃないでしょうか。
歌舞伎は門外漢なので
そのあたりが良く分からないです(;^_^A
音楽、舞台装置、美術が斬新でした。




『コングレス未来学会議』

コングレス未来学会議 感想
レムの原作をアリ・フォルマン監督が
実写とアニメの融合世界で大胆に翻案!
←クリック






『メビウス』

キネカ大森で鑑賞
2013年韓国映画
監督:キム・ギドク
出演:チョ・ジェヒョン、ソ・ヨンジュ
イ・ウヌ(イ・ウンウ)

見逃していたので観ました。
『さよなら歌舞伎町』で好演していたイ・ウヌが
母親役と常連チョ・ジェヒョン演じる夫の愛人役二役を怪演。
当時15歳ソ・ヨンジュもスゴイ。
性欲家族内循環の悪夢的コメディーか。
滑稽さが強調されているので重くなかった。
完全版はヴェネチア映画祭でしか上映されていません。
完全版を見たらもっとグロくて、
ゲンナリするのだろうか?
イ・ウヌのバスト○○疑惑!?で、
どうも目が行っちゃいましたよ(苦笑)




シネマヴェーラ渋谷「イタリア萬歳Ⅱ」で観た作品。



『エンリコ4世』

1984年イタリア映画
マルコ・ベロッキオ監督
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナ―レ

20年前に仮装行列で落馬し頭を打ち
自分をエンリコ四世と思い込んだ男。
彼を治そうと精神科医と元カノが来る。
実は彼は狂っていなかった。
意外性に説得力を持たせる
マルチェロの演技が素晴らしかった。




『眠れる美女』

2012年イタリア・フランス合作映画
マルコ・ベロッキオ監督
出演:イザベル・ユペール、トニ・セルヴィッロ、
アルバ・ロルヴァケル

イタリアの実際の尊厳死を巡る論争の状況下を舞台に、
妻の延命装置を外した政治家と娘、
植物状態の娘を看病する
引退した名女優の母と俳優志望の息子。
薬物中毒で自殺願望のある女性と助けた医師。
3組のドラマと葛藤をナイーブに描き
観る者に思考を促す作品。




『時の重なる女』

2009年イタリア映画
ジュゼッペ・カポトンディ監督

主演のロシア人女優クセニア・ラパポルトが
2009年第66回ヴェネチア映画祭女優賞受賞。
彼女はジュゼッペ・トルナトーレ監督
『題名のない子守唄』でも好演。
ミステリーが似合う女優かな。
ストーリーは何度かひっくり返る。
それよりオチに意外感があった。


シネマヴェーラ渋谷「渋谷実のおかしな世界」で観た作品





『本日休診』

1952年 松竹
出演:柳永二郎、三國連太郎
佐田啓二、鶴田浩二
岸恵子、淡島千景
長岡輝子、角梨枝子、
望月優子、田村秋子

全然休診にならない柳永二郎の人情家の町医者。
戦争で気が触れた元陸軍中尉の三國連太郎、
与太者青年鶴田浩二、
純な佐田啓二他の豪華キャストの
戦後の世相が出ているスラップスティック・コメディー。
とても軽妙で面白かった。
気が触れた中尉役の三國連太郎さんが怪演。
みんな彼に振り回されつつ可愛がっています。
バカな失敗ばかりして重みはまだない
チンピラ青年の鶴田浩二さん、
純情青年が似合っていた頃の佐田啓二さんなどを
観ているだけでにやけてきます。
戦後の貧しい庶民の暮らしも描いていますが、
必ず笑いに持って行くところが楽しい。






『好人好日』

1961年 松竹
出演:笠智衆、岩下志麻
淡島千景、川津祐介
乙羽信子、北林谷栄
高峰三枝子、織田政雄
小川虎之助、三木のり平

笠智衆がいつも雨靴を履き
コーヒーが大好きな変人の数学教授を
ひょうひょうと軽く演じていました。
小津安二郎作品、木下惠介作品とは違った
笠智衆さんの軽い雰囲気が、
なんともおかしいです。
文化勲章を泥棒に盗まれてもわれ関せずの先生で、
周りが困って、てんやわんやの騒ぎ。
岩下志麻、川津祐介カップルが初々しい。
川津祐介姉の後家役乙羽信子さんも笑いのツボ。
娘の岩下志麻が実は戦災孤児だという、
戦後がまだ身近だったことが、
面白いコメディーの中に何気にちゃんと描かれています。


早稲田松竹クラシックス鈴木清順監督「浪漫三部作」







『ツィゴイネルワイゼン』
1980年
原作:内田百閒
原田芳雄、大谷直子
藤田敏八、大楠道代
真喜志きさ子、麿赤兒
樹木希林、玉川伊佐男

『陽炎座』
1981年
原作:泉鏡花
松田優作、大楠道代
加賀まりこ、楠田枝里子
大友柳太朗、東恵美子
麿赤兒、沖山秀子
玉川伊佐男、佐野浅夫
伊藤弘子、佐藤B作
原田芳雄、中村嘉葎雄

『夢二』
1991年
沢田研二、毬谷友子
宮崎萬純、広田玲央名
宮城千賀子、長谷川和彦
麿赤兒、余貴美子
原田芳雄、大楠道代
坂東玉三郎

これはお得でスゴイ3本立て(1300円)と、行って来た。
(スクリーンで観ていなかったので)
鈴木清順監督の
男も女も映像も妖しく耽美な世界にどっぷり浸った。
個人的には不気味で
生死不明な幻想世界に引き込まれる
『ツィゴイネルワイゼン』が一番好き。
今時こんな手の込んだ映画撮れないね。


6月23日~30日に観た映画は13本
6月の劇場鑑賞は46本
今年の累計は126本

昨年秋から今年の春まで闘病中に
見逃した作品が多かったです。
(抗がん剤の後遺症が残っており、
まだ完全に健康になったわけではなくて、
病院通いもあります。)
見逃した作品は名画座で観たり、
WOWOWで録画もしていますが、
なかなか追いつきません。
昨年のベストテンとか、
今年の上半期のまとめとかしておきたいなあと、
考えてはいるのですが...


7月から新作はなるべく1本で書きたいと思っています。









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