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リアリティのダンス感想ホドロフスキー監督新作には優しさと詩情が加わってもう刺激カルト大王じゃない

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『リアリティのダンス』
La danza de la realidad
2013年製作
フランス・チリ合作映画
キネカ大森で鑑賞











↓予告動画


↓トレーラー


監督・原作・脚本   アレハンドロ・ホドロフスキー
編集   マリリーヌ・モンティウ
製作   アレハンドロ・ホドロフスキー
      ミシェル・セイドゥー
      モイゼス・コシオ
撮影   ジャン=マリー・ドルージュ
音楽   アダン・ホドロフスキー
衣装デザイン  パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー

出演:
ブロンティス・ホドロフスキー
パメラ・フローレス
イェレミアス・ハースコヴィッツ
アレハンドロ・ホドロフスキー
バスティアン・ボーデンホーファー
アンドレス・コックス
アダン・ホドロフスキー
クリストバル・ホドロフスキー


ホドロフスキー監督が
自身の暗い少年時代を
こうなってほしかった過去に再構築。
抑圧的だった父を許し、
自分の志を犠牲にした母を救い、
悲惨な境遇の自分に希望を語り、
家族再生を
ホドロスキー家の家内制手工業!?で描く。
(息子3人が出演、音楽担当、妻が衣装デザイン)
末息子アダンの素敵な音楽で
映画が踊っていた。
美しく怪しく幻想的なのに生なましくリアル!




先月『ホドロフスキーのDUNE』
今月キネカ大森名画2本立てで
『エル・トポ』(再見)『ホーリー・マウンテン』観て、
そしてこの新作『リアリティのダンス』です。
アップリンクでトークイベントやっていて行きたいけど、
夜遅くて難しく、キネカ大森で観ました。
トークって聞きたい企画多いけど、
夜9時過ぎスタートのものなどが結構多くて、
参加できないのが残念。
昼間や早い時間の企画に行っています。

熱狂的ファンの多い、
カルト大王アレハンドロ・ホドロフスキー監督の
23年ぶりの新作です。

リアリティのダンス/アレハンドロ・ホドロフスキー

↑この自伝の中の少年時代

舞台は1920年代の、
ホドロフスキー監督が生まれた
チリ北部のトコピージャという海辺の街。
ホドロフスキー監督は1929年生まれなので、
ここで時間も少し操作されてますね。
ロシア系ユダヤ人のアレハンドロ少年は、
元オペラ歌手の母に、
息子をバレエ・ダンサーだった
自分の父の生まれ変わりと信じ込まれ、
父(祖父)の金髪の巻き毛のかつらをかぶらされている。
アレハンドロは、
コミュニストで、権威的、抑圧的な父に
「男らしさ」を強要され、かつらをとられ、
スパルタ教育されることに。
学校では色白・鷲鼻・割礼を受けているなど、
容姿の違いでいじめらている。

こんな傷ついた少年時代を、
今のホドロフスキー監督が、
こうなって欲しかった家族の再生の物語にしています。
キャストに3人の息子たち、
末息子ミュージシャンとして活躍しているアダンは音楽も担当。
妻のパスカル・モンタンドン=ホドロフスキーは衣装デザインを担当。
アレハンドロ少年の父ハイメは、ブロンティス・ホドロフスキー
エル・トポで監督が演じた主人公の息子を、
フルチンで演じていた監督の長男です。
今回も全裸で拷問されたり大変な熱演です。
アレハンドロ少年に瞑想を教える行者を、
『サンタ・サングレ/聖なる血』で主人公を演じた、
クリストバル・ホドロフスキー。
ハイメのコミュニスト仲間で、
アナキストの青年をアダン・ホドロフスキー。

監督は1995年にやはり俳優だった
三男のテオを事故で亡くし、
自我が崩壊するほど落ち込んだそうです。
テオを慕っていた末息子のアダンが、
テオと同じ年になって
この映画を作ろうとしたとのこと。
撮影はトコピージャで行われました。
町並みは80年前と殆ど変っていないそうです。
監督が子どもの頃に行っていたという、
日系人が経営する理容店は今もあって登場します。
両親の店は消失していたため再建されました。

監督は、
『エル・トポ』や
『ホーリー・マウンテン』を作った頃は、
自分の中に優しさがなかった。
本作以前の作品はメタファーを多用して、
直接的に物語を語らなかったが、
この作品は直接的に描いた。
おじいさんが孫に語りかけるように、
自分の円熟の人生を観る人に
語りかけるように作った映画だと
話しています。
個人的の歴史を語る、
家族と作ったアートが普遍性を持つ、
まさにホドロフスキー・マジックです。

詩情があり優しさのある作品です。
でも、そこはホドロフスキー、
他の誰も作れない、
唯一無二の圧倒的な存在感のある作品です。
『エル・トポ』や
『ホーリー・マウンテン』を思い出させる、
毒気も刺激的な描写も健在。
予告の映像はファンタジー的な
美しい所だけ集めてあるので、ご安心ください。
決してオサレな映画などではありません。
肉体の持つ強い生命力も描いているのに、
野暮なボカシがたくさん入って残念です。
ボカシが入っている所といない所の
違いがよく分からないし。


「私は映画以外の、
詩やコミック、
サイコマジック(監督が提唱する独自の心理セラピー)
の発明などで、
23年間想像することを止めませんでした。」
(パンフより)
最後は笑って死にたいけど、
それまでにあと3~5本映画を撮りたいと語っています。
次回作は『フアン・ソロ』で、
一人の底辺にいる人間が犯罪に巻き込まれながら、
自分が人間であることを発見し生きて行くという、
個人的でない物語だそうです。
精力的に活動し続けるホドロスキー監督は、
映画の中でもとても格好イイです。
本当にいつまでも死なないんじゃないかと思えます。















サーカスや小人など
これまでにも描かれてきたモチーフも出てきます。
鉱山労働のダイナマイトの事故で手足を失った労働者たち、
らい病患者たちのプロテストも描かれています。
電力会社が海を汚染して上がってくる腐った魚を、
鳥と貧しい人々が奪い合うシーンもあります。
ハイメは独裁者イバニュスの暗殺を企てます。


↑中央が行者役の
クリストバル・ホドロフスキー。
『エル・トポ』のこの頭を丸めた
アレハンドロ監督に似ています。↓





↑ハイメと小人の女性との
出会いと悲劇も...



↑アレハンドロの母サラは、
オペラ歌手で女優のパメラ・フローレスが演じています。
(スゴイ巨乳です。監督のお母さんが胸が大きかったそうです。)
セリフはすべて彼女が即興で節をつけて歌っていて、
後で音楽担当のアダンがスコアを付けました。



↑アダンはハイメと暗殺に行く
アナキストの青年役で登場します。
     


↑Adanowsky名でミュージシャンとして活動しています。
この映画の音楽も担当していますが、
予告の音楽聞いて戴くだけでも分かりますが、
フォルクローレも取り入れた素敵な音楽です。
彼の音楽で映画が踊っているようです。
アダンなかなかイケメンでもあります↓
  




ブロンティス、アレハンドロ、アダン



ブロンティスとアレハンドロ





『エル・トポ』のブロンティスとアレハンドロ





アレハンドロは詩を読んだり、
ナレーションをしたり、
そっと希望を語ったりします。
この詩や語りが映画の重要な要素でもあります。













↑『リアリティのダンス』と『ホドロフスキーのDUNE』が、
昨年のカンヌ映画祭監督週間で上映されました。
同じく昨年のカンヌ映画祭の
コンペティション部門に出品された
ホドロフスキーにオマージュを捧げた『オンリーゴッド』の
ニコラス・ウィンディング・レフン監督とレッドカーペットを歩く
ホドロフスキー監督夫妻





ニコラス・ウィンディング・レフン監督は、
『ホドロフスキーのDUNE』にも登場しています。
ホドロフスキー監督に、
『DUNE』の絵コンテ入りの企画書を見ながら、
一晩中『DUNE』語り劇場をしてもらったと語っていましたね。
2人とても仲良しです(笑) 







メガネ取ると意外と可愛い!?レフン監督
2人で『リアリティのダンス』の上の方の
写真のシーンを真似ています( ´艸`)



タロットリーディングするホドロフスキー監督
今回来日記念イベントでもしたそうですね。
100人座禅会も応募したけど外れましたよ(><;)












とってもネコ好きみたいです。





妻のパスカル・モンタンドン=ホドロフスキーさんと。


2人は共作でドローイングを制作しています。
日本初公開となるホドロフスキー夫妻共作のドローイング展
「二人のホドロフスキー 愛の結晶」
が、7月17日(木)~9月21日(日)
渋谷のアツコバルーで開催されます。
東急百貨店、Bunkamuraのすぐ近く、
東京都渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビル5F
詳しくはアツコバルーHP←クリック
良く行くユーロスペースの近所なので行ってみようと思います。


↑入場者プレゼントでミニポスターもらいました。


テアトルシネマ系の映画館の会員になっているので、
いつもはサービスデー1000円鑑賞ですが、
今回はちょっと奮発して!?
始めてサービスデー以外の会員料金1300円で観ちゃいました。
映画は見応えあったので満足です。
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『her/世界でひとつの彼女』とか、
アメブロ・マイページの更新情報に、
何件も並ぶくらい、
皆さんご覧になっているなあ...って...
自分は「なう」、「ツィッター」で短評したまま
放置の作品が多いです。
ブログなかなか追いつかず、
『リアリティのダンス』はたくさん記事が並ぶ前に
書いてみようと、
早目にUPしますが、
これはホドロフスキー好きな人しか観ないか(^^ゞ
ブログはついつい長くなってしまうので、
これから、ツィッターくらいの
長さにしようかとも考えてみたり...
それじゃあ読んでくれる人、
今よりもっと減ってしまうかな...
でも、ホント最近ツィッターの方が反応もらえるので、
こんなふうに画像集めるのは時間もかかるし、
ブログも140字に全力投球しようかしらん(^_^;)
ちなみにホドロフスキー監督は
毎日正午から1時間15ツィートすることを日課にしていて、
『ホドロフスキーの365日のツィッター:知恵編』という本も
出版しています。
フランスではホドロフスキー原作のコミックが、
30シリーズ以上出版されており、
今も複数のタイトルを書き続けているそうです。
本当に創造意欲が旺盛ですね。
とても若々しく85歳には見えません。
自分なんかひよっこだァ(゚_゚i)と思います。
旧作と『ホドロフスキーのDUNE』は、
また後でまとめて書く予定です。


猫の目/メビウス



メタ・バロンの一族 上 (ShoPro Books)/アレハンドロ・ホドロフスキー



メタ・バロンの一族 下 (ShoPro Books)/アレハンドロ・ホドロフスキー



ホドロフスキーのサイコマジック・ストーリー [DVD]/デシレ・ジオルゲッティ



アレハンドロ・ホドロフスキー DVD-BOX/


ホーリー・マウンテン HDリマスター版 [Blu-ray]/
アレハンドロ・ホドロフスキー,ホラシオ・サリナス,ラモナ・サンダース


エル・トポ HDリマスター版 [Blu-ray]/
アレハンドロ・ホドロフスキー,ブロンティス・ホドロフスキー,デヴィッド・シルヴァ


サンタ・サングレ/聖なる血 アクセル・ホドロフスキー,ガイ・ストックウェル,ブランカ・グエッラ


『かしこい狗は、吠えずに笑う』


400表



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