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ぼくらの亡命 感想 須森隆文が目に焼きつく。安易な共感など寄せ付けない映画があってもいいじゃない

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『ぼくらの亡命』

6月24日より渋谷ユーロスペースで公開

東京フィルメックス2016で鑑賞

2017年製作 日本映画

 

 

 

『ぼくらの亡命』予告動画←クリックで公式サイトへ

 

『ぼくらの亡命』←クリックで公式サイトへ

 

監督・脚本・編集・美術・録音・音響効果・整音

制作・プロデューサー:内田伸輝

 

撮影監督・スチール・カラーグレーディング

美術・衣装・メイク・制作・プロデューサー:斎藤文

 

内田伸輝(脚本・監督・編集)

斎藤文(ムービー・スチール撮影)

による映像制作ユニット、映像工房NOBUを運営。

公私にわたるお二人のパートナーシップ、

資金も自前で完全自主制作された作品。

 

出演  須森隆文、 櫻井亜衣、 松永大輔、

入江庸仁、志戸晴一、松本高士

鈴木ひかり、椎名香織、森谷勇太

高木公佑

 

主人公昇は東京近郊の森でテント暮らし。

(ホームレス)

人々への恨みつらみを半紙に筆で書いて

テントに貼り付けている。

親戚のおじさんが世話してくれた

バイトもやる気が無く続かない。

ある日美人局をさせられている女性

樹冬(きふゆ)に出会い興味を持つ。

彼女をその境遇から助けようと考えて誘拐し、

情夫の重久に身代金を要求するが相手にされない。

重久に捨てられたくない樹冬が重久の所へ戻ると

もう新しい女に美人局をさせていた。

樹冬は逆上して重久を刺して逃げる。

それを見ていた昇は樹冬に自分が確かめたら重久は死んでいた。

と嘘をつき、2人で日本を出ようと言う。

2人の北へ向かう逃亡生活が始まるのだが…

 

共感できなかったとか、

共感できる人物がいなかった

といった言葉を見かけるけど

それで映画を評価するのかと私は不思議で仕方ないし、

自分が共感できたかできなかったかという

ところでの映画についての語りには興味がない。

(ついでに言うと好き嫌いが分かれる作品だとか

私には合わなかったとかいうこともどうでもいい。)

『ぼくらの亡命』には

およそ簡単に共感できる人物は出てこない。

特に主人公はしょうがない男。

やさぐれてる、甘えてる、

依存性が高くてひとりじゃいられない。

「亡命」って言い出すのも

笑えるくらい情けなくて幼稚。

監督は今の排他的な世界の状態を

恋愛映画で描きたいと考えたそうだ。

これ恋愛映画かな。

男と女の関係性を描いているけど

いわゆる一般的な恋愛映画ではない。

歪んだ破滅的な依存関係の果てに男が見た世界。

絶望の向こうにも何かがある。

という監督のまなざしの象徴であろうラストシーン。

苦労して撮影したそうだがとても印象的。

書道は書と自分と真剣に向き合わなければならないけど、

昇がしていたのはただの筆書き。

さて、昇がどうするのか気になりますね!?

では、映画をご覧下さい。

 

正直しんどい映画だった。

登場人物たちには「何やってるんだよ!」と

言ってやりたい気持ちに駆られっぱなし。(・Θ・;)

それだけ心情的に映画に巻き込まれたということ。

この心のザワつき具合は以前に経験しているな

と考えてみたら、

ダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』(1999年)観た時だ。

(調べたらそう感じたと書いてる人が他にもいた)

ダルデンヌ兄弟の映画は全部公開時に観ているから

時間は経っているけど忘れ難い感覚で思い出せる。

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『ぼくらの亡命』

内田伸輝監督と妻の斎藤文さんが夫婦で作り上げた作品。

監督は今までの作品は撮影期間が短かかったため

この映画はじっくり撮りたいと

お金も自分たちで出し、

キャストが仕事が休みの時に集まって

1年近くかけて撮影したそうです。

主演の須森隆文さんはオーディションで選ばれました。

髭が濃くてすぐ伸びるという条件があったそうです。

ダメ出しを良く聞きながら自分のオリジナリティーを

入れようとする姿勢も

選ばれたポイントだったとのこと。

とても個性的な風貌だし、

この作品の魂込めた主演が評価されてブレークするかも。

私は山本政志監督の実践映画塾「シネマ☆インパクト」作品

『アルクニ物語』『タコスな夜』

『水の声を聞く』

塚本晋也監督『野火』で彼を見ていました。

櫻井亜衣さんのやさぐれぶりも見事です。

 

『ぼくらの亡命』は、

すごい感動作だから是非見て!

と、誰にでも勧められる映画ではありません。

インディー映画を見慣れた人には大丈夫だけど。

強く印象に残る映画を求める人にオススメ。

フィルメックスでの上映版では

登場人物達の会話を周囲の音から

あえて浮き立たせないという整音の意図がありました。

しかし(会話が聞きにくいとの声もあったことからか?)

配給とも相談して

劇場公開用にサウンド調整をしたそうです。

配給は塚本晋也監督作品などを配給しているマコトヤ。

私がマコトヤ配給作品で最近観たのは細野辰興監督

『貌斬り KAOKIRI~戯曲「スタニスラフスキー探偵団」より~』

 

安易な共感など寄せ付けない映画。

それだからの面白さがある。

斎藤文さんの撮影、カラーグレーディングによる

硬質なルック、荒涼とした色調が

作品の世界観を絶妙に表現しています。

斎藤文さん撮影

物語るスチール写真。

映画.COMより

 

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東京フィルメックス2016で。

 

 

東京フィルメックス2016

『ぼくらの亡命』舞台挨拶

 

東京フィルメックス2016

『ぼくらの亡命』

内田伸輝監督Q&A

 

 

 

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内田伸輝監督が、

前回の私の記事をコメント付きで

リツイートしてくれました。

短い紹介記事だったから

これはちゃんとブログ記事

書かねばと思いました(;^_^A

 

6月公開鑑賞予定新作③

ありがとうトニ・エルドマン/ハクソー・リッジ

ふたりの旅路/ぼくらの亡命他←クリック

 

image

監督にはサインもらいそびれました。

これは須森さんにもらったサイン。

 

 

今週劇場鑑賞した映画

 

『セールスマン』

 

『怪物はささやく』

 

Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』

 

『ハート・オブ・ドッグ

犬が教えてくれた人生の練習』

 

『牯嶺街少年殺人事件』2回目

 

『ハート・オブ・ドッグ』

こちらもアーティスト夫婦

今は亡きルー・リード、

ローリー・アンダーソン

愛犬ロラベル

ボウイ、ローリー、ボノ、ルー

 

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