『Playback』
浜松シネマイーラで鑑賞
Playback 感想その1 映画編
(その2 音楽・メイキング・関連動画編を次にUPします)
7月26日(金)まで
↓予告動画はこちら
*第65回ロカルノ映画祭
インターナショナル・コンペティション部門正式出品作品
*第27回高崎映画祭「新進監督グランプリ」受賞
*第22回日本映画プロフェッショナル大賞「新人監督賞」受賞
*「映画芸術」2012年日本映画ベストテン第3位
監督・脚本:三宅唱
出演:村上淳
渋川清彦
三浦誠己
河井青葉
山本浩司
テイ龍進
汐見ゆかり
小林ユウキチ
渡辺真起子
菅田俊
『スパイの舌』『やくたたず』で注目された
三宅唱の劇場映画デビュー作となるドラマ。
自分の行き場をなくしたアラフォーの映画俳優が、
奇妙な体験を通して人生の再生を図る姿を、
温かくも緊張感をはらんだモノクロ映像に映し出す。
三宅監督の才能にほれ込んだ『希望の国』の村上淳が、
彼にラブコールを送って本作の企画を実現させ、
自身も主人公の映画俳優を力演。
『セイジ -陸の魚-』の渋川清彦、『童貞放浪記』の山本浩司、
『東京島』のテイ龍進ら、実力派、個性派をそろえたキャストにも注目。
40歳を目前にして、仕事に行き詰まり、
妻とも別居という苦境に立たされている俳優のハジ(村上淳)。
そんな状況を打破させようと、
旧知のプロデューサーが再起する場を与えようとするが、
当の本人はどこか投げやりでまともに話を聞こうともしない。
ある日、ハジは旧友に誘われて久々に故郷を訪ねることに。
その道中で居眠りをした彼が目覚めてみると、
現在の姿のままで高校生に戻っていた。
困惑しながらも、現在とも過去ともつかぬ高校生活を送りながら、
ハジは次第に人生を見つめ直していくようになる。
(シネマトゥデイより)
19日夜の浜松天神蔵のトークイベント。
『Playback』で楽曲が使われている音楽ユニット「赤い靴」の、
素敵なミニライブもありました。
(この「赤い靴」や、主題歌:大橋トリオ「オールドタイム」についてなど、
動画付で、その2に書きます。)
20日シネマイーラでの舞台挨拶。
この2日でお聞きしたことをご紹介します。
村上さんと三宅監督の出会いは、
三宅監督のデビュー作『やくたたず』を見た村上さんが、
三宅監督に連絡して、
渋川清彦さんと3人で渋谷のタイ料理店で、
5~6時間話したのが始めだそうです。
村上さんは10代の時はスケボーとDJをやっていて、
20代で俳優、モデルや洋服作りをし、
30代になり、35歳くらいから映画館で映画を観ることに
どっぷりはまり、
また何か作りたいという思いがあったそうです。
三宅監督は出かける前から緊張して、
それを克服するため、ええい、ビーサンはいて行こう!
と、思いつき、
やけくそな究極のドレスダウン!?で、
本当にビーサンはいて出かけたそうです。
この映画はデジタル撮影・上映がスタンダードになった今、
あえてフィルム撮影・上映をする作品としました。
35ミリフィルムの映写機がないと上映出来ません。
興行的な成功などは、はなから考えず、
フィルム上映のできる映画館をこつこつ回って
観客と対話しながらの上映方法をとっています。
監督は今すぐ評価される作品ということではなく、
10年後も見た人の中に残っていているような作品として、
この作品を観客と対話しながら育てていきたい。
と考えています。
村上さんは、
映画を休みの日に観に行くことは誰でもすることだけど、
自分は映画の撮影中でも、仕事が終わったら映画を観に行くと。
三宅監督に
「いま仕事が終わったけど、これからの時間で観られる映画で
おススメの物はある?」
と、電話することもあるそうです。
三宅監督は村上さんが映画について
自分のような若輩者と対等に話してくれて
村上さんはスゴイ人だと言われてました。
村上さんが映画館で良く見かける俳優は
シネフィルで有名な西島秀俊さん、柄本佑くん、染谷将太くん、柄本明さん
だそうです。
トークイベント付の上映が面白いので良く行くと言われていました。
先日も千葉真一さんのトーク付『李小龍 マイブラザー』観たそうです。
「最近の日本映画はつまらねえ」と言い切るところがスゴイ。
とのこと。
早稲田松竹で仲代達矢さんの話を聞いたときは、
「最近の俳優は腹から声を出していないから駄目だ」
と言い切って、
ベテラン俳優さんたちは言い切ってくれるところが
気持ちいいそう。
「自分はツィッタ―怖くて言い切れません(笑)」
と言われてました。
ライブを含めて2時間以上のイベントとなり、
面白いお話がたくさん聞けましたし、
撮影も自由。
終了後は、お客さんとの写真撮影やサインや、
対話の時間もたっぷりとってくれました。
20日はシネマイーラで『Playback』上映前に舞台挨拶がありました。
「この映画の見所は?」という質問はよくされるけど、
村上さんは、それは観る人それぞれに違うと思うし、
その人のその時の状態でも変わってくるだろうし、
聞かれたら、心の中で「ふふっと2回笑って」
分かりません。と答えるそうです。
三宅監督は、
俳優の姿を観て欲しい。
村上さんのしわ、
渋川さんの骨格、
菅田さんの声の震え、を。
結局僕たちは俳優さんたちの姿を記録していると。
村上さんはフィルム上映では、
フィルムがだんだん劣化して傷がついてしまったりするけれど、
それがまたいい感じになることも考えてフィルムにしたと言われました。
村上さんは、
シネマイーラでは会員になると、
ロビーにある図書コーナーの本、DVDが2週間無料で借りられることを、
え~無料ですか?
これ、スゴイですから会員になっちゃいましょうよ。
DVDなんて新宿や渋谷のTUTAYAにもないような名作ですよと。
と、ユーモアたっぷりに紹介して下さいました。
(館主の榎本さんの蔵書やコレクションで、DVDは中国、台湾などの
アジア映画が中心です。
井浦新さんがみえた時も図書コーナーの本を読んでみえて、
これ、演技派俳優も思わず注目のコーナです!)
シネマイーラでは今年村上さんが出演された作品は
『希望の国』『戦争と一人の女』『Playback』と3本目の上映で、
改めて仕事に対し身が引き締まる思いです。
と語られました。
信頼できる映画人だなあと、増々ファンになりましたよ。
映画上映終了後はまたお客さんと交流タイムでした。
私は村上さんが若い頃からファンなので、
2晩続けてお話もでき、サインももらい、
記念撮影もできて、本当に嬉しかったデス。
(村上さんの何本かの出演作品についてお話ししました)
三宅監督は気さくで楽しい青年でした
今後の活躍が楽しみです。
今後の活躍が楽しみです。
あそこでフィルム回しているんですよと指差すムラジュン
ロビーでお客さんとお話ししているムラジュン
サインするムラジュンとヴィゴの『偽りの人生』の
ポスターが一緒に入るよう狙いました(笑)
ポスターが一緒に入るよう狙いました(笑)
『Playback』はフィルム撮影・上映の最後の日本映画になるのかもしれません。
光の粒子を感じるとても味わいのあるモノクロ映像です。
映像をぼんやり眺めているだけで、
ああ、映画を30数年、劇場鑑賞してきて良かったなあと、
しみじみ思えたのでした。
映画では、色々不思議なことが起こりますが、
説明的ではないので、
そういうの慣れていない人には向かないです。
映像世界に浸るだけでも価値のある作品だと思いますが、
誰にでもおススメという作品ではないですね。
生気のないお姉さんたちがぼんやり旅をする映画とは違い、
『Playback』の登場人物たちには命を感じます。
「映画芸術」で評価されたからと言って、
理屈っぽい映画ではありません。
でも、観たいと思った方が観て下さると良いと思います。
そういう人には、宝物映画になるんじゃないかなあ。
私もそうなのですけど。
浜松の上映は、イベントを含めて若い方たちが企画してくれました。
感謝します。
シネマイーラでの上映は26日(金)まで。
その後、長野県諏訪郡原村での「星空の映画祭」←クリック
新潟のシネ・ウインド
で、上映があります。
この映画の大ファンで、全国の上映先へ行っている方が、
浜松にもみえていました。スゴイです(ノ゚ο゚)ノ
その2では、『Playback』の音楽関連の動画や、メイキング動画などを、
ご紹介します。
写真撮影は私がしました。
参考に「映画芸術」誌の2012年日本映画ベストテン
1位 『かぞくのくに』(監督/ヤン・ヨンヒ)
1位 『苦役列車』(監督/山下敦弘)
3位 『Playback』(監督/三宅 唱)
4位 『旧支配者のキャロル』(監督/高橋 洋)
5位 『桐島、部活やめるってよ』(監督/吉田大八)
6位 『先生を流産させる会』(監督/内藤瑛亮)
7位 『黄金を抱いて翔べ』(監督/井筒和幸)
8位 『ライク・サムワン・イン・ラブ』(監督/アッバス・キアロスタミ)
9位 『その夜の侍』(監督/赤堀雅秋)
10位 『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(監督/入江 悠)
*『かぞくのくに』『苦役列車』は同率1位
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