『アイアン・ホース』
原題:The Iron Horse
1924年製作 アメリカ映画
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『アイアン・ホース』
1924年製作
ジョン・フォード監督
脚本:チャールズ・ケニオン
ジョン・ラッセル
ジョージ・オブライエン主演
出演:ジョージ・オブライエン
マッジ・ベラミー
C・エドワード・ブル
ウィリアム・ウォリング
若きジョン・フォード監督が
それまでの低予算映画監督から抜擢され
初めて手掛けた大作西部劇です。
この作品の成功で一級監督と認められました。
あらすじ
(後半ネタバレになりますので
ご覧になっていない方は飛ばして下さい)
リンカーンが大統領の時に始めた
アメリカ大陸横断鉄道横断鉄道工事に従事する青年デイビーが主人公。
リンカーン大統領も登場します。
大陸横断鉄道工事に夢を馳せ、
少年デイビーは幼馴染の少女ミリアムと別れ
測量技師の父と西部へ旅立ちます。
途中野営していたらインディアンが現れ、
白人だがインディアンの仲間2本指の男に父は殺されてしまう。
(インディアンの描写は酷く差別的ではないですが、時代の制約はあります)
時が経ちデイビーは青年になり、
大陸横断鉄道工事に従事していた。
ミリアムと再会したが彼女には婚約者がいた。
この金持ちの婚約者はデイビーを亡き者に
しようと謀ったりする鼻持ちならない奴。
(未見の方はここからスキップを)![ヒミツ]()
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インディアンの襲撃や
非常に厳しい労働に耐えて働く男たち。
1869年5月10日
ユタ州プロモントリー・ポイントで
ユニオン・パシフィック鉄道(UP)とセントラル・パシフィック鉄道(CP)との機関車とが向かい合い
ついに東西から工事を進めた鉄道が繋がります。
スキップした方続きは
ここからお願いします。![下矢印]()
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開拓精神に溢れていたころのアメリカを
世界恐慌前の狂騒の20年代1924年に製作しているため元気な映画です。
大陸横断鉄道工事は人手不足で中国人が駆り出されました。
(日本人もいた)
劣悪な労働条件を労働歌にして、
男たちは働く、働く。
柳下さんは即興演奏されますが、
今回はこの労働歌とテーマ曲は
オリジナルで弾いてくれます。
132分の長尺を即興演奏するなんて
凄過ぎと思ってしまいますが、
これが素晴らしい生演奏だから
迫力ある映像が更に引き立ちます。
上に貼った動画を見ていただくと
アクションシーンの壮大なロングショットと
接近したカット
(クローズアップまでしないのがまたリアル)
の編集がシーンに躍動感を持たせています。
黒澤明監督が手本としたのが頷けます。
ダイナミックな映像だけではなく、
役者の演技も細やかです。
冒頭のデイビーとミリアムの子ども時代の
子役もすごく上手くて可愛い。
男の熱い夢と友情が描かれ
男同士の熱い抱擁も(笑)
男、男、男の熱いドラマの世界ですよ、
なんて淀川長治さんみたいに言いたくなりました(^o^)
探したら淀川さんの解説がちゃんとありましたよ。
デイビーとミリアムの
ロマンスもちゃんとあるのですが
淀川さんはやはり男ばっかのドラマと言っます(^o^)
ここ←クリック
こういうクラシックの名作を書くと
各方面から薀蓄のあるコメントが来るかもなのでビビるなぁf^_^;
(コメント殆どないかもですが(^◇^;)
でもツイッターでの反応は良いのです。)
今年のノーザンライツ映画祭で
カール・Th・ドライヤー監督1922年のデンマーク映画
監督唯一の御伽話映画『むかし、むかし』の
2002年に修復された国宝級フィルムの復元版を柳下さんの生演奏上映で観て
これも豪華な映像にぴったりの素敵な演奏でしたが、
今回はダイナミックな映画なので
演奏も迫力がありました。
柳下さんはとても華奢なのに
あのエネルギーは何処から来るのでしょう。
ど素人な感想ですが本当に凄いです。
『アイアン・ホース』は132分。
サイレント映画の長尺のものは余り観ていないですが、
そういえば作夏シネマヴェーラで
フリッツ・ラング監督
『ニーベルンゲン 前篇・ジークフリード』(150分)
『ニーベルンゲン 後篇・クリムヒルトの復讐』(130分)
を観ました。
これも『アイアン・ホース』と同じ1924年にデンマークの威信をかけて作られた映画で
スペクタクル感がとんでもなかったです。
デジタル技術の進歩というか
正直その悪弊ではないかな、
ダラダラと意味なく長い映画が増えていますが、
サイレント映画は長編でも
密度の濃さが全然違います。
活弁上映もとても楽しいですが、
ピアノ演奏上映も大好きです。
活弁や生演奏が
サイレント映画の作り手たちの熱意までも
伝えてくれます。
そして何と言っても大スクリーンでの上映を観ながら
生演奏を聴けるというのが本当に贅沢なひとときです。
先週私はまたあわや命に関わることになりかねなかった怪我が軽く済んで
入院も短くてホッとしたところです。
ライブ演奏も映画も大好きだから
この『アイアン・ホース』を柳下さんの演奏上映で観ることが出来て、
「ああ、生きてるなぁ」とダイレクトにまざまざと感じましたよ。
とても贅沢な時間でした。
ジャック&ベティでは18日まで
連日15:30〜の上映です!
サイレント映画初体験の方でも気軽に楽しめます。
柳下さんが始めに少し解説して下さいます。
水曜はレディースデイ
木曜はメンズデイです。
オススメします(^O^☆♪
柳下さんとは感動をお伝えしたくて
上映後にお話させて戴きました。
16日は柳下さんを囲んでのお茶会が
劇場1階の横浜パラダイス会館でありますよ!
柳下美恵さんのお連れ合いは
私は購読している
映画皆殺し通信のあの方
今週劇場鑑賞した映画
『イングリット・バーグマン
愛に生きた女優』
『アイアン・ホース』