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ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし 感想 『真昼の不思議な物体』の影響ある!?

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『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
2016年製作
日本映画
2016年:第38回PFF
(ぴあフィルムフェスティバル)
オープニング上映
東京国立近代美術館フィルムセンター



監督・原案・編集:柴田剛
録音・整音:森野順
撮影:高木風太
出演:ギ・あいうえおス
(Gui 0:柴田剛、Gui 1:西村立志、Gui 2:森野順、
Gui 3:堀田直蔵、Gui 4:酒井力、Gui 5:高木風太、
Gui 6:松本哲生、Gui7:加藤至、Gui 8:星野文紀、
Gui 9:吉田祐、Gui?:VP-MONCHI(秦浩司))
ヒスロム(加藤至、星野文紀、吉田祐)、
AbRabbi –油火–、益田文和、岩本守夫
オープニングテーマ:吉田靖 『Heavenly Me』(tuba...disk)

トレーラー←ここクリックで見てね!

前作『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』
<企画>
愛知芸術文化センター
<制作>
愛知県文化情報センター

『堀川中立売』など
過去作のトレーラーも見れます。

山口情報芸術センター[YCAM]←クリック
「YCAM Film Factory vol.1」
自由な映画のありかたを模索する
YCAMのプロデュースのもと
新作映画を製作するプロジェクトの第一弾が
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
です。

柴田剛監督の公式サイト←ここクリックで見てね!

前作の
『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』は
パリのポンピドゥ・センター主催の
「実験映画でもなくドキュメンタリーでもないのだが、
普通の物語の形式からはずれている作品」を集めている
「HORS PISTES 2013」という映画祭で上映されたり、
スペイン・ナヴァーラ州国際ドキュメンタリー映画祭
第8回プント・デ・ヴィスタ国際ドキュメンタリー映画祭 
コンペ部門に選出されています。

『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』←クリック



ギ・あいうえおスとは、
楽器を持たず映画制作のツールを用いて、
音楽のように映画をつくる「バンド」である。
国内外の映画祭において
熱狂的なフォロワーを生み出した前作から6年、
彼らは新しい仲間と旅に出て、
土地と、精霊と、セッションする。
類い稀なるセンスと第六感の映画作家・柴田剛が
再び放つ実験的ロードムービー。
(PFFの紹介より)

映画制作クルーが映画を制作してゆく過程を、
音楽を演奏するバンドと同等のものとして
描くという柴田剛のオリジナルアイデアによって
生まれた「ギ・あいうえおス」。
作品の制作者(スタッ
フ)=登場人物(キャスト)であり、
彼らが語る内容を含む、
映像上に記録されたことは、
全てその場で起きたことでもあります。
ドキュメンタリーのように撮影され、
フィクションとして編集をおこなった
実験的ロードムービーです。
(山口情報芸術センター[YCAM]
プレスリリースより)


これ、読んでもよく分からないですよね?
実はこの映画を見た私も
分かってないと思う(^o^;)
けど、分からなくても
いい気がしています。
この作品を観て
何を感じ、何を考えるかは
本当に自由だと思のです。
「自由な映画のありかたを模索する」
プロジェクトで作られた映画だから、
見る方も自由に観れば良いんじゃないかな。

基本は変わったおっさんたちのロードムービーです。
ヘンな車に乗って山口の秋吉台(カルスト台地)
をウロウロしたり、
(このシーンは私は特に印象的でした)
現実にまじめに変わったことをしている人たち
(建築家や神主さん)
に、会いに行ったり、
遊園地に行ったり
山へ行ったり
炎のパフォーマンスや
京都の元・立誠小学校へ
ダンスパフォーマンスを観に行ったり...
(この2つのパフォーマンスは
すごく迫力あります。)
ヘンな車に乗ったおっさんたちの
ロードームービーといったら
アキ・カウリスマキ監督の
レニングラード・カウボーイズ
連想されるかもですがかなり違います(笑)
おじさん版『スタンド・バイ・ミー』
とも言えるかもですが、
物語とか雰囲気は全く違いますョ。

image


image


上映の後、
大阪芸術大学時代からの
柴田剛監督の友人
山下敦弘監督がゲストのトークがありました。
進行はPFFディレクターの荒木啓子さん。

山下監督がこの映画に関して
話した言葉で言い得て妙なのが

「だから何?と言ったもの負けな
不思議な映画」


以下も山下監督の言葉です。
「誰が作ったかわからない映画」
「監督の不在感」
「下心がない」
「変なピュアさ」
「以前会ったときにUFOの話しかしないから
ヘンだと思ったらこの映画を作っていた」
「やってることはキャッチーでポップ」
「柴田のいいものは全部入っている」
「見てよというしかない」

山下監督の11月3日に公開の
『ぼくのおじさん』は
下心が見える映画だから
どういうことか見てみてくださいと
山下監督が言ってました。
(『オーバー・フェンス』もまだこれから鑑賞な私)

この映画を制作した
山口情報芸術センター(YCAM ワイカム)の
プロデューサーと柴田監督は
「誰が作ったのか分からない映画にしよう」
と話していたそうです。
柴田監督は映画を作るとき、
まず題名を決めるそうです。
今回の
「他山の石を以って己の玉を磨くべし」というのは
監督の卒業した東京の中・高一貫男子校の校訓とのことでした。
それで、調べてみたら品川のK校でした。
この言葉は詩経の一説であり、
学校創設者の近藤真琴(明治六大教育家の一人)
の言葉ということです。
校訓は「誠意・礼譲・質実剛健」で
「他山の石以て玉を攻(みが)くべし」は
教育理念だとありました。

でも、この言葉が
映画の内容に関係あるのかなあ?
って正直なところ思ってしまいますが、
そうなったときこそ
「他山の石を以って己の玉を磨くべし」
なのかもしれないです!?
山口情報芸術センター(YCAM ワイカム)では、
制作スタッフは正規職員だそうで、
その都度の外注や契約ではないということです。
これは画期的ですよね。
なので、
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
は、本当に変わった内容の映画ですが、
映像はしっかりした作りです。
モノクロのルックの陰影は美しいし、
カメラワークも構図も決まっています。
音もいいです。
山下監督の言葉通り
観てもらうしかない気がします。
私は観終わって「何だこりゃ?」と
思いました。
これ、ディスってるんじゃないですよ。
とにかく風変わりで
観たことないタイプの映画です。
正直なところ何だか良く分からないけど、
細部を忘れても
作品を忘れることはまずありえないです。
強力に記憶されました。
監督は「なぞの発光体を映画に映したい」と
昔から思っていて、
「空飛ぶ発光体が撮りたい。
UFOを撮るのが目的」
という所から出発したら企画にOKが出て
驚いたと言ってましたよ。
劇中、なぞの発光体、
UFOなのかな!?
が、写っているシーンがあります。
実際にその場所(遊園地)で撮影した映像で
加工はないそうです。
柴田監督は浮世離れした感じがあるのですが、
後で山口情報芸術センターの
キュレーターの方のお話もあり
YCAMは様々な画期的取り組みをしている
施設ということが分かりましたので、
後で少し紹介もしますね。

山下監督があのマイクはR2-D2だろ?
と柴田監督に聞いたら、
「そうそう」と言ってましたが、
柴田監督はスターウォーズが大好きだそうです。

R2-D2のように!?
動くマイク








デヴィッド・リンチや
ヴェルナー・ヘルツォークなど
柴田監督の好きな要素が
たくさん詰まっているそうで、
「ギ・あいうえおス たき火をする」
というテロップの
英語字幕は
「Fire Walk with Me」でした。
これはリンチ師匠
ツイン・ピークスシリーズのキーワード。
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』
の原題でもあります。
「Twin Peaks:Fire Walk with Me」
(炎よ我と共に歩め)
一緒に観ていた娘は
夏にツイン・ピークスの一気見していたので
「うわ~!Fire Walk with Meだ~!」と思ったらしい(笑)




こちらは来年2017年4月にアメリカで放送予定の
ツイン・ピークス新シリーズでも音楽担当の
アンジェロ・バラメンティの9月30日に投稿された
テーマ曲のティーザー・トレーラーです!




私は
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』
観ていて、
アピチャッポン・ウィーラセタクンの
『真昼の不思議な物体』
原題:Dokfa nai meuman
英題:Mysterious Object at Noon
を、連想しましたが、
UFO繋がりでも監督が
『真昼の不思議な物体』を意識したか気になりました。
Q&Aがあったら聞いてみたかったです。




『真昼の不思議な物体』トレーラー


2000年のアピチャッポンの長編デビュー作。
タイを北部から南下して行く撮影クルーが
各地の村や町に立ち寄り、
屋台の物売り、警官、ゴム園の労働者など
人々にマイクを向けて、
「足の悪い少年と家庭教師の話」を
各自勝手に創作してもらう。
年齢も境遇も異なる人々によって
自由奔放に紡がれる物語を、
ドキュメンタリーとフィクションを行き来しながら
ジグソーパズルのように組み立てた作品。

UFO繋がりの風変わりな映画内映画として
最近観た映画では鈴木卓爾監督の
『ジョギング渡り鳥』を想起しました。
こちらは多分
「ギ・あいうえおス」の
撮影手法を参考にしているのではと思うけど
(キャストがスタッフも兼ねている)
内容は神様を探す
モコモコ星人のメタSFです。





『ジョギング渡り鳥』予告動画



『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は、
ビデオインスタレーションではないし、
アートムービーとして制作された作品でもない。
商業映画も手掛ける映画監督が
美術館のオファーで制作した
アートムービーとも違う。
ポスターに
「ギ・あいうえおス」は映画でス。
と書いてあるけど、
これ何?って聞かれたら
「映画でス。」って答えるしかないでス。(^o^;)

YCAM爆音映画祭2016と
PFFでの上映がありましたけど
まだ観た人は少ないと思います。
分析力、解説力、文章力、
どれも足りなくて上手く説明できなくて
すみません。

映画はこういうものだという
自分の既成概念に
揺さぶりをかけてみたい人、
山口情報芸術センターの取り組みに
興味のある人、
風変わりな映画を観たい人、
キャパシティーが広い人、
観てからこのブログに怒鳴り込まない人は
機会がございましたらご覧ください。


『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は、
空を見上げUFOを追う
おっさん達の奇天烈体感型ロードムービー。
こんな滅茶な映画作らせる
山口情報芸術センターYCAMの凄さに感動。
斬新な映像作家を目指す人の
希望の光じゃなかろうか。

市民やさまざまな分野の専門家とともにつくり、
ともに学ぶことを活動理念としながら、
メディア・テクノロジーとの適切な向き合い方、
文化基盤としての情報の可能性、
さらには人間にとっての情報の意味について、
YCAMは幅広いアプローチで探求をおこなっています。
そして、この過程で生み出される表現や学びを
世界に向けて発信し、
次世代を担う人材の育成に寄与することを目指しています。
YCAMHPのYCAMについて←クリック
より

YCAMのプロデュースで
新作映画を製作するプロジェクトの第2弾は、
『サウダーヂ』などの映像制作集団・空族の
『バンコクナイツ』のメイキング映像を製作。

第2弾は染谷将太監督・主演の短編映画。

ということでこのラインナップから見ても
『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』は
異色な感じがして、
巡り会ったことに何かを感じまス。!?


『バンコクナイツ』特報










『バンコクナイツ』特報2



「もしも、森のいきものになったら at YCAM」
ロンドンを拠点に活躍する、
クリエティブ・スタジオ「
マシュマロ・レーザー・フィースト(MLF)」による
バーチャル・リアリティ作品

ここ←クリックで
紹介映像が見られます。
体験してみたいなあ。













山口情報芸術センターYCAM
行ってみたいです。

実は『ギ・あいうえおス~』を観て
ブログに日記的に描いた時、
映画を観た翌日、
横浜の若葉台に行ってきたことも書いたのです。
そしたら、柴田監督が
「僕は若葉台団地の出身」と
ブログにコメントをくれました。
これも「ギ・あいうえおス」の
不思議な力のご縁でしょうか!?

若葉台に呼んでくださったあの方は
この記事読んでみえるかしら(^o^;)




鑑賞した映画の短評は↓

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に鑑賞後随時投稿しています。
ぜひ読んで下さい。
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