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孤独のススメ 感想端正な作りだけど実は変化球なLBGT映画でありがちな人生再生賛歌映画じゃないよ

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『孤独のススメ』

2013年製作 オランダ映画
原題:Matterhorn
チネチッタで鑑賞

浜松シネマイーラでも上映!







↓『孤独のススメ』予告動画


監督・脚本:ディーデリク・エビンゲ
編集:マイケル・レイヒワイン
製作:ハイス・ファン・デ・ウェステラーケン
コラム・フィルム
撮影:デニス・ウィーラート
美術:エルザ・クローネンベルフ
出演:
トン・カス
ルネ・ファント・ホフ
ポーギー・フランセン
アリアーヌ・シュルター
ヘルマート・ウォウデンベルフ
エリセ・スハープ
アレックス・クラーセン

妻を亡くし息子も家を出て
きっちり几帳面、
生真面目すぎる1人暮らしを
送るフレッド。
ひょんなことから
名前も分からない
話も殆ど通じない奇妙な男の面倒をみることになった。

舞台はオランダの美しい田舎の村。
バルビゾン派(はフランスだけど)ミレー、
ゴッホの絵画に描かれるような風景です。
現代だけど、教会の厳格な教えの支配下にあり
質素な暮らしをしている人々。
{カルヴァン主義のオランダ・プロテスタント教会
(オランダ改革派)の厳格な教えを守っている
という描写なのだと思います。}
村の中はいったいいつの時代?という雰囲気。
フレッドの家にも家電話しかありません。
彼は毎日「ヨハン8歳」と書いてある
美しい歌声のバッハのアリアのテープを聴いています。

ちょっと変わったバディムービー的に
売っている感じですが、
この映画は、
「ロッテムダム国際映画祭」
「モスクワ国際映画祭」
などで観客賞を受賞しているほかに、
「サイド・バイ・サイドLGBT映画祭」
「リュブリャナLGBT映画祭」
「ZINEGOAK ビルバオLGBT映画祭」
などのLGBT映画祭で
最優秀作品賞、主演男優賞などを受賞しているのがミソ。
配給会社はLGBT映画でもあるということを強調すると、
間口が狭まると考えたのか?
「すべてを失くした男が、
名前すら持たない男から学んだ幸せとは」と、
『おみおくりの作法』みたいな!?
ちょっとイイ人生再生賛歌的な
ヒューマンドラマで売ろうという宣伝な感じですが、
今の時代、
はっきりとLGBT映画であると謳った方がイイ気もします。
ヒューマンドラマな宣伝では
若い人の食指が伸びないでしょ?
この映画では
友人関係、夫婦関係、
親子関係にLGBTの問題が絡んでくるのです。


日本のポスター、チラシのデザインは
アキ・カウリスマキ映画みたいな雰囲気になっていません?
確かにとぼけたユーモア感は
アキ・カウリスマキに通じるものがあるように思いました。

『街のあかり』


『浮き雲』



『過去のない男』も想起させられます。
いい意味でデスヨ。



几帳面で神経質なフレッド




2人の関係を揶揄する落書きまで
される
ソドム&ゴモラ(見るなのタブー)


牧師とカンプスが
説教に来る




奇妙な男(テオ)が
山羊の真似が上手いため
子どもの誕生パーティーの
余興を頼まれる。







セリフは少なく、
分かり易い説明はないし、
過去をフラッシュバックで挿入したりもしないのに、
ちゃんとフレッドの人生が分かってくる
ストーリー展開がとても上手い。

主人公フレッド役トン・カス
奇妙な男ルネ・ファント・ホフ2人の
表情や佇まい存在感で見せる人物造形、
演技が素晴らしいし、
2人の掛け合いが愉快です。

セリフのある登場人物は
フレッドと奇妙な男
近所の男カンプス(ポーギー・フランセン)
旅行会社の女性サスキア(アリアーヌ・シュルター)
牧師(ヘルマート・ウォウデンベルフ)
くらい。
そしてみんな味のあるキャラクターです。

この映画は端正で古風な顔して、
描いているテーマはLGBTも含めて現代的で斬新です。
「自由に生きる」ってことを
活き活きと瑞々しく描いている素敵な作品です。

『人生は小説よりも奇なり』(95分)は、
ジョン・リスゴー
アルフレッド・モリーナという有名な名優が
いぶし銀の演技で、
この『孤独のススメ』(86分)は、
オランダのベテラン俳優トン・カスと
ルネ・ファント・ホフが巧みな演技で、
心に沁みる素晴らしい短編小説の読後の
満足感に似た感動を与えてくれました。
2作とも監督のオリジナル脚本(『人生は~』は共同脚本)です。
演出も省略法を有効に使い、
観客の想像力を掻き立てます。
ルックや構図、色彩設計、音楽などが素敵なところも
共通していました。


『孤独のススメ』の原題は「Matterhorn」
マッターホルンです。
マッターホルンが
人生における特別な場所として描かれます。
なんと、偶然ではありますが、
昨日観た『さざなみ』にも
アルプスが重要な場所として登場したので
勝手なシンクロを感じました。(笑)
しかし、その場所が持つ意味が、
2本の映画では全く違っていて、
映画の味わいの違いにもなっています。
『さざなみ』のシャーロット・ランプリングは
絶品の存在感と演技です。
でも闘病を経て心が弱くなった私は、
『孤独のススメ』の方が好みではあります。

『孤独のススメ』のクライマックスで
ある人が歌いグッとくる
シャーリー・バッシーの曲
↓This Is My Life (La vita)


こちらも劇中で同じ人物が歌う
↓シャーリー・バッシーの曲「I am what I am」


映画ファンには
シャーリー・バッシーの一番有名な曲はこれかな?
↓「007 ゴールドフィンガー」テーマ曲


これも、
↓「007 ダイヤモンドは永遠に」


これも、
↓「007 ムーンレイカー」



今週観た映画

『孤独のススメ』

『ボーダーライン』

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、
麻薬戦争ものと言っても
こうきたのか!と唸った。
エミリー・ブラントもジョシュ・ブローリンも好演だけど、
ベニチオ・デル・トロに痺れた。

『さざなみ』

原題は「45 Years」
邦題は絶対にフランソワ・オゾン『まぼろし』
原題:Sous le sable(砂の下で)意識してるよね。
(『まぼろし』は25 Yearsの夫婦の物語だった。)
シャーロット・ランプリングの
クールな表情の目や佇まいで全てを語る
存在感、演技が圧倒的で絶品。
ターナーの絵みたいな映画だった。
ただ、地雷映画になる場合もあるかもなので、
カップル鑑賞には向きませんョ。
まァ、それもオツかもですが。なはは。(°∀°)b



私はもう映画を丸ごと楽しみたい。
分析、解説するために
観たくはないのです。
またいつ動けなくなるかもという
思いを抱いて生きていますしね。
詳しく分析、解説したブログはたくさんあるので、
私はおススメしたい映画を
より楽しんで貰えるような情報や
ガイドになることを紹介していきたいです。



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