『奇跡のリンゴ』
TOHOシネマズサンストリート浜北で鑑賞
中村義洋監督とモデルになった木村秋則さんの舞台挨拶付
↓予告動画はこちら
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ
菅野美穂
山崎努
池内博之
笹野高史
伊武雅刀
原田美枝子
日本最大のリンゴ生産地・青森を舞台に、
それまで絶対に不可能だといわれていた“リンゴの無農薬栽培”
に挑戦した木村秋則氏の実話を映画化。
阿部サダヲが木村さんに、菅野美穂が、
農薬に体を蝕まれながら木村さんと共に無農薬栽培に挑む妻・美栄子を演じる。
私財を投げ打ち、11年もの歳月をかけて
信念を貫くひとりの男の姿が胸を打つ物語だ。
青森で暮らす秋則は、リンゴ農家の娘・美栄子とお見合いし、
婿養子になるカタチで木村家に入る。
秋則は、農業は初めてだったが、
農薬によって美栄子の体が蝕まれていることを知り、
義父・征治の協力のもと、私財を投げ打って“リンゴの無農薬栽培”に挑む。
(ぴあ映画生活より)
原作は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」制作班が監修した
「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」
(石川拓治著/幻冬舎文庫刊)
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)/石川 拓治
浜松市とJAとぴあの協力で行われた、
TOHOシネマズサンストリート浜北での
農業関係者向けの試写会に、
知り合いが誘ってくれたので行って来ました。
6月3日だったのでもっと早く書きたかったのですが、
遅れてしまいました。
中村義洋監督とモデルになったリンゴ農家の木村秋則さんの
舞台挨拶がありました。
私は切れていました(笑)
この映画は子役以外にはベテラン俳優しか出てきません。
中村義洋監督らしいユーモアと味のある人間ドラマです。
家族がしっかり描かれていてグッときます。
宣伝では「感動」を強調していると思いますが、
映画では押し売りしていませんので、
大人の映画ファンが安心してご覧になれますよ。
私が観た試写会は、農家の方や、農業関係者の方が大勢観ていたので、
反応にヴィヴィッドな雰囲気がありました。
今、TPP参加の問題が、地道な小規模農業をしている方たちの
生活をおびやかしています。
この映画が顔の見える農業に取り組む方たちへの
エールにもなるといいなあと思いました。
秋山さんは奥さんが農薬に弱いのをきっかけに、
福島正信さんの自然農法の本を読んで、
自分も無農薬リンゴ栽培にチャレンジしました。
私の出身地愛知県蒲郡市ではミカンの栽培が盛んで、
6歳まで住んでいた家のそばにミカン畑があり、
農薬の散布の時のキツイ匂いは今でも忘れられません。(´д`lll)
木村さんが子どもの頃、
時計やテレビなど機械を分解するのが好きだったのを見て、
私も時計やオルゴールを分解して部品を全部きれいに並べて、
自分はすごく楽しかったけど、
叱られたな~って思い出して、
ちょっとドキッとしました(笑)
木村さんはNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』などで、
紹介されて、ご存知の方も多いでしょう。
この映画は、山あり谷あり(←谷が深すぎ(><;)の貧乏のどん底。)
の木村さんの半生を、
夫婦を中心にした家族ドラマとして描いています。
映画ですから、流れ的にできすぎな面も無きにしも非ずですが、
映画から本当のところはもっと大変だったろうなと想像できます。
安倍サダヲは私が今まで見た中では最高の演技をしていました。
木村さんになりきるというアプローチではなく、
一つの仕事にのめり込む男を
ひねりを入れずに素直に造形して好感が持てました。
夫を信じて支える妻の菅野美穂も
明るくて芯のある女性が似合っていて良かったです。
菅野美穂の父親役の山崎努が、
娘婿の意志を尊重する寡黙な父を好演しています。
特に戦争中のガダルカナル島での体験を語るところが見所でグッときます。
私は『藁の楯』のくせのある役より、
こちらの市井の男を味わい深く演じている山崎努の方が、
彼の演技力を堪能できてよかったデス。
木村さんの母親役の原田美枝子も素晴らしかった。
変った息子を子どもの頃からずっと励まし続けますが、
家族の生活を犠牲にしてまで無農薬栽培にのめり込む息子に、
ついに苦渋の「諦めなさい」を告げる所、
それでも、影ながら信じている姿など、
抑えた演技で表現していて素敵でした。
伊武雅刀が常に熱い父で(好演)、
2人のコントラストのバランスも良かったです。
親友の池内博之、リンゴ組合の笹野高史も、
しっかり脇を固めています。
私は日本映画はしっかりした人間ドラマを描くことで、
勝負して欲しいと思っています。
私はお金をかけたエンタメ日本映画にはあまり興味がないので、
特にそう感じてしまいます。
ハリウッド映画や、その影響を受けている韓国のエンタメ映画などと、
(韓国人映画監督が続々ハリウッドデビュー中です)
資金力はかなわないのに同じ様な作品を作って、
同じ土俵で戦う必要なんてないと思っています。
(これには異論がある方、大勢いらっしゃるのは承知の持論です)
海外でも評価を受ける日本映画は人間ドラマ。
先日のカンヌ映画祭で審査員賞受賞の是枝裕和監督の『そして、父になる』
も良い例です。
こんなニュースも↓
『奇跡のリンゴ』が現地時間5月25日までイタリア・フィレンツェで開催されていた
フィレンツェ映画祭にて、
同映画祭唯一の賞である観客賞を受賞した。
同作は、映画祭のメイン会場である
「チネマ・オデオン」で上映された12作品(『るろうに剣心』『ぺタルダンス』など)
を対象に、一般観客の投票で選ばれる観客賞を受賞。
現地での舞台あいさつに登壇した中村義洋監督もこの受賞には大喜び。
「上映中は劇場の二階に陣取り、イタリアの観客の方々の反応を見守っておりました。
老若男女問わず涙を拭われているさまは、
あぁ家族を思う気持ちは国が変わっても一緒なのだなあ、と胸を打たれました」
と振り返った。
さらに上映後のティーチインでは
「なぜあんなに俳優さんのお芝居が自然なのか?」
「どういう演出をしているのか?」という質問があったことを明かし、
「『この映画では日本一うまい俳優さんばかりをそろえたので演出はほとんどしていません!』と答えました。
阿部さん、菅野さん、山崎(努)さん……そういった素晴らしい俳優の皆さんと、
そしてスタッフのみんなに、感謝、感謝です」
と感謝を述べ、喜びを分かち合った。
22日のオープニング上映の際には、
阿部のコミカルな演技に大爆笑が起き、
後半からラストにかけては多くの観客が涙を流すさまが見受けられた本作。
中村義洋監督が登壇した上映後のティーチインは質問が殺到し、
終了予定時間を大幅に超えて日付が変わっても続けられた。
日本のリンゴの農家の話が、
言語も価値観も違うイタリアの地でも大好評を博したという事実は、
本作の魅力が普遍的であるという何よりの証拠に違いない。
[シネマトゥデイ映画ニュース]
第3回フィレンツェ日本映画祭2013という日本映画を紹介する映画祭でしたが、
『奇跡のリンゴ』はイタリア人も好きそうな人情家族映画だと思います。
舞台挨拶で、
中村義洋監督は、
「公開前にこんなにドキドキする作品は初めて。
見ても見なくてもいいから、
こういう映画があることを知ってほしいと思います。」
木村さんは
「私はばかな男でして、
家族みんなが私のようなばかに協力してくれたから、
リンゴが実を結んでくれました。」
と言われました。
木村さんは映画の中の安倍サダヲより、
さらにあっけらかんとした楽しい雰囲気の方でした。
それから、監督が、
「映画の中で説明するのを忘れてしまいましたが、
無農薬栽培に取り組んで10年目にやっと実ったリンゴが、
とても小さかったのは、
木村さんがやっとリンゴの花が咲いたのが嬉しくて仕方がなくて、
花摘みができなかったからです。」と言われました。
そう、聞いたので、調べました。
リンゴの栽培で重要な作業に「花摘み」があります。
大きくて美味しいリンゴを収穫するために、
一カ所に5つぐらいの花が咲きますが、
一番最初に咲く大きな中心の花(中心花)を1つ残して、
まわりの花(側花)は落とします。
全部の花が、実になると1つ1つが大きくならず、
樹に負担がかかりいいりんごができないため。
(手作業の大変手間がかかり、根気のいる作業だそうです)
その後、1株につき5~6個の幼果ができ、
その中から丈夫で形が良く軸の太いものを残し、
他は摘み取ってしまう作業が「摘果」です。
これも「花摘み」同じように、
大きなりんごを作るためには欠かせない作業とのこと。
(そういえば、蒲郡のミカン畑にも、
「摘果をしましょう」という看板が立っていました)
木村さんの10年目に初めてリンゴの花が咲いて、
収穫できたリンゴが小さかったのは、
苦節10年でやっと花が咲いたのがあまりに嬉しくて、
「花摘み」ができなかったから。
この気持ちは映画を観れば納得です。
でも、映画の中で10年目のリンゴが小さくなった理由の描写はないので、
観た人に知らせておきたいこととして、
監督から話がありましので、ご紹介しておきます。
木村さんの半生、
機械類の分解が好きな子ども時代から、
バイクを改造していた高校時代、
リンゴ農家になるのが嫌で、東京に就職。
青森に戻り結婚し、無農薬栽培に取組み成功するまで、
波乱万丈な半生が描かれており、
上映時間は129分と長め。
でも、飽きずに楽しく見ることができました。
中村義洋監督の作品なので、
気にはなっている作品でした。
今年から大学受験生を抱えて節約中のため、
シネコン上映の作品は厳選して観ているので、
スルーの可能性もありました。
観られて良かったデス。
拾い物映画でした。
中村作品は、伊坂幸太郎原作ものが多いですが、
私はどちらかというとそれ以外の作品の方が好きです。
『ルート225』や、
今年観た『みなさん、さようなら』←感想記事のリンクあり。
など。
『奇跡のリンゴ』も良質な日本映画として、
映画館でご覧になって損のない作品だと思います。
木村さんの農法については、
出る杭は打たれる的な面もあると思いますし、
色々な考え、反論もありますね。
唯物論的科学を志向している人には、
受け入れられない体験をしてみえることもあり、
否定的に捉えている方もみえますね。
ただ、そういったもろもろは、
この映画には影響しておらず、
一つの作品として先入観なくご覧になることをおススメします。
お金がないので電話はかけたつもりで話すモノローグ場面。
家族を思う気持ちが切ない味のある場面
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