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ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット 感想 地道な取材で戦争体験者の証言から隠れた歴史を発掘

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『ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット』

2015年製作 日本映画
ユーロスペースで鑑賞





↓『ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット』予告動画


監督・編集:楠山忠之
撮影:長倉徳生 鈴木摩耶 楠山忠之
編集技術:長倉徳生 
聞き手/ナレーション:楠山忠之

出演:
原田要(元・零戦パイロット)

重田常治(元・重巡洋艦乗組員)
重田軍治(長男)
重田康治(二男) 

金城秀夫(ハワイ日系二世)・金城房子(妻) 
タカラ・スエキチ(ハワイ日系二世)
小池良児(太平洋航空博物館・通訳)
リチャード・ジロッコ(元・米海軍航空機関士) 
藤本文昭(「赤土の島」著者 )  
西開地良忠(西開地重徳の弟)  

田村正彦(東京初空襲被害者)
田部井武(東京初空襲被害者)  
堀川喜四郎(東京初空襲被害者)
武部次郎(東京都葛飾区教育資料館)  
平野拓也(葛飾区・法林寺)

ワイキキの浜で-横浜在住の若い夫婦  
ブラジル出身の青年たち 
浅川学園ひかり幼稚園の先生と児童たち    
勢理客ジェーン藤枝(ハワイ-沖縄センター会長)
宮城 BONNIE (同センター・通訳)    
真栄平房佳(沖縄県平和祈念資料館)



原田要さん。
今年の8月に99歳になる最後の零戦パイロット。
長野中学(現長野高校)を中退して、
海軍航空隊のパイロットとなる。
彼の空の闘いは中国本土の南京爆撃から
ハワイ、セイロン島、ミッドウェイ、
そしてガタルカナルへと広がっていった。

戦闘機乗りがみた"南京虐殺事件"の真相。
成功の影で隠蔽されてきた真珠湾攻撃の悲劇
「ニイハウ島事件」の解明。
運命の海戦から空の消耗戦へと
次第に傾いていく日本の戦運。
戦時下の日本軍人の生き様と
零戦神話を支えてきたパイロットの技量。

そして戦後70年を経ても続いている
生き残った者の悲しみが
原田さんを始めとした日米双方の元軍人、
日系ハワイ移民二世、学芸員たちのことばで
私たちに語られていく。

制作・監督は前作『陸軍登戸研究所』で
証言とアーカイブ映像で裏打ちされた
新しいドキュメ ンタリー映画を生みだし、
昨年度藤本賞・奨励賞を受賞した楠山忠之。
(公式HPより)


戦争は幾重にも秘密の壁を生み張り巡らされるから、
「隣の戦場」は見えない。
異なるモザイク状の「ひとりひとりの戦場」を
パズルを解くように紡ぎ取る作業こそ、
「戦争とは何か」に近づくことになる。
「戦争は怖い」だけのイメージでは表層的に過ぎない。
「慣れれば人殺しも平気になる」という刺突訓練を受忍し、
やがて「何人の首を斬ったか」を競争するようにもなる。

ドキュメンタリー映画は、
戦争における人間の不気味さを引き出し、
そこから戦争を孕む社会の在りようまで
深めていかなくてはならない。
そのことが"戦場の現場"と
"遥か遠くテレビの断片だけで知る戦場"
との隔たりを縮める。
(公式HP監督の言葉より)


『ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット』公式HP←クリック

最後の零戦パイロット原田要さんの話から、
繋がっていく、
戦時下を生き延びた人たちの証言。
時の流れに埋もれた歴史の中には、
当時の兵士にも
空襲に遭った子どもにも
遠いハワイの地の日系人にも
それぞれの戦場での体験があり、
それがリアルに語られる。

戦時下に生きた人たちの経験を
しっかり聞けば、
安易な歴史の美化などできないはずだ。
もう過ぎ去った昔のことだと
片付けられないはずだ。

時代の趨勢に流されたくないと考えていても
いつのまにか流されていないよう
自分がどう考え行動すべきか、
常に検証して行かなければ。
本作もそのことを確認させてくれた。

楠山監督の前作『陸軍登戸研究所』も
アンコール上映で観たので、
また紹介したい。





↓『陸軍登戸研究所』


戦前、極秘に進められていた防諜、謀略、
秘密兵器の開発の拠点だった陸軍登戸研究所は、
敗戦を迎え「証拠湮滅」の命令が下されて歴史から消えました。
しかし、今日、当時の関係者が、
そこで何が行われ作られていたかをようやく語り始め、
殺人光線、生体実験への道、毒物・爆薬の研究、
風船爆弾、生物・化学兵器、ニセ札製造と
多岐にわたる研究の実態が明らかになりました。
その成果は、陸軍中野学校を通じて
果たされたものも多くありました。
それぞれに携わった研究員、作業員、
風船爆弾の製造の一翼を担わされた当時の女学生たち、
陸軍中野学校OB、
その他今聞いておかなければ抹消されてしまう歴史を、
勇気ある証言者たちがカメラの前に立ち、
語った映像を6年以上の歳月をかけて追い続けた
渾身のドキュメンタリー。
(公式HPより)

制作に映画学校の学生たちも参加し、
インタビューもしているので、
若者たちの新鮮な視点も活かされていました。
本当に力作だったので見直したくて
販売していたDVDと、
陸軍登戸研究所の研究本を購入しました。


最後の零戦パイロット原田さん
原田さんは長野県で幼稚園を経営しており
この8月11日に99歳になられた。
幼稚園を開いた理由は、
「戦争を止められるのはお母さんの心と、
そのお母さんに育てられた子どもの成長、
それが子どもを戦争から守る
一番の近道だと考えた。」から。



渋谷ユーロスペースでは、
監督とゲストのトークショーが今後も行われます。
情報はこちら↓
「ひとりひとりの戦場 最後の零戦パイロット」ニュース


私は終戦の日の8月15日、
『ひとりひとりの戦場』
封切日のトークのある回に観に行きました。
映画に登場する原田さんは
海軍航空隊のパイロットでしたが、
この日のゲストは
陸軍航空隊で一式戦闘機「隼」の
パイロットだった91歳の関利雄さん。
海軍と陸軍は情報交換をしていなかったそうです。
海軍機は「陸軍基地に着陸するな」
陸軍機は「海軍基地に着陸するな」
と言われていたとのこと。
敵国機の情報は知っていたけど、
見慣れない飛行機だなと思うと
海軍機だったそうです。
全く年齢を感じさせないお元気さ。
貴重な経験談を身振り手振りを交えてリアルに
お話しして下さいました。

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楠山忠之監督


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関利雄さん


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パンフレットにお二人から
サインを戴きました。



昨年の8月15日に私が観たのは、
『軍旗はためく下に』
この記事へのアクセスが多く嬉しいです。

軍旗はためく下に 感想
傑作!!深作欣二監督・脚本、
脚本:新藤兼人、長田紀生。
出演:左幸子、丹波哲郎
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