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ターナー、光に愛を求めて/イタリアは呼んでいる/100歳の華麗なる冒険/ボッカチオ'70/あん他

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『ターナー、光に愛を求めて』浜松シネマイーラ9月19日(土)~10月2日(金)
『イタリアは呼んでいる』
『あん』浜松シネマイーラ7月25日(土)~
『海街diary』
『100歳の華麗なる冒険』
『トレヴィの泉で二度目の恋を』
『フルメタル・ジャケット』
『バリー・リンドン』
『アイズ・ワイド・シャット』
『時計じかけのオレンジ』
『ボッカチオ‘70』
『ポケットの中の握り拳』
『我らの生活』


6月15日~21日に観た映画







↓『ターナー、光に愛を求めて』予告動画


『ターナー、光に愛を求めて』
チネチッタ川崎で鑑賞
原題:MR.TURNER
2014年製作イギリス・フランス・ドイツ合作映画
マイク・リー監督
ティモシー・スポール主演

この作品は昨年のカンヌ映画祭のコンペ部門出品作で、
昨年のカンヌ映画祭の記事で紹介してから、
公開を楽しみにしていました。
マイク・リー監督だから、
演出過剰な伝記ものには
絶対になっていないだろうと確信していましたが、
その通りでした。
ターナーは猪みたいにブヒブヒ言って、
旅をしてはスケッチをして
絵を描いている。
女中といきなりセックスしたり、
元妻が訪ねて来ても無視したり、
晩年は宿屋の未亡人と暮らす。
人間性も複雑です。
マイク・リーがターナーの絵画そのものが
映画的だと言っています。
描写される世界は美しい自然の光景もあるけど、
ターナーが生きた時代(1775~1851)の
綺麗じゃない情景も描かれる。
ルックと構図が非常に美しく計算されていて唸りました。
ここまで完璧な画面設計は滅多にありません。
撮影監督のディック・ポープは
カンヌ映画祭芸術貢献賞を受賞。

私が好きな映画監督たちで、
画家でもあるジュリアン・シュナーベル監督、
美術家でもあるスティーブ・マックイーン監督、
写真家でもあるアントン・コービン監督、
の作品もルック、構図、画面がとても美しいです。

アカデミー賞作曲賞にノミネートの
ゲイリー・ヤーションの音楽もまた
ターナーの画から生まれたように流れます。
マイク・リー監督のいつもの脚本のない撮影方法で、
俳優たちと即興で作っていく有機的な手法です。
これができる俳優しか出してもらえないです。
カンヌ映画祭男優賞受賞のティモシー・スポールは、
ターナーを体現している素晴らしい演技。
ほかの俳優陣も好演です。
特に女性は個性的な人物がたくさん出てきます。
私のブログを読んで下さるブロガーさんは、
あまり監督を追ってご覧になる方はみえないようですが、
私はマイク・リー監督も20年以上見続けて来た作家です。
ストーリーや人物のリアリティーが見事な監督です。
私は絵描きの端くれではあるので、
この作品についてはできればまた1本で書きたいです。
ターナーがヴェネチアへ行くエピソードは、
予算がなくて撮れなかったそう。
マイク・リーほどの名監督にもお金が集まらないのか(><;)
だけど、美術、衣装などの時代考証も素晴らしいです。
見事な構図↓











『イタリアは呼んでいる』
Bunkamura ル・シネマで鑑賞
原題:THE TRIP TO ITALY
2014年製作イギリス映画
マイケル・ウィンターボトム監督
スティーヴ・クーガン、ロブ・ブライドン主演

前作「スティーヴとロブのグルメトリップ」原題:The Trip(2010年)
日本で劇場公開されなかったのはなぜ?
TVシリーズもあるのです。
2010年シーズン1と2014年シーズン2に6エピソードずつ、
12エピソードが放送されました。

スティーヴとロブのグルメトリップ [DVD]/スティーヴ・クーガン,ロブ・ブライドン,マルゴ・スティリー



イタリアは日本でも人気だから、
今回は公開されたのだろうか。
このシリーズ、マイケル・ウィンターボトム監督が
「グルメ&旅・コメディー」とはちょっと意外ではあったけど、
スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンコンビだしね。
この2人は1965年生まれの同年だけど、
先に売れていたスティーヴが
ロブに仕事を紹介したりしてる。
映画では2人の掛け合い、モノマネ合戦が愉快!
映画ネタが満載なので、
これもいずれ書きたいのだけれど。
クリスチャン・ベールとトム・ハーディー役のロブの声が、
マスクを取っても聴きとれないと、
クリストファー・ノーランとやり取りする
助監督役のクーガンのシーンが私は一番笑えました。
ウィンターボトムなのに面白い映画です。
でも、やはりウィンターボトム調というか、
グルメにも観光にも距離感を置いた冷静さ、
彼独特の冷たさを感じる。
太陽が燦燦と降り注ぐイタリア!
ってルックがあまりなかったし。
ちょと安心しましたよ(笑)

それにしても羨ましいのは、
男性は「仕事だ」と言って出かけたら、
後はいつ帰ろうが(何してようが!?)勝手って人、
多くないですか?
この映画の2人もそうです。
最近の若い人たちは違うのだろうか。

私はイギリス映画が好きです。
マイケル・ウィンターボトム監督作品は、
好きな作品とそうでもない作品がありますが、
やはり彼の作品も90年代から観てきました。
スティーヴ・クーガンが好きです。
同年なのでなんだか勝手な親しみもあって。
(マイケル・ウィンターボトムとは
『24アワー・パーティ・ピープル』が有名。
2013年製作のやはりウィンターボトム監督とクーガン主演
の「ミスター・スキャンダル」は、
「未体験ゾーンの映画たち 2015」で上映されました。
この頃は体調が悪くて観に行けませんでした(TωT)
WOWOWでも昨年放送されたけど、
まだ加入していなかったし、観れてなくて残念(ノ_-。))




海街diary 感想 綾瀬はるか、長澤まさみ、
夏帆、広瀬すず好演四姉妹の現代版松竹大船風若草物語
←クリック




新作はこの3本だけ。
後は旧作、準新作です。



キネカ大森名画座2本立て。
「熟年の恋は華麗なる冒険」で、
『100歳の華麗なる冒険』と
『トレヴィの泉で二度目の恋を』



↓『100歳の華麗なる冒険』予告動画


『100歳の華麗なる冒険』

2013年製作スウェーデン映画
監督・製作・脚本:フェリックス・ハーングレン
主演:ロバート・グスタフソン

子どもの時から火薬実験が大好きなアランは、
ひょんなことから20世紀の重要な歴史上の人物たちと
関わる流浪の人生を送ります。
今は100歳で老人ホームにいますが、
100歳の誕生パーティーから逃げたら、
たまたまギャングの大金が入ったスーツケースを
手にすることになり、
またまたとんでもない冒険が始まります。
これ原作は未読だけど読みたくなりました。
『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』
みたいな特殊メイクで、
ロバート・グスタフソンが青年から100歳を1人で演じてます。
私はジャッカスクソジジイはWOWOWで観ました。
すごく下品なんだけど面白くて好きなんです。
『100歳~』はジャッカス程下品じゃないけど、
スラップスティック感満載でとぼけたアランが
重要な歴史上の舞台でおかしなことをやらかして
笑わせてくれます。
見逃していたけど今回観られて良かった!

窓から逃げた100歳老人/


ヨナス・ヨナソン著
柳瀬尚紀訳
柳瀬さん訳ってことだけでも読みたいから、
ぽちりました。




『トレヴィの泉で二度目の恋を』
原題:ELSA & FRED
2014年製作アメリカ映画
監督・脚本:マイケル・ラドフォード
出演:シャーリー・マクレーン
クリストファー・プラマー
マーシャ・ゲイ・ハーデン

『甘い生活』のアニタ・エクバーグに自分を重ね、
マルチェロ・マストロヤンニと
トレヴィの泉に憧れるシャーリーは、
病気で長くはないのだけれど、
人生を楽しむことに余念がない。
妻をなくしてマンションの隣に越してきた
頭がかたくて頑固じいさんのクリストファーに
ちょっかいを出す。
シャーリーの夫役でジョシュ・ブローリン父ちゃん、
バーブラ・ストライサンドの夫というスゴすぎる男、
ジェームズ・ブローリンが渋くちらと出てました。
このところシネマヴェーラの「イタリア萬歳Ⅱ」に
通っていますが、
『イタリアは呼んでいる』と
この映画もイタリア絡み。
最近、アニタは『ボッカチオ‘70』
マストロヤンニは『エンリコ4世』で観ました。
『トレヴィの泉で二度目の恋を』は、
クリストファーとシャーリーの
元気な姿と演技を楽しむ映画じゃないかな。

マイケル・ラドフォード監督の映画は、
『イル・ポスティーノ』
『ベニスの商人』
ドキュメンタリーの『情熱のピアニズム』
を観ていますが、
『情熱のピアニズム』が一番好き。

『情熱のピアニズム』伝説の天才ジャズ・ピアニスト 
ミシェル・ペトルチアーニの太くて短く過激な人生
←クリック

私はトレヴィの泉には20代の時に行ってしまったから、
まだ行ってみたいところはタヒチなので、
もし長生きできたら、
「タヒチのビーチで老いらくの恋」を
目指そうかな。(^o^;)






ムービーマスターズ第1弾
スタンリー・キューブリックの4本をキネカ大森で観ました。
『時計じかけのオレンジ』以外は、
スクリーンで未見だったので良い機会でした。



『時計じかけのオレンジ』1971年
マルコム・マクダウェル主演。
これは30年くらい前学生時代にリバイバルで観ました。
原作を先に読んでいました。
バイオレンス描写は映像技術の進歩などで、
もっと強烈な作品が作られているけど、
人間操作、大衆操作のおぞましさが
強烈で古びてないし、
その後こんな映画は作られていないですね。
今観ても凄い映画です。

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)/
アントニイ・バージェス





『バリー・リンドン』1975年

ライアン・オニール主演。
アイルランドの農家に生まれたバリー・リンドンの
波乱の人生を、
軍隊は全部本物のアイルランド陸軍の歩兵だったり、
ろうそくの灯りだけでの撮影に、
NASAのために開発されたレンズを使用したりと、
完璧主義者のキューブリックが、
18世紀の再現に力を注いだ歴史劇。
確かにこのこだわりの大河ドラマは
スクリーン向けな作品。
繰り返し観ないと良さが分からない作品だそうです。
185分もの尺だから頑張って観た感じで、
私は何回もは無理な気が(;^_^A




『フルメタル・ジャケット』(1987年)

『セッション』のJ・K・シモンズの
しごきと罵倒句が、
ハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)と
比べられることが多かった気がします。
う~ん、それにしてもハートマン軍曹の
下品な罵倒句の方が上じゃない?
厭戦気分満々になる映画ですよ。
やっぱ(しつこいけど)
『アメリカン・スナイパー』観て、
お国のためとか、家族のためとかで、
感動してちゃいかんと思うよ。
マシュー・モディーンはこれでベトナムに行って、
PTSDで『バーディー』だと、
思い込んでいた私...

バーディ [DVD]/
マシュー・モディン,ニコラス・ケイジ,ジョン・ハーキンス


『バーディー』(アラン・パーカー監督)
は1984年で、『フルメタル・ジャケット』の方が後だった...
いつの映画かも忘れててあかんなァ。




『アイズ ワイド シャット』1999年

貞節だと思っていた妻ニコールから、
意外な性的告白をされ、
妄想を逞しくしていくトムちん。
怪しい秘密クラブに潜り込み、
身に危険も迫る。
トムちんの演技は正直ちょっと苦手で、
彼の出演映画は多分20本も観ていないと思う。
でもこの映画はトムの最高傑作じゃないですか?
こんな夫婦の闇映画に出たから
離婚したんじゃないかしらん。
まあ、セックスで仲直りできるような、
夫婦の溝は浅いってことでないですか!?
ちがう!?

私は1日に劇場鑑賞4~5本することもあります。
5本観るとさすがに疲れることもあるけど、
『バリー・リンドン』『アイズ ワイド シャット』
『時計じかけのオレンジ』を3本続けて観たら、
疲れました。(^_^;)
疲れる映画なんてあまりないから、
これは良い体験ではあります。


後は、シネマヴェーラの「イタリア萬歳Ⅱ」
で観た映画。



『ボッカチオ‘70』1962年

『デカメロン』の14世紀の詩人ボッカチオが、
現代に生きていたらという発想で作られた、
イタリア映画4人の名監督による
セクシー・コメディー4編のオムニバス映画。
『自転車泥棒』のネオレアリズモの脚本家
チェーザレ・ザヴァッティーニの発案企画。

第1話
「レンツォとルチアーナ」 Renzo e Luciana 
監督・脚本:マリオ・モニチェリ、
共同脚本:ジョヴァンニ・アルピーノ、
イタロ・カルヴィーノ、
スーゾ・チェッキ・ダミーコ
撮影:アルマンド・ナンヌッツィ
音楽:ピエロ・ウミリアーニ
主演:マリサ・ソリナス、ジェルマーノ・ジリオーリ

職場結婚したら退職しなければならないので、
バレないようにこっそり結婚した
レンツォとルチアーナの涙ぐましい努力を、
面白おかしく。

第2話
「アントニオ博士の誘惑」Le tentazioni del dottor Antonio 
監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ
共同脚本:エンニオ・フライアーノ、
ゴッフレド・パリーゼ、
トゥリオ・ピネリ、
ブルネロ・ロンディ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:ニーノ・ロータ
主演:ペッピーノ・デ・フィリッポ、アニタ・エクバーグ

超堅物のアントニオ博士の家の前の広場に、
アニタ・エクバーグがセクシーなポーズで横たわる
牛乳の宣伝看板が設置された。
博士は卑猥だと撤去を各方面に訴えるが、
撤去されず、だんだんアニタに憑りつかれていく。

第3話
「仕事中」 Il lavoro 
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
共同脚本:
スーゾ・チェッキ・ダミーコ
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ニーノ・ロータ
主演:ロミー・シュナイダー、トーマス・ミリアン、
パオロ・ストッパ

貴族の若夫婦のケンカをヴィスコンティらしい、
豪華な演出で。
貴族の伯爵と新婚のロミー。
夫は女遊びがスキャンダルになっていて、
もみ消し対策を取っているところ。
自分で働きたいと言いだすロミー。

第4話
「くじ引き」 La riffa 
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本:チェザーレ・ザヴァッティーニ、フェデリコ・フェリーニ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
主演:ソフィア・ローレン

くじ引きで一等だと、
ソフィア・ローレンのお相手ができるというので、
おやじたちが騒いでいる。
こんなゴージャスな娼婦はいないでしょうという、
ソフィアが圧倒的に美しくセクシー!

204分の完全版。
(昔は第1話が削除されての公開)
長いですが、
一話一話が面白い。
豪華な監督&スタッフ&出演者。
それぞれの素敵な女優の女っぷりが楽しめました。




『ポケットの中の握り拳』

マルコ・ベロッキオ監督1965年の26歳のデビュー作。
鬱屈した性格のブルジョワ家庭の次男
である主人公のアレッサンドロは
盲目の母親を崖から突き落とし
障碍のある弟は風呂に沈める。
家族、宗教という既存の価値観への
破壊衝動が描かれたアンモラルな作品で、
傑作だそうだけど...
パゾリーニなど名だたる世界の映画人に
絶賛された作品だそうです。
確かに印象強くて、
忘れられないタイプの映画。
でも、自分はこういう破滅型には
距離を置いてしまうなあ。
個人的な思いです。ハイ...
木下惠介監督の『太陽とバラ』思いだし。
こちらの破滅型の方が好きであります。




『我らの生活』2010年

↓『我らの生活』予告動画


監督:ダニエレ・ルケッティ 
出演:エリオ・ジェルマーノ、ラウル・ボヴァ

主人公クラウディオ役
エリオ・ジェルマーノがカンヌ映画祭男優賞受賞。
現代のネオレアリズモと言われる映画。

これは観たかった作品です。
三男の出産で子ども3人を残して
妻に先立たれるクラウディオ。
彼がなんとか立ち直るまで。
マンションの下請け仕事で外国人不法労働者を雇用し、
資金もヤバイ筋から借りて窮地に陥るが
お国柄かの家族の絆に救われる。
子ども達、外国人労働者がとてもリアル。
少し甘めな着地だろうけど個人的には好き。


というわけで、先週は既に書いた『あん』も含め、
13本の鑑賞。
今年の劇場鑑賞本数100本越えました。
今日までで114本です。
最近は新作が少ないですけど。
今週は『マッドマックス』祭ですね。
私も観ますがいつになるかなあ。
当分やってるだろうから急いで観に行かなくても
良さそうだし。










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