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海街diary 感想 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず好演四姉妹の現代版松竹大船風若草物語

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『海街diary』
2015年製作
日本映画
配給:東宝、ギャガ













↓『海街diary』予告動画


↓第68回2015年カンヌ国際映画祭 公式記者会見


↓カンヌ映画祭 公式インタビュー


↓カンヌ映画祭 フォトコール


監督・脚本・編集:是枝裕和
製作:石原隆
都築伸一郎
市川南
依田巽
松崎薫
田口聖
原作:吉田秋生
撮影:瀧本幹也
美術:三ツ松けいこ
音楽:菅野よう子

出演:
綾瀬はるか/香田幸
長澤まさみ/香田佳乃
夏帆/香田千佳
広瀬すず/浅野すず
加瀬亮/坂下美海
鈴木亮平/井上泰之
池田貴史/浜田三蔵
坂口健太郎/藤井朋章
前田旺志郎/尾崎風太
キムラ緑子/高野日出子
樹木希林/菊池史代
リリー・フランキー/福田仙一
風吹ジュン/二ノ宮さち子
堤真一/椎名和也
大竹しのぶ/佐々木都
中村優子/浅野陽子(すずの義母)
小倉一郎/佳乃と坂下の営業先零細工場の社長

あらすじは...
女性と不倫して出奔した父が山形で亡くなった。
その女性との間に生まれたすず(広瀬すず)
は、母も先に亡くしていた。
すずには父が再婚した継母がいたが、
長女幸(綾瀬はるか)は、
自分たち三姉妹と暮らさないかとすずを誘う。
すずは三姉妹(次女佳乃:長澤まさみ、三女千佳:夏帆)
が暮らす鎌倉に来て、
古い日本家屋での4人暮らしが始まる。
祖母の法要に参列するため、
家を出て北海道で結婚した
三姉妹たちの母都(大竹しのぶ)が、
久しぶりに帰ってくる...

美しく繊細な鎌倉の四季の中で
四姉妹が丁寧に暮らしながら、
本当の姉妹、家族になっていく
現代版松竹大船風家族ドラマ。


この作品は既にブログ記事を書かれている
ブロガーさんも多く、
今週は『海街diary』祭な感じですね。
全国323館で公開中で、
興行収入15億円越えが見込める模様。
是枝監督前作の『そして父になる』は、
最終興行収入32億円だったので、
そこまではいかなそうな感じでしょうか。
それにしてもヒットはしているし、
皆さんもうご覧になっているか、
予定してみえるでしょう。
私がここで特におススメ記事を書かなくてもいいかな。
な、感じもするのでですが、
書いておこうと思います。

「時の流れ」が丁寧に美しく描かれた作品です。
今までカンヌ映画祭に出品すると、
自分では意識していなくても
「小津の孫」と言われ、
嬉しくはあるけれど、
正直こそばゆかったという是枝監督。
今回は吉田秋生の原作に、
小津映画の世界を感じたので、
あえて意識したそうです。
舞台は現代だけど、
古い日本家屋や庭を大切に手入れして住み、
漬物や梅酒を漬け、
料理もきちんと作る。
そんなちゃんとした日常の中で、
4人が本当の姉妹、家族になっていく。
何を盛り込んでいくかでなく、
何を削ってシンプルな描写にしていくか、
よく練られています。
思い出の回想シーンがあったりとか、
父の写真が出てきたりもしません。
でも、いなくなってしまった人の気配が、
直截な描写がなくても感じられます。

カメラは『そして父になる』に続いての瀧本幹也。
『そして父になる』はコントラストが強いルックでしたが、
今回は鎌倉の美しい四季が、
全体的にやわらかい光のルックで表現されています。
構図もとても美しいです。
小津映画を意識したローアングルも取り入れたり、
花火大会のシーンでは斬新な高所からの構図もあります。
俳優の芝居は自然なリアリティーがあり、
構図、画面の美しさと両立していて素晴らしいです。


音楽は長澤まさみの推薦があったという、
初めて組んだ菅野よう子。
いつもの是枝作品と違い
劇伴的に音楽が多く使われています。
勿論、繊細な四季の自然の音や
生活音の邪魔はしていませんが。

4人姉妹の人物像もそれぞれ魅力的で、
いきいきとしています。
撮影現場は楽しかったそうで、
そんな雰囲気が画面からも感じられます。
4人それぞれ好演ですが、
広瀬すずは特に存在感が光っていました。
長澤まさみのセクシーショットは
サービスですかね(^o^;)

脇役は是枝作品常連や、
今まで出たことがある人、
初めて参加した人、
それぞれしっかり締めていました。

東宝とギャガが配給の映画ですが、
古き良き時代の松竹大船映画の
テイストを持った作品です。
1年かけて撮った鎌倉の美しい四季の風景、
昭和の丁寧な生活を感じさせる情景、
などを楽しみたい人、
4人姉妹の演技を楽しみに見たい人、
しっかり丁寧に作られた日本映画が観たい人、
ほろっと来る映画だとも思いますし、
いろんな映画ファンのニーズに応えている
大衆性のある映画です。


私は吉田秋生のコミックは、
1990年代前半くらいまでしか読んでいなくて、
この原作も未読なので読んでみたくなりました。
昨年春からにわか神奈川県民になりました。
まだ、鎌倉も江ノ島も行っていないので、
もう少し足の痺れと痛みが良くなってきたら、
ぜひ出かけてみたいなと思いました。


夫の出奔後、
自分も三姉妹を家に残し北海道へ行って再婚した母役の大竹しのぶ。
ちょっとだらしなくて危うい所のある女性を好演。


こんなお店があったらいいなァな優しい食堂のおばちゃんの風吹ジュンと
味のある喫茶店のマスターリリー・フランキー。


優しいけど優柔不断な綾瀬はるかの不倫相手のドクター役。
是枝組初参加の堤真一。


広瀬すずが入ったサッカークラブのコーチ役鈴木亮平も是枝組初参加。


長澤まさみのダメンズな年下の男は坂口健太郎。


夏帆の彼氏で元登山家のスポーツ用品店店長役は
ミュージシャンの池田貴史。


長澤まさみが営業を一緒に回る、
都市銀から地元の信用金庫に転職した課長役は、
是枝組常連の加瀬亮。


広瀬すずのサッカーチームのメンバーで、
クラスメイトでもある風太役は、
『奇跡』にも出演したまえだまえだの弟・旺志郎。


是枝組4回目の樹木希林は大船の大叔母さん役。
『あん』でも本作でも間違いのない樹木希林節。
それぞれ違う役柄を「この人絶対に存在してる」
というリアリティーで演じ、
流石で凄い!


↑『奇跡』(2011年)のキャスト。
『あん』で樹木希林と内田伽羅、
『海街diary』で樹木希林と前田旺志郎が被ってる。


広瀬すずには通しの台本を渡さない方法で撮影したそう。
彼女が変わって行く様子の自然さが上手く出ている。
不幸を経験し、
大人に背負わされた事情を抱えた
複雑な内面を秘めた少女を、
抜群の存在感で演じました。





『海街diary』はとても完成度の高い作品で、
誰にでもおススメできる作品です。

前の記事で『あん』が
暫定今年の新作日本映画のベスト1と書きました。
是枝作品は好きで90年代からずっと
劇場で見続けてきました。
河瀬直美監督の作品は全部は見ていません。
彼女の映画はドキュメンタリー作品の方が好きです。
(是枝監督も河瀬監督もドキュメンタリー出身)
で、『海街diary』も観てみてどうかというと、
暫定マイベスト1は『あん』です。
『海街diary』の完成度の高い
匠の仕事もとても魅力的ですが、
心に強く響いて印象深いのは『あん』の方。
樹木希林と永瀬正敏が「演じる」を通り越した
役を生きている名演で、
静かに差別問題を扱った、
そのテーマ性が深い作品。
心を引っ掻いてくるモノがある作品が好きな
私的な好みもあるのですけどね。



以下は『海街diary』の少しネタバレになるかもな感想です。







終盤に風吹ジュンの二ノ宮さち子と、
4人姉妹の亡くなった父が
同じことを言っていたというくだりがあります。
「美しいものを美しいと思える心を、
最後まで持ち続けることができて良かった。」と。
『海街diary』はこの台詞が言う所の
「美しさ」を描いているのですし、
回想シーンなどの直截な表現でなく、
いなくなってしまった人の「気配」を感じさせる表現に
こだわっているのだから、
台詞を違った言い回しにするか、
台詞でないもので表現して欲しかったなあと思いました。
この人たちと同じ病で死にかける目に合ったので、
余計気になってしまうのかもしれません。
もう一工夫お願いしたかったです。


おまけで『海街diary』の
カンヌ映画祭の写真レポート。

フォトコールで↓










こんな所も写されてますよ。
すずちゃんピンヒールで、
女優してますね。


公式記者会見で↓





公式上映前のレッドカーペットで↓


















テレラマ紙に掲載された
ジェローム・ボンネット撮影による
洒落た写真










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