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戦争と一人の女 感想 江口のりこ、永瀬正敏、村上淳、柄本明が坂口安吾世界で勝負!インディー魂炸裂

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戦争と一人の女
浜松シネマイーラで鑑賞
5月31日まで

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『戦争と一人の女』予告動画はこちら↓



監督:井上淳一
企画・統括プロデューサー:寺脇研
プロデューサー:片嶋一貴
原作:坂口安吾
脚本:荒井晴彦
出演:江口のりこ
    永瀬正敏
    村上淳
    柄本明
    高尾祥子 他

坂口安吾の小説「戦争と一人の女」「続戦争と一人の女」
を映画化した官能文芸ドラマ。
太平洋戦争末期から終戦後の東京を舞台に、
時代に翻弄された男女の交錯する運命を描く。
時代に絶望した作家の野村は、
飲み屋を営む元娼婦の女と刹那的な同棲を始め、
貪るように体を重ねる。
一方、中国戦線で片腕を失い帰還した大平は、
戦場での精神的後遺症から妻との性交渉ができなくなっていた。
しかしある日、数人の男たちに襲われている女を見て、
自分が興奮していることに気がつき……。
元文部科学省官僚で映画評論家の寺脇研氏が企画プロデュース。
若松孝二監督の下で映画作りを学んだ
脚本家の井上淳一が初メガホンをとった。
(映画.comより)

5月19日に企画・統括プロデューサー寺脇研さんと
井上淳一監督の舞台あいさつがありました。

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寺脇研さん


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井上淳一監督


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井上淳一監督とシネマイーラ館主・榎本さん


監督は低予算、タイトな撮影日数の中、
撮った作品であることを説明して下さり、
日本全国でこの作品を上映して、
観客の皆さんと対話したいと話されました。

寺脇さんは橋下徹大阪市長の誤った歴史認識による、
従軍慰安婦をめぐる発言、
沖縄米軍基地でのアメリカ軍幹部も呆れた発言が、
丁度マスコミで騒がれている今、
日本政府が敗戦から3日目に開始した、
「RAA」(特殊慰安施設協会)
((日本に進駐してくる連合軍(大半がアメリカ兵)
兵士のための、
早い話が売春施設である。))
の歴史上の事実も描かれたこの作品を、
一人でも多くの人に見てもらいたいと熱く語られました。

この作品の浜松シネマイーラでの上映は今日までで終わってしまいますが、
これから全国各地でまだ上映があります。
なぜ、もっと早く記事を書かなかったのかというと、
作り手の熱い思いがいっぱいに詰まったこの作品に対する感想は、
生半可には書けないという緊張感がありました。
ちゃんとパンフレットと、
「映画芸術」の特集号も読み込んでからではないと...
そう考えて、
パンフと「映画芸術」を読んだら、
考えがまとまらなくなってしまいました。

むむ、映画制作の世界は本当に大変だ~

パンフレットの内容は大変充実しています。
原作の坂口安吾の小説「戦争と一人の女」(1946年10月)
「続戦争と一人の女」(1946年10月)が
掲載されています。
当時GHQによる検閲があり、「戦争と一人の女」は、
検閲を受けて削除されて部分に傍線が引かれています。
とても面白い小説なのですが、
これ、削除された部分が重要なところで、
なかったら意味がないのがよく分かります。
この小説は坂口安吾の作品としては
あまりクローズアップされてこなかったそうです。
「戦争と一人の女」は、作家の野村が語り手、
「続戦争と一人の女」は女が語り手で、
同じ時を描いていて、同じ場面での2人の考えのずれなどが、
滑稽であったり、
シニカルかつニヒリスティックな作品で、
とても刺激的です。

(この原作には村上淳の演じる強姦殺人犯は出てきません。
これは、実在した人物がいて、脚本に加えられています)

シナリオも語句の注釈付で掲載されていて、
大変興味深く読めます。

それから、スゴイのが、
通常映画のパンフレットって作品のデータ的なことと、
よいしょしたレビューが載っていますよね。
このパンフのレビューは本物のレビューが載っているのです。
ちゃんと不出来な所は指摘したり、
作品の弱点も衝いています。
読み応えのあるレビューばかりでした。

そして、批評家などによる座談会も、
シビアなんですね。

これは、感心しました。
読み応えありすぎで、自分の感想なんて簡単に書けません...
ぜひ、これから映画をご覧になったら、
パンフレット買って読んでみた下さい。

「映画芸術」の特集号はさらに強烈でした。
江口のりこと脚本の中野太、
永瀬正敏と井上監督、
村上淳と脚本の新井晴彦
の対談は、俳優たちの仕事に対する思いに
目頭が熱くなるほど感動しましたが、
内情も赤裸々に語られていています。

他のレビューや、映画人たちによる座談会は、
辛辣に突っ込んでいます。

いや、本当に勉強になりました。
これ、読むと映画の解釈がとても深くなります。
ただ、絶対に映画を観てから読むことおススメします。

初見レビュー的には、
本当に村上淳の芝居には心底痺れたし、
江口のりこ、永瀬正敏の俳優魂にもリスペクトでした。
(永瀬正敏は4日で7キロも体重落としたそうです。
江口のりこも良くこのリスキーな仕事にチャレンジしたなあと思いました)
柄本明もすごくいいんです。

ただ、気になるところも色々ありました。
1200万という低予算で作られているし、
仕方ない面もあるかなあと思ったのですが、
それは、「映画芸術」で専門家たちが
ことごとく突っ込んでいるんです。
ド素人の私でも気になったことなので、
専門家からの指摘はかなり鋭いです。
相当勉強になりました。

性的な描写は想像していたものよりかなりあっさりしていました。
「生きつづけるロマンポルノ」特集上映で、
日活ロマンポルノの名作を観ましたから、
免疫ができていたからかもしれませんけど。
娘も観ましたが、
全然平気だったと言っています。

サイン会の時娘が高校3年だと言ったら、
寺脇さんも監督も驚かれ、
最年少の観客であることは間違いないでしょうと言われました。

ロビーで知り合いと話していたら、
サイン会を終えた寺脇さんがわざわざ来て下さって、
娘と話をして下さいました。
映画の感想をツウィートしたところ、
フォローもして下さいました。


今、私はこの作品、
作られたことに意義のある数少ない日本映画なので、
映画ファンならぜひ観て下さい。
その上で、存分に批評してみて下さい。
としか言えません。
それが、ずるいけど正直なところです。

分かりやすいことを言っている人物の調子のいい言説に、
みんなが何となく振り回されているうちに、
ファシズムに絡み取られていた、
なんてことが起こらないようにしたいと、
この映画を観ても強く思いました。

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同じ日に福岡のKBCシネマでは永瀬正敏の舞台挨拶・サイン会があったそうで、
すみません、羨ましかったりして。

テアトル新宿では写真家永瀬正敏の写真展があったそうで、
これも見たかったなあ。永瀬正敏の写真素敵です。


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