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『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』感想鈴木則文新文芸坐お色気、仇討、博徒、時代劇、風刺等一杯詰まり面白い

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『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』
1973年製作 日本映画(東映)
Sex&Fury
(R-18指定)









↓予告動画(トレーラー)18禁です。


監督 鈴木則文
脚本 掛札昌裕 、 鈴木則文
原作 凡天太郎
企画 天尾完次
撮影 わし尾元也
美術 石原昭
音楽 荒木一郎
録音 堀場一朗
照明 北口光三郎
編集 市田勇
助監督 志村正浩
スチール 藤本武

猪の鹿お蝶 池玲子
仕立屋お銀 根岸明美
恋ながれのお宮 衣麻遼子
汽車乗りのお絹 堀陽子
夜会服のお鯉 丘ナオミ
英吉利お小夜 一の瀬玲奈
貫一 岡八郎
常太郎 林真一郎
ゆき 早乙女りえ
しのぶ 碧川ジュン
八重路 三原葉子
柊修之助 成瀬正孝
太田 白井孝史
宮下 有田剛
五十嵐 森谷譲
黒川義一 河津清三郎
岩倉直蔵 名和宏
加納源太郎 内田勝正
稲村 遠藤辰雄
倉科 有川正治
葛西徳造 殿山泰司
ギネス マーク・ダーリン
市長 中村錦司
羊川実磨 大泉滉
クリスチーナ クリスチーナ・リンドバーグ

猪の鹿お蝶(葛西杏子)が3歳の時、
警視庁の刑事だった父(殿山泰司)が、
汚職の証拠を握っていたため彼女の目の前で殺された。
父が死に際に手にした猪・鹿・蝶の三枚の花札を手掛かりに、
美しく成長した猪の鹿お蝶は、
父の仇を討つ。
イギリスの女スパイ役に
スウェーデンの女優、セクシーモデルの
クリスチーナ・リンドバーグ。

『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』は、
東映映画オーソリティーの皆さんに、
おススメして戴きましたので、
絶対はずせないと観てきました。
事前に英語字幕のフル・ムービーで
予習してしまいましたが、
やはり新文芸坐の大きなスクリーンで観たら
迫力ありました。
冒頭の着物を着た可愛い子ども時代のお蝶が、
京都の伏見稲荷大社みたいな赤い鳥居がいっぱいの参道を、
(舞台は東京の設定ですが、
則文監督が東京撮影所に移られる前だから
撮影は伏見稲荷でしょうか?)
殿山泰司さんと歩いている時に、
彼女が持っていた綺麗ないろどりの絹糸のまりが転がって、
それを追いかける彼女の走る足を追うカメラ、
ぱたぱたというリズミカルな草履の音、
まりが止まった下には凶のおみくじが落ちている。
後ろで刺客に刺される殿山泰司さん。
ここの赤い鳥居、お蝶が着ている着物、
まり、赤い血糊、花札。
これらの色のデザイン構成と構図や
スピーディーな動きと
止まった画面の組み合わせも出色で、
ここからグッと引き込まれます。
荒木一郎氏のロック歌謡のインストっぽい音楽や、
昔の日本を描いた外国映画にありがちな
ちょっとヘンな日本描写のような
チープなセットを使っているのも、
予算の問題もあるでしょうけど、
これ計算ですよね?
全編色と構図には相当なこだわりを感じました。
クエンティン・タランティーノ監督が、
『キル・ビル』で使っている雪の中での立ち回りは、
恰好良さだけでなく色の美しさも追及してますよね。
お蝶がお風呂に入っている所を刺客に襲われ、
全裸でする立ち回り、
雪の中での半裸の立ち回りは、
恰好良くってホレボレです。

則文監督が「上手く耽美的に撮れた」と言われたそうですが、
本当にそう思いました。
素敵な刺青描いてるのは
原作の凡天太郎氏なのでしょうか。
この刺青も血糊が合うんですよね。
明治の日清・日露戦争に勝ち、
一等国になろうと必死だった明治時代を舞台にして、
高度経済成長が終わる1973年の2月に公開されたこの作品、
監督の高度経済成長に浮かれた日本の政治・経済への
風刺も込められていると感じました。
革命家の青年柊修之助(成瀬正孝)が非業の最期を遂げるところは、
70年安保の学生運動、左翼運動の末路への
レクイエム的な意味もあるのかなあと思いました。
でも、これ何気なくストーリーに織り込まれていることで、
基本はエロ・お色気満載のアクション映画ですから。
そこがいいですよね。
説教臭さなんて一切ない面白い映画です。
エロ度もサービス満点。
2本立てで観た『聖獣学園』もそうですが、
レズのお色気濡れ場シーンなど、
『アデル、ブルーは熱い色』より
よっぽどエロいと思います。
『アデル、~』は179分もあって疲れるけど、
『不良姐御伝(88分)『聖獣学園』(91分)と、
とてもいい尺です。
プログラムピクチャーとして長さも制約があったでしょうけど、
この長さの中に面白い要素がいっぱい詰め込んであって飽きません。
岡八郎さんのギャグとか、
トラック野郎にも出てくる、
コンドームを風船にして遊んでしまうとか、
下品な笑いもきちんと入っていました。
繋がりの唐突さとか、
突っ込み所もあえて入れてるんじゃないかと
思えてしまいました。
この『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』では、
父を裏切った母親をお蝶は許さない。
『聖獣学園』では主人公は母親のために父に復讐します。
いずれにしても親と子の確執が、
テーマ的に重い設定になっているのですが、
2本の主人公のお蝶(池玲子)も
多岐川魔矢(多岐川裕美)も、
凌辱されようがリンチされようが、
何があっても信念を貫き通す凛々しい女性で、
エロが売り物だけど、
私の尺度ではフェミ的にも差別感はなく、
清々しく仕上げてあると思いました。
肩肘張らずに観る、
娯楽映画の中に、
色々な要素がいっぱい仕込んであって、
とても面白いです。
ホドロフスキーの映画が好きな人にも、
おススメしたいです。




昨年のシネマヴェーラ渋谷での
天尾完次さん追悼特集のチラシ。
私はまだ浜松にいて観ることができませんでした。







デザイン的にも惚れます


クリスチーナ・リンドバーグさんは、
ロリ顔のスレンダーな体に巨乳という、
日本人にもウケたであろうルックス。
裸の写真が多くて、削除されない物を
選ぶのに苦労しました(笑)








これはスウェーデン国内だけでしょうけど、
ナショナルさんもこんな広告認めたんですね(笑)


クリスチーナ・リンドバーグ主演
『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ~血まみれの天使~』
 They Call Her One Eye (Thriller - en grym film)
 1974年スウェーデン映画(日本未公開)
幼い頃に変質者に襲われて
言葉を発する事ができなくなった美少女・フリッガ。
成長してからも男に騙され、
ヘロインを打たれて売春をさせられてしまい、
しかも客に怪我をさせたとして片目を奪われることに…。
絶望のどん底に陥った彼女は、
同僚が殺された事をきっかけに、復讐を開始する。
バイオレンス・アクション・ムービー。(R-18指定)
(「Oricon」データベースより)




↓They Call Her One Eye (Thriller - en grym film)
 トレーラー


タランティーノがこの映画が好きで、
クリスチーナの眼帯姿を、
『キル・ビル』の殺し屋エル・ドライバー役の
ダリル・ハンナにさせたというのは知られていますよね。


ダリル・ハンナとタラ



クリスチーナ・リンドバーグとタラ


クリスチーナは70年代に女優業は引退して、
ジャーナリズムの勉強をし、
フィアンセのボー・シールベリがオーナーだった
航空誌「Flygrevyn」で働き、
彼が2004年に亡くなった後は、
オーナー兼編集長をしてるんですね↓



タランティーノは女性を
格好よく撮ることに長けているけど、
エロは追及してないですよね。
園子温監督は、
女優の好みや映画のエッセンス、
則文監督を意識してると思うけど、
彼の文学青年的なこだわりが、
まだまだ邪魔をして
映像で語りきれていない感があります。
園監督8月公開の『TOKYO TRIBE』
来年公開の『ラブ&ピース』
『新宿スワン』と新作公開が続きます。
(もう来年公開の2本も殆ど出来上がっているようです)
『TOKYO TRIBE』『新宿スワン』は、
漫画が原作。
漫画の映画化も名手だった鈴木則文監督を、
手本にしてますでしょうか。
『聖獣学園』も一緒に書く予定でしたが、
長くなったので1本にします。

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新文芸坐に展示してありました↓
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