『世界の果ての通学路』
Sur le chemin de l'ecole(原題)
On the Way to School(英題)
2012年製作 フランス映画
シネマ・ジャック&ベティで鑑賞
浜松シネマイーラで夏休みに上映。
小中学生特別割引(500円)
↓予告動画
監督:パスカル・プリッソン
製作:バーセルミー・フォージェア
製作総指揮:ステファニー・ショーター
脚本:マリ=クレール・ジャボイ
パスカル・プリッソン
地球上の異なる4つの地域で、数10キロの危険な道のりを経ての通学し、学校で学ぼうとする子どもたちの姿を追ったドキュメンタリー。ケニアの15キロメートルのサバンナを命がけで駆け抜けるジャクソン、360度見渡す限り誰もいないパタゴニア平原を、妹と一緒に馬に乗って通学するカルロス、モロッコの険しいアトラス山脈を越え、友だち3人と寄宿舎を目指すザヒラ、幼い弟たちに車椅子を押されながら、舗装されていない道を学校に向かうインドのサミュエルの4人に密着。子どもたちの学習に対する意欲の高さや、そんな子どもたちを支える家族の愛情を映し出していく。アフリカのマサイ族を主役に描いたドラマ「マサイ」(2004)で知られるフランスのパスカル・プリッソン監督が手がけた。
この作品も既に紹介した『夢は牛のお医者さん』←クリック
と同じく、
浜松シネマイーラでは夏休みに上映され、
小中学生特別割引500円の対象作品です。
私は横浜のシネマ・ジャック&ベティで鑑賞しました。
この作品と『チョコレートドーナツ』は単館系の作品としては
ヒット中で、ジャック&ベティでもGW中満席だったそうです。
私が観た7日のレディースデーもとても混んでいました。
世界の4人の子どもたちの通学の様子が描かれている
フランスのドキュメンタリー映画です。
パスカル・プリッソン監督
ケニアのジャクソンくん(当時11歳)は、
妹のサロメちゃんと片道15㎞を
象に注意しながら2時間かけて。
↓パリに招かれて挨拶するジャクソンくん
この動画では、映画の時より英語が流暢になって、
夢はパイロットからプロフェッサーに変わっております。
夢なんてどんどん変わったって構わないですよね。
『おじいさんと草原の小学校』もケニヤが舞台で、
おじいさんは青いセーター着ていましたね。
おじいさんと草原の小学校 [DVD]/
ナオミ・ハリス,オリヴァー・リトンド,トニー・キゴロギ
アルゼンチンのカルロスくん11歳は、
妹のミカイラちゃんと馬に乗って、
パタゴニアの平原を片道18㎞を1時間半かけて。
モロッコのザヒラさん12歳は、
月曜の早朝、友達3人と22㎞を4時間かけて、
全寮制の学校へ。
金曜日の夕方また家に帰ります。
家族の中では初めて学校に通う世代。
ザヒラさんはまだ家族の賛同などが得られず、
学校に通えない女の子が学校に通えるよう、
呼びかける活動もしています。
インドのサミュエルくん13歳は、
足に障碍があり、弟たちが押す車いすに乗って、
4㎞を1時間15分かけて。
上の写真は近道しようと川を渡り、
車いすがハマってしまったシーン。
この映画はクセがないし、とても見やすいですよ。
尺も77分と短く、
カメラも流麗、映像も美しく、
ダイナミックな編集がしてあるし、
音楽も盛り上げてくれますので、
子どもたちは飽きずに観られるのではないでしょうか。
見聞を広めるためにぜひ見せてあげて下さい。
ドキュメンタリーって事実の客観描写だと
思ってみえる方がいるかもしれません。
これは前にも書きましたが、
客観報道が求められる分野でも
送り手のフィルターは通るし、
多かれ少なかれ情報操作されます。
だから、情報を受け止める側の見る目が大切。
ドキュメンタリー映画も作り手の意志、意図、
メッセージなどが入るわけです。
演出も入る場合があります。
ヤラセとの境界も曖昧だったりします。
人間を撮る場合、
自然な姿を捉えられるかは、
取材の丁寧さや相手との信頼関係、
精神的な距離感などで変わってきます。
適当な距離感が必要な場合もあるし、
濃密な信頼関係がなければ撮れない作品もあります。
この『世界の果ての通学路』に関しては、
上質な作品だとは思いますが、
私としては気になるところがありました。
明らかに演出と分かるカメラのアングルがあったり...
それは、まあ良いにしても...
この作品を良心的と捉える素直さがないと言われればそれまでですが、
まあ所謂西欧先進国側から観た第三世界描写を感じるのです。
子どもたちの純粋さに嘘はなくても、
それを捉える側に、
ネイチャードキュメンタリーを撮っているような
目線を感じてしまいました。
これ、例えば最近の作品なら
ワン・ビン監督の『三姉妹 雲南の子』と
見比べてもらえば分かると思います。
三姉妹 ~雲南の子 [DVD]/
↓ワン・ビン監督の新作『収容病棟』。もちろん観ます!
タイトルについて、
Sur le chemin de l'ecole(原題)
On the Way to School(英題)
これはどちらも「学校に行く途中で」ですよね、
『世界の果ての通学路』って、
この邦題もちょっと目線が気になってしまいました。
『世界の果ての通学路』には遠い道のりを行く子どもたちの
安全を祈る家族の姿も感動的に描かれています。
日本でだって、
子どもたちが、
交通事故や事件に巻き込まれたりしないよう、
ボランティア活動に取り組んでいる皆さんはたくさんいるし、
毎朝子どもの安全を願って送り出している保護者が殆どでしょう。
そんな所も感動を呼んでいるのではないでしょうか。
しつこいようですが、
子どもは見聞を広めるために観ると良いと思いますので、
ぜひ見せてあげて下さい。
大人は一緒に観たら、
説教関係はなしでお願いしたいです。
「世界では厳しい環境でも学ぶために、
大変な苦労をして学校に通う子どもたちがいる。
それに比べて恵まれた日本の子どもたちは...」
と、語りたくなったら、
自分の生き方どうなのか自問する方に向けて下さい。
日本の子どもたちも本当に大変なんです。
夢が持てないようにしているのは誰かという事
考えましょう。大人の義務を果たさないとですよね。
まあ、私のような捻くれ者、
猜疑心の強い奴でなければ、
普通に感動できる作品だと思います。
そうでなければヒットしませんからね。
ここで私はバフマン・ゴバティ監督の
『亀も空を飛ぶ』のラスト思い出しました。
辛すぎる映画ですが、
大好きなバフマン・ゴバティ監督の、
忘れられない作品です。
亀も空を飛ぶ [DVD]/
ソラン・エブラヒム,ヒラシュ・ファシル・ラーマン,アワズ・ラティフ
渡部亮平監督応援しています
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