祝・黒木華!第64回ベルリン映画祭 2014
コンペ部門 受賞者とその作品 あらすじ・動画・画像・キャスト・解説他
ソチ・オリンピック報道の中に埋もれてしまいそうですが、
第64回ベルリン映画祭で山田洋次監督『小さいおうち』の
黒木華さんが女優賞(銀熊賞)を受賞しました。
1963年今村昌平監督『にっぽん昆虫記』左幸子
1975年熊井啓監督『サンダカン八番娼館 望郷』田中絹代
2010年若松孝二監督『キャタピラー』寺島しのぶ
に続き、最年少で受賞。
キネ旬などでは新人扱いな華さんが大変高い評価を受けましたね。
私は『小さいおうち』評価しておいて良かったデス(苦笑)
コンペティション部門の受賞作品に関して
まとめて紹介しておきます。
カンヌ、ベネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつベルリン映画祭は
社会派の作品が集まる傾向があり、
日本では日本映画関係以外の報道も少なく、
地味な印象を持たれているかもしれませんが、
大都市で行われることもあり、
来場者も大変多い大規模な国際映画祭です。
今年の10日間の期間中に販売した一般入場券が33万枚を越え、
「世界最大の映画祭」であると
映画祭責任者のディエトリ・コスリックによって発表されました。
今年のベルリン映画祭(ベルリナーレ)は、
コンペティション部門、短編映画部門、
フォーラム部門、パノラマ部門、
レトルスペクティブ部門、青少年映画部門、
ドイツ映画部門、ベルリン国際映画祭特別部門、
オマージュ部門の9つの各部門と、
スペシャル・プレゼンテーション
(料理の映画、ベルリン映画祭の街の映画館、ネイティヴの映画
の3つ)で構成されました。
賞については、
国際審査賞
国際短編映画賞、ゼネレーション賞、
初監督作品賞、
ベルリナーレカメラ
名誉金熊賞(今年はケン・ローチ監督が受賞)↓
の各賞があります。
また、独立した賞は観客や業界、批評家などから贈られる、
エキュメニカル賞、国際批評家連盟賞、
アムネスティ国際映画賞など多数あります。
日本でも報道されるコンペティション部門の各賞の結果と作品の紹介
今年の審査員のメンバー下の写真左より
トニー・レオン(中国:俳優『グランド・マスター』)
バーバラ・ブロッコリ(アメリカ:『007』シリーズのプロデューサー)
トリーヌ・ディルホム(デンマーク:俳優『愛さえあれば』)
ミシェル・ゴンドリー(フランス:監督・脚本家『ムード・インディゴ うたかたの日々』)
ミトラ・ファラハニ(イラン:画家・映画監督)
クリストフ・ヴァルツ(オーストリア:俳優『ジャンゴ繋がれざる者』)
グレタ・ガーウィグ(アメリカ:俳優・監督・脚本家「Frances Ha」)
審査員長ジェームズ・シェイマス(アメリカ:脚本家・プロデューサー
『ブロークバック・マウンテン』などアン・リー監督とのコンビ作で有名)
金熊賞
『Bai Ri Yan Huo/Black Coal, Thin Ice
ブラック・コール、シン・アイス(英題)』
中国
ディアオ・イーナン監督
出演:リャオ・ファン(銀熊賞:男優賞受賞)
グイ・ルンメイ、ワン・シュエビン
殺人事件の捜査の失敗で解任され、
ガードマンとして働きながら事件の真相を追い続け、
全ての鍵を握る女性ウーに惹かれて行く、
元警官の主人公チャンを演じたリャオ・ファンが、
男優賞を受賞し、2冠となりました。
トレーラーを見るとノワール・フィルム感に惹かれます。
ディアオ・イーナン監督
ディアオ・イーナン監督リャオ・ファン(と華ちゃん!)
銀熊賞 審査員賞
『グランド・ブダペスト・ホテル』日本公開6月
The Grand Budapest Hotel
イギリス、ドイツ
ウェス・アンダーソン監督
出演:レイフ·ファインズ、シアーシャ・ローナン、
レア・セドゥ、 エドワード·ノートン、
ジュード·ロウ、ビル·マーレー
ティルダ·スウィントン、オーウェン·ウィルソン、
ウィレム·デフォージェイソン·シュワルツマン、
エイドリアン·ブロディ、ジェフ·ゴールドブラム、
ハーヴェイ・カイテル、F・マーレイ・エイブラハム
マチュー・アマルリック、トム・ウィルキンソン
↓予告動画
「ムーンライズ・キングダム」「ダージリン急行」のウェス・アンダーソン監督が、高級ホテルのコンシェルジュとベルボーイが繰り広げる冒険を、名優レイフ・ファインズを筆頭にオールスターキャストで描いた。ヨーロッパ随一の高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り仕切り、伝説のコンシェルジュと呼ばれるグスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条とし、宿泊客のマダムたちの夜のお相手もこなしていた。ホテルには彼を目当てに多くの客が訪れるが、ある夜、長年懇意にしていたマダムDが何者かに殺害されてしまう。マダムDの遺産をめぐる騒動に巻き込まれたグスタヴ・Hは、ホテルの威信を守るため、信頼するベルボーイのゼロ・ムスタファを伴い、ヨーロッパを駆けめぐる。
この映画については何度か紹介しました。
ウェス・アンダーソン・ワールド全開で楽しみです。
もう、出たい人続出!?な感じの豪華すぎキャストです!
ティルダが今度はおばあちゃんに(゚Ω゚;)
銀熊賞 最優秀監督賞
リチャード・リンクレイター監督
『ボーイフッド(原題) / Boyhood』
アメリカ
出演:パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク、
エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイター
メイソン(エラー・コルトレーン)の6歳から18歳の成長に合わせて
2002年から12年かけたプロジェクト作品。
パトリシア・アークエットが母親オリヴィア役、
イーサン・ホークが離婚して別れて暮らす父親役。
メイソンの姉サマンサ役は
リンクレイター監督の娘ローレライ・リンクレイター。
母親は物語の中で大学に戻り学位をとり、
大学教授になりますが、この12年の間に2度の結婚もします。
この12年の長い間の、
実質的な撮影日数は39日間だそうです。
ジュリー・デルピーとイーサン・ホークの「ビフォア~」
シリーズ3作も1995年から18年かけています。
サンダンス映画祭でもプレミア上映されて大変好評でした。
主演少年の成長に合わせた作品と言うと
フランソワ・トリフォーのアントワーヌ・ドワネル
(ジャン=ピエール・レオー)の冒険 五部作(1959~1979)
「大人は判ってくれない」('59) 「アントワーヌとコレット」('62)
「夜霧の恋人たち」('68) 「家庭」('70) 「逃げ去る恋」('79)
を連想します。
このトリフォーの傑作シリーズに匹敵する作品を作り続けてくれたらなァ。
と、期待してしまいます。
『ビフォア・ミッドナイト』を週末にシネマイーラで見たばかりで、
余韻に浸っている時に、このリンクレイター監督の新作での受賞ニュース。
ぜひ日本公開して欲しい作品です。
パトリシア、エラー、ローレライ、監督
こちらはサンダンスの時のイーサンがいる写真
銀熊賞 最優秀女優賞
黒木華『小さいおうち』
日本
山田洋次監督
クリストフ・ヴァルツから銀熊を受け取る華ちゃん
私の感想記事読んで下さい。『小さいおうち』←クリックでどうぞ!
いや~なかなか内容盛りだくさん充実した記事です。
...って、自分で言うな!
でも、ぜひ読んで下さいネ!
銀熊賞 最優秀男優賞
リャオ・ファン
『Bai Ri Yan Huo/Black Coal, Thin Ice
ブラック・コール、シン・アイス(英題)』
中国
ディアオ・イーナン監督
銀熊賞 芸術貢献賞(カメラ)
ツォン・ジエン(撮影監督)
『推掌 Tui Na
Blind Massage ブラインド・マッサージ(英題) 』
中国、フランス
ロウ・イエ監督
出演:グオ・シャンドン、チン・ハオ、メイ・ティン、
ホアン・シュアン、Lu Huang、Lei Zhang
『天安門、恋人たち』←中国政府から5年間の映画製作禁止の処分
それを無視して製作→『スプリング・フィーバー』など、
中国国内では上映不可の闘う映画作家、
カンヌ映画祭常連のロウ・イエ監督の新作。
主人公マは、視覚を失いマッサージ師として働いている。
同じ職場で働く仲間も様々なトラブルに直面している...
カメラマンのツォン・ジエン氏
代理でトロフィーを受け取ったロウ・イエ監督と、
女優のZhang Le
女優のZhang Le
銀熊賞 最優秀脚本賞
ディートリヒ・ブリュッゲマン、アナ・ブリュッゲマン
『Kreuzweg/ Stations of the Cross
ステーションズ・オブ・ザ・クロス(英題) 』
ドイツ、フランス
ディートリヒ・ブリュッゲマン監督
出演:Lea van Acken、Franziska Weisz、Florian Stetter
マリアは14歳。
カトリックの原理主義に支配された家庭で育ち、
いつも罪を犯さないよう恐れて生きているが...
アルフレート・バウアー賞
『Aimer, boire et chanter /Life of Riley
ライフ・オブ・ライリー(英題)』
フランス
アラン・レネ監督
出演:サビーヌ・アゼマ、サンドリーヌ・キベルラン、
カロリーヌ・シオル、アンドレ・デュソリエ、
イッポリト・ジラルド、ミシェル・ヴュイエルモーズ
↓トレーラー
劇作家アラン・エイクボーンの戯曲
「ライフ・オブ・ライリー」の映画化。
アマチュア劇団に所属する夫婦たちを描くコメディー。
ベルリン国際映画祭初代ディレクター
アルフレート・バウアーの名前が冠されたこの賞は、
映画の新たな視点を開いた作品に授与されます。
91歳のアラン・レネ監督の衰えない制作意欲に脱帽。
難解じゃない(笑)2009年の軽やかな作品のレビューあります。
『風にそよぐ草』←クリック
アラン・レネ監督
アラン・レネ監督は授賞式は欠席したので、
代理でアンドレ・デュソリエとプロデューサーのジャン=ルイ・リヴィが
トロフィーを受け取りました。
代理でアンドレ・デュソリエとプロデューサーのジャン=ルイ・リヴィが
トロフィーを受け取りました。
↓山田洋次監督と黒木華の記者会見の動画(公式映像)
↓授賞式のハイライト(公式映像)
華ちゃんは6:03にクリストフ・ヴァルツに呼び出されます。
↓ニュースでたくさん流れました?
華ちゃん受賞の記者会見
とても謙虚に語っていますね。
これからも天狗になることなく、
演技に精進してくれそうです。
賞をステップに今まで女優賞を受賞した先輩たちのような、
素晴らしい女優になって欲しいです。
山田洋次監督にもまだまだ新作映画を撮って欲しいです。
↑これは、カンヌ映画祭の時にも紹介した、
「スクリーン・デイリー」の星取表。
各国メディアの記者が投票しています。
この星取表ではリチャード・リンクレーター監督の『ボーイフッド』が、
ダントツに人気が高いですが、
記者の星取表だけでは分からないのが国際映画祭の賞のゆくえ。
ベルリンでは意欲的な作品が評価されるようです。
アラン・レネ監督、山田洋次監督という大ベテラン、
中国のディアオ・イーナン監督、ロウ・イエ監督で3賞を受賞。
新しい才能の発掘に力を入れてきたベルリンらしさは、
あまり感じられない気もしますが...
アンチ・ハリウッド感はありますね(笑)
今回の記事は速報性よりも内容にこだわってみました。
思ったより手間がかかってしまいました(;^_^A
『かしこい狗は、吠えずに笑う』
25歳衝撃の才能
渡部亮平監督応援しています
ぜひ、お近くの映画館にリクエストして下さい
渡部亮平監督応援しています
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★新潟 シネウィンド
2014年3月8日(土)~
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