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袴田浩之映像個展atシネマイーラ『壊滅』『不退転/逃走』全身映像作家の衝撃作品とティーチイン感想

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シネマ・ヴァリエテ シネマテーク 2013 volume2 袴田浩之・映像個展
上映作品『壊滅』『不退転/逃走』


浜松シネマイーラで鑑賞

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ティーチインでの袴田浩之監督と朝生賀子監督
7月7日シネマイーラで


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シネマ・ヴァリエテ(異能映像作家集団:袴田浩之氏が代表)
の歴史は長く、80年代からです。
実験的な自主映画製作で知る人ぞ知るグループでした。
参加していた人たちの中には、
女優の鈴木砂羽さんや、
映画監督の鈴木卓爾氏(『私は猫ストーカー』『ゲゲゲの女房』『楽隊のうさぎ』)
平野勝之氏(『由美香』『監督失格』)
もいます。
袴田さんは高校生の時にワークショップに参加し、
平野勝之さんから課題をもらって映像作品を作ったことから、
映像の道に入られたそうです。

今回上映された
『壊滅』(2001)は、袴田浩之さんと、
朝生賀子さんの2人が、それぞれに撮影した映像を
袴田さんが編集して一つの作品にしています。
ドキュメンタリーとも違い、勿論フィクションでもなく、
全身映像作家袴田浩之監督の私小説映画といったらいいのか。


一緒に暮らし、愛し、将来も一緒に活動したいと考えていた女性、
朝生さんが、違う男性の所へ行ってしまった...
しかも知り合いの映像作家(今岡信治監督:ピンク七福神の1人。監督作『UNDERWATER LOVE -おんなの河童-』、『苦役列車』脚本など)の所へ。

極めて個人的な作品なのに、
この2人の映像バトルが内包されたこの作品は、恐ろしいパワーがありました。
観る者にグサグサ突き刺さる映像、言葉の数々!
誰の心にもひっかき傷を残すような普遍性を持った作品でした。
特にスゴイのが、朝生監督が撮ったパート。
東京から浜松の袴田監督の部屋に一時戻った彼女が、
今岡監督に電話する自分を映しています。
これが早く東京に帰って今岡さんに会いたいという、
恋する女ごころが溢れた表情が捉えられている。
なんと残酷で美しいシーンだったことでしょう。

他にも私の胸にグサッときたのは、
車を運転しながら、
心変わりをした彼女の事をグチグチ責める袴田監督を、
そのグチグチに対応しながら朝生監督がずっと撮っているシーンです。
言葉では劣勢な彼女が、この映像では完全に勝っている!
この痴話げんかの渦中で冷静な目で彼を捉えた映像は、
彼女の映像作家としての才能を見せつけます。

また、2人がそれぞれ撮ったシーンの中で、
それぞれに素敵な表情や動きをするのが、
袴田監督が飼っている2匹のネコたちです。
痛々しい作品に、笑いとユーモアを与えています。

ティーチインで袴田監督は、
彼女に映像を撮るように投げかけて、
そして彼女が撮った映像があまりに素晴らしいので、
悔しくて涙を流しながら編集したと言われていました。
朝生監督は、フィクション作品を手掛ける作家で、
自分にカメラを向けるということは、
この時だけだったとのこと。
逆に袴田監督は「自分にしか興味がない」と言い切ります。
その自分の世界感作品で、観る人に「引っかかる」ものを突き付けている。
彼女が「行って来ます」と出ていくラストシーン、
やるせない世界観の先にかすかな爽快感を感じました。
描かれているのは絶望的に壊滅に至った世界じゃない。
観ていてそう思いました。
当時の袴田監督の心は『壊滅』していたのでしょうけど。
袴田監督と、朝生監督の個人的な映像の融合が、
ここまで観る者に突き刺さるとは...
作品が作られてから12年経っていますが、
今観ても想像以上に興味深い作品でした。

もう一つの作品『不退転/逃走』は、
『壊滅』から約1年後に、自分の心境の経過を語る朝生監督のナレーションに、
袴田監督が映像を付けた作品です。
こちらの作品はまだまだ朝生監督に未練のある!?
彼女との関係性を繋ぎ止めておきたい!?
袴田監督が、彼女にナレーションの依頼をして、
そのナレーションを受けて映像が付けられています。
3分の1くらいの、後半部分は袴田監督の立場からのナレーションでした。
私はこの作品は、
朝生監督のナレーションの作品性
(冷静に3人の関係性を見つめ、自分の心境を語っている)と、
映像が合っていないように感じました。
合っていないというより、映像が邪魔というか、うるさいという感じです。

そうしたら、上映後のティーチインで袴田監督が、
「ナレーション自体が作品として素晴らしく、
音だけで成立している作品と思ったが、
映画にするため映像をを付けた。」
と言われたので、う~んそうか、監督も承知の上の作品かと納得しました。


シネマ・ヴァリエテの活動は知っていましたが、
90年代のムーンライトシアターと共催の、
山崎幹夫監督(今回のティーチイン進行役だった山崎はなさんのパートナー)
のティーチイン付上映会に参加したことがあるだけでした。
思えばムーンライトシアター(自主上映会)で映画を観まくっていたのも、
もう20年近く前になるのです。ホントに時の経つのは早いなァ(;´Д`)ノ


しばらく映像作家としての活動から離れていた袴田監督ですが、
まだ、降りちゃいないぞと、
今年は上映会などの活動を復活し、
来年は新作を作ると宣言して、
有言実行に自分を追い込んでいます。
新作映画が楽しみです。
今後もイベントは、ほぼ毎月行う予定だそうです。
8月のイベントはこちら↓
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自主製作の個人映画ってどんなものか、
興味のある方は、
今後の上映会でぜひご覧になって下さい。目


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