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ヤクザと憲法感想本物のヤクザの日常に100日密着取材ドキュメンタリー #戦争のつくりかた 動画付

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『ヤクザと憲法』

2015年製作 日本映画
シネマ・ジャック&ベティで鑑賞

浜松シネマイーラでは4月2日(土)~4月8日(金)上映

キネカ大森で4月1日(金)まで上映中









↓『ヤクザと憲法』予告動画


監督:ひじ方宏史
プロデューサー:阿武野勝彦
音楽:村井秀清
音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:中根芳樹
音声:野瀬貴弘
オーサリング:山口幹生
TK:河合舞
音響効果:久保田吉根
題字:山本史鳳
CG:松井裕哉
編集:山本哲二
法律監修:安田好弘

意欲的なドキュメンタリーを制作している
東海テレビのドキュメンタリー劇場版。
2015年3月に東海地区で放送されたテレビ版は
日本民間放送連盟賞の優秀賞を受賞しました。

今、山口組の抗争が起きていますが、
暴力団対策法、暴力団排除条例の施行以降、
ヤクザの構成員数は減少しています。
この映画は、
大阪堺市の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」
に、

1.取材謝礼金は払わない
2.収録テープ等を事前に見せない
3.モザイクは原則かけない

という取り決めをして取材されたドキュメンタリーです。
100日間密着取材し40分テープ500本が撮影されました。

一般社会からは知ることができない、
特に暴対法や暴力団排除条例で
見えにくくなっている
ヤクザの世界の日常生活などが映されます。

予告にも出てきますが
「警察なんか誰も守ってくれへん」
と笑う通天閣の飲み屋のおばちゃん。
そんな世界が現実にある。
プロデューサーの阿武野勝彦さんが
パンフに書いていますが
今、テレビで「寅さんシリーズ」のリメイクドラマを
作ることはおそらくできないそうです。
寅さんは今は暴対法で
暴力団に分類される的屋だから。

清勇会の川口会長は、
暴力団排除条例で困っている
ヤクザとその家族の声を集めている。
子どもが幼稚園通園を断られた、
ヤクザは口座が作れないから、
子どもの給食費が引き落としできず、
現金を手持ちさせると
ヤクザの子どもと分かってしまう。

清勇会の事務所の建物内で生活している
部屋住みの人たちの部屋には
大きな本棚があり普通の小説もたくさん並んでいる。
犬や猫の図鑑や本も。
刑務所の中ではこういう動物の
可愛い本を読むと癒されるとのこと。

山口組顧問弁護士山之内幸夫氏の
日常も取材しています。
「ミナミの帝王」の法律監修、
「悲しきヒットマン」を書いた人です。
山之内氏の山口組顧問料が月額20万円というのには
驚きました。
「ヤクザはお金ないですよ」とのこと。
彼は1991年に恐喝罪で逮捕されたが
その事件は無罪になる。
昔は他の仕事もあり事務員も複数いたが、
仕事が減り事務員も1人に。
無罪確定後また違う案件で逮捕起訴され、
結局2015年11月に最高裁で上告が棄却され
有罪が確定したので弁護士資格を失いました。
この一連の流れも取材しています。
山口組顧問弁護士をしたい人はいないようです。

読書家の21歳の部屋住みの青年が出てきますが、
彼の人生に何があったのか気になって仕方なかったです。
(ネットに彼のその後を調べたという人が
書いていたことも含めて)

この映画はヤクザの存在を
問うてはいません。
現実に今、構成員が
どんな生活をしているかが映されます。
土方(土に「、」がつく)監督は、
予告にありますが、
アウトドア用テントの袋を
「これ、マシンガンですか?」と聞いて
「テレビの見過ぎじゃないですか」と言われたり、
しのぎの現場らしい所にも同行して
それ聞く?って質問をしたり。
天然な質問を繰り出すので
可笑しいやら、ヒヤヒヤしたりです。

私はこの映画を観た日に帰って家で
『博奕打ち外伝』(東映1972年)
山下耕作監督観ましたが、
この任侠映画の世界と
ドキュメンタリーは全く違います。
組構成員の人が、
「昔は任侠映画観た人は、
映画館出て来ると入った時とは
歩き方が変わって肩で風切って歩いてましたよ」
と語ります。
博奕打ち外伝 [DVD]/
鶴田浩二,高倉健,若山富三郎


事務所の中はいつもは意外とのんびりした雰囲気








ポスターでは長塚京三さんに似てると思った
川口和秀会長


いつもは上の方の写真のように、
ラフな服装をしているのですが、
総長の葬儀の時はこのようにスーツで
本当のヤクザの凄みが。


取材していた組員の1人が
自動車事故で自動車保険を使って車を修理した時に
自動車保険の不正な請求をしたという詐欺未遂事件容疑で
ガサ入れがありました。
取材班にすごく高圧的でエラそうな態度。
ヤクザより感じ悪くコワかった。


臭いモノには蓋をしろで取り締まるだけ、
見えなくするだけ。
「ヤクザと憲法」という題名は
阿武野プロデューサーがつけたそうです。
憲法14条の「法の下の平等」について、
この映画を観て考えて欲しいという願いが
込められているのでしょう。


阿武野プロデューサーもパンフで
取り上げていますが
反ナチの運動家
マルティン・ニーメラーの詩を掲載します。

「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は労働組合員ではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」

『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』←Wiki参照

マルティン・ニーメラー←Wiki参照


若者が安保法案に反対デモをすると
騒げば話題になると思っていると水をかけ、
母親が保育園に子どもが入れないから
保育の拡充を陳情すれば
プロ市民だのと揶揄する。
そんな貧しい意識の蔓延は嫌だ。


『ヤクザと憲法』観て、
私は「人権派」という言葉が、
否定的に使われるようになってしまった流れを想起しました。



「戦争のつくりかた」アニメーション動画ご覧下さい。
↓「戦争のつくりかた」アニメーションプロジェクト-What Happens Before War?



アニメーション短編映画「戦争のつくりかた」特設サイト←クリック

この短編映画を制作した
NOddin←クリック
(ノディン:「nippon」をひっくり返した名前。)
「今までと違う視点を持って
生きていきたいと思う心の集まりです。」
という映像に関わる仕事をしている人たちの集まり。

アニメはこの絵本の映像化↓
新・戦争のつくりかた/
りぼん・ぷろじぇくと




井上ひさしの
子どもにつたえる日本国憲法
(シリーズ 子どもたちの未来のために)/
井上 ひさし


永遠平和のために/
イマヌエル・カント




この記事を読んで
こいつプロ市民みたいだ、とか思われ、
(それは誤解ですけどね)
嫌悪感を持たれた方は
批判や説教はいりませんので
静かにこのページを閉じて下さいね。

それと、
『ヤクザと憲法』は、
ヤクザを擁護しているわけではありませんし、
政治性がこめられた
プロパガンダ的な映画ではありませんので、
私のこの記事が気に入らない方にも
映画は観て欲しいです。

ご覧になったらパンフレットの
プロダクションノートぜひ読んで下さい。

『ヤクザと憲法』公式サイト←クリック

土方(土に「、」がつく)監督インタビュー←クリック


現在公開中の東海テレビ制作のドキュメンタリー映画
『ふたりの死刑囚』
冤罪を訴え続けた
「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さん、
「袴田事件」袴田巌さん本人や、
家族、支援者を追ったドキュメンタリー。
これちらも今月観ました。



↓東海テレビ制作ドキュメンタリー映画私の過去記事です。
『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』←クリック



鑑賞した映画の短評は↓

ツィッター eigajikou←クリック

アメーバ映画時光の「なう」←クリック

に鑑賞後随時投稿しています。
ぜひ読んで下さい。




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