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あの日のように抱きしめて 感想(原題:Phoenix)ニーナ・ホス演じる妻の夫への切ない愛の行方

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『あの日のように抱きしめて』
原題:Phoenix
2014年製作 
ドイツ映画
Bunkamura ル・シネマで鑑賞

浜松シネマイーラでも上映されます。










↓『あの日のように抱きしめて』予告動画


↓「Phoenix」トレーラー


原題:Phoenix 
2014年製作 ドイツ映画

監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト

編集:ベッティナ・ブーラー
製作:フロリアン・ケルナール・フォン・グストフ
ミハイル・ヴィーバー
原作:ユベール・モンティエ
脚本:クリスティアン・ペッツォルト
撮影:ハンス・フロム
音楽:シュテファン・ヴィル

出演:ニーナ・ホス
ロナルト・ツェアフェルト
ニーナ・クンツェンドルフ

1945年6月ベルリン。
元歌手のネリーは顔に大怪我を負いながらも
強制収容所から奇跡的に生還し、
顔の再建手術を受ける。
彼女の願いはピアニストだった
夫ジョニーを見つけ出し、
幸せだった戦前の日々を取り戻すこと。
顔の傷が癒える頃、
ついにネリーはジョニーと再会するが、
容貌の変わったネリーに夫は気づかない。
そして、ジョニーはネリーに
収容所で亡くなった妻になりすまし、
遺産を山分けしようと持ちかける。

「夫は本当に自分を愛していたのか、それとも裏切ったのか――」。
その想いに突き動かされ、提案を受け入れ、
自分自身の偽物になるネリーだったが・・・。

監督は、前作『東ベルリンから来た女』で
ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)に輝いた
クリスティアン・ペッツォルト。
主演に再びニーナ・ホスと
ロナルト・ツェアフェルトを起用し、
愛の真理を問うサスペンスフルな心理劇を作り上げた。
削ぎ落とされたセリフと無駄のない演出に、
亡命作曲家クルト・ヴァイルの名曲
「スピーク・ロウ」が艶やかに映える。

ペッツォルト監督インタビュー
「Filmkritik誌が、
アルフレッド・ヒッチコック監督の
『めまい』の特集をした際に、
ハルン・ファロッキが、
「入れ替わった女たち(Switched women)」
という記事を書いていた。
そのエッセーの中で、
彼はユベール・モンティエの
『帰らざる肉体(Le retour des cendres)』
という小説を引き合いに出していた。
この映画の原作となった本のことだ。
その後、僕はハルン・ファロッキに会って、
時間をかけてこの本について話し合った。
この手のストーリー
――いわば『めまい』と強制収容所の生還ストーリーを
ブレンドしたようなもの――は、
フランスでしか語ることができないのか、
そう僕たちは自問した。
そしてドイツの戦後映画について考察した
――なぜドイツでは、
コメディーやジャンル・フィルムが作られないのか。
僕たちは国家社会主義(ナチズム)によって
作り出された深淵へと
繰り返し繰り返し放り込まれてしまうんだ。

数年後、僕は『東ベルリンから来た女』の制作を始めた。
ニーナ・ホスとロナルト・ツェアフェルトが演じる
恋人たちを見ている内に、
彼らを通してストーリーを語ることができるのでは、
と考え始めた。
それでもう一度試してみることにしたんだ。
このストーリーを何とかしてドイツで語ることは可能なのか
――もしできるとしたら、どうやって?と。
(公式HPより)

↓ヒッチコック『めまい』(1958年)トレーラー
キム・ノヴァク、ジェームズ・ステュアート



いくら、妻の顔が変わったからといっても、
声、匂い、仕草、クセまで全部変わってないでしょ?
もう、死んでしまった。
と、思ってしまうと
こんな風に気付かないの???
特に前半は頭の中が
ハテナ、ハテナでいっぱいの状態。
後半は、彼女はなぜ自分自身を
ここまで演じようとするのかで???

それは、アウシュビッツ収容所で、
彼女を支え生きながらえさせた
夫に再び会いたいという希望が、
どんなに強かったかということだけど…

ナチスがドイツ人とユダヤ人夫婦には、
離婚を強要したこと。
使われた音楽の由来やトリビア。
ネリーとジョニーの距離感が、
敬称の2人称と親称の2人称で使い分けられている。
監督、キャストのインタビューなど、
映画を理解するための情報が
パンフレットに書いてあるので、
見た後に読まれることをお勧めします。
私はパンフレットを読んで
色々知った上でもう一度観てみたくなりました。
後を引く映画なのです。

監督はヒッチコックの『めまい』(1958年)だけでなく、
『ローラ殺人事件』(1944年オットー・プレミンジャー監督)
『顔のない眼』(1960年ジョルジュ・フランジュ監督)
『他人の顔』(1966年勅使河原宏監督)なども
取り入れているのかもしれないです。

『東ベルリンから来た女』は大好きな作品です。
『あの日のように抱きしめて』も
『東ベルリンから来た女』と同じように、
台詞は少なく、回想場面もありません。
役者の目や表情、仕草が語ります。

監督は、
この映画の基盤は本質的には
フィルム・ノワールだ。
しかし、コントラストをきつくしすぎて、
陰影を消したくなかった。
フィルム・ノワールとテクニカラーを
繋げたかった。
だからより温かみと人間味のある
フィルムで撮影した。
と語っています。

サスペンスフルな展開に
格調と深みのあるルックが
ぴったり合っていました。

まだ、封切りされて間もないので、
これくらいにしておきます。


それにしても、
ラストシーンは出色です、
他を忘れてしまったとしても、
このラストシーンだけは忘れないと思う。

実はYouTubeに、
ラストシーンの動画があるので、
何回も繰り返し見ています。
ここには貼りません。

クルト・ヴァイルのジャズのスタンダードナンバー
「スピーク・ロウ」は劇中色々なバージョンで流れます。
ユダヤ人の作曲家クルト・ヴァイルは、
ドイツ時代はクラシック音楽の作曲家を志していましたが、
ブレヒトと組んで劇音楽作曲家として成功します。
ナチスから逃れて亡命したアメリカでは、
ブロードウェイ・ミュージカルの作曲家に転身します。
劇中、クルト・ヴァイル自身が歌う
「スピーク・ロウ」も使われます。

↓クルト・ヴァイル「Speak Low」


「スピーク・ロウ」はたくさんの
有名シンガーやプレイヤーの演奏が
YouTubeにもあります。
本当にご紹介したいバージョンもあるのですが、
ネタバレが絡んでくるのでやめておきます。
なので、
私が映画のイメージに合ってるかなと選んだのはこちら。
ドイツのシンガー&プレーヤーです。
↓Speak Low Filippa Gojo (Vocals) & Lars Duppler (Piano)



ニーナ・ホスは素晴らしい女優です。
本作でも名演です。



ネリーの友人レネ役の
ニーナ・クンツェンドルフも的確な助演。
レネの悲しみにも胸が詰まります。


ネリーの家は空襲で
瓦礫と化していました。






探し当てたジョニーは
米兵相手のクラブで働いていました。


ジョニー役ロナルト・ツェアフェルトは、
心情が簡単には読めない男を好演。


ロナルト・ツェアフェルトは、以前のラッセル・クロウ↑に似てるな~って
思うのですが!?


撮影中のロナルト・ツェアフェルトと、
クリスティアン・ペッツォルト監督


ニーナ・ホスとペッツォルト監督




原題「Phoenix」は、
ジョニーが働いている店の名前でもありますが、
「そうだったのかー」ヽ(゚◇゚ )ノ!!
な、意味も込められていました。


『東ベルリンから来た女』
東ベルリンから来た女 [DVD]/
ニーナ・ホス,ロナルト・ツェアフェルト,ライナー・ボック


こちらもおススメ
『あの日 あの時 愛の記憶』↓
あの日 あの時 愛の記憶 [DVD]/
アリス・ドワイヤー,マテウス・ダミエッキ,ダグマー・マンツェル









はい、
そして、Phoenixといえば、
リヴァーを出さないわけにはいきませんf^_^;
リヴァー・フェニックスとワンコU・皿・U
 


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