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FRANK フランク 感想マイケル・ファスベンダーは被ってもスゴイ!苦いイギリス映画系譜の作品。

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『FRANK フランク』
FRANK
2014年製作
イギリス・アイルランド合作映画
チネチッタ川崎で鑑賞









↓予告動画 この予告、ちょっと大事な所見せ過ぎな感じがします...


監督      レニー・エイブラハムソン
脚本      ジョン・ロンスン 、 ピーター・ストローハン
原作      ジョン・ロンスン
製作総指揮      テッサ・ロス 、 キャサリン・バトラー 、
             アンドリュー・ロウ 、 ナイジェル・ウィリアムズ
製作      エド・ギニー 、 デイヴィッド・バロン 、 スティービー・リー
撮影      ジェームズ・マザーズ
美術      リチャード・ブロック
音楽      スティーブン・レニックス
編集      ネイサン・ニュージェント
衣裳デザイン      スージー・ハーマン

出演:
マイケル・ファスベンダー  フランク

ドーナル・グリーソン   ジョン

マギー・ギレンホール   クララ

スクート・マクネイリー   ドン

カーラ・アザール   ナナ

フランソワ・シヴィル   バラク


『ウィズネイルと僕』
『さらば青春の光』
『シド・アンド・ナンシー』
『バック・ビート』
『ベルベット・ゴールドマイン』
『THIS IS ENGLAND』
などの苦いイギリス映画系譜に入る作品。
個人的に上記の作品は大好きで、
『FRANK フランク』も
マイ・フェイバリット・リスト入り!


『FRANK フランク』は、
正確にはイギリス・アイルランド合作映画です。
私としては、イギリス映画以外(合作含む)の
『ファントム・オブ・パラダイス』
『コントロール』
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
などの大好きな苦い系ロック映画リストにも入ります。


ナナ、バラク、ジョン、ドン、クララ


核心部分は書きませんが、
詳しめのあらすじを書いておきます。

『FRANK フランク』の視点人物、語り手は、
ドーナル・グリーソン演じる青年ジョン。
ジョンは日本にも158531人くらいいる(もっといるのか!?)
キーボードはそこそこ弾け、
作曲もしているが才能はない、
ツィートをマメにしている普通の青年。
ある日彼の住む田舎の海辺の街に
ライブにやって来たバンド「ソロンフォルブス」。
地元のラジオ局のインタビュー番組に出演中、
クララとキーボード担当のルーカスがケンカをして殴り合いに。
ジョンが海辺を下手くそな作曲をしながら歩いていると、
男が入水騒ぎを起こしているのを見かけます。
浜辺にワゴン車が止まっていて、
「ソロンフォルブス」のマネージャー・ドンが
ワゴン車の脇で様子を見ています。
ジョンが話しかけると
入水騒ぎ男は「ソロンフォルブス」のルーカスでした。
彼は警察に確保され救急車で運ばれていきます。
「今夜ライブなのにキーボードがいなくて困った。」
とドンが言うので、
「僕、キーボード弾けます。」
と口走るジョン。
ワゴン車の中の人に確認を取ると、ドンは、
今夜9時にライブハウスのバックステージに来るよう
ジョンに言います。

「ソロンフォルブス」のライブは、
オルタナティブ・ノイズ系パンクといった感じの
即興性の高い演奏。
バンドのヴォーカルであり、
リーダーのフランクは、
精神的な問題から常に
張りぼてのマスクをしていました。

ステージはまたもやメンバー同志のケンカで
途中で終わってしまいますが、
ジョンはこのライブに参加したこと、
フランクやメンバーのことが忘れられません。
また日常のサラリーマン生活をしていたジョンに、
アイルランドでのライブに参加しないかと
ドンから連絡が入ります。
勇んで待ち合わせ場所に赴くジョン。

ところがアイルランド行きはライブではなく、
レコーディングのための合宿生活でした。
最初は困ったジョンですが、
この合宿に懸けることにします。
他のメンバーからは認められないジョンですが、

フランクの自然の音を取り入れる実験性、
自分を極限まで追い詰めなければ隠れた才能は出てこない
という作曲の方法論など、
フランクの持つエキセントリックで天才的な才能に
魅了されて行きます。
合宿しているコテージの賃料が滞納されていて、
追い出されそうになると、
ジョンは祖父から相続したお金の提供を申し出ます。
レコーディングは11カ月に及びました。
(ここである悲劇が起こり
バンドのその後の悲劇も暗示されます。)
その間、ジョンはこっそりユーチューブに
レコーディングの様子の動画を投稿し、
2万回再生くらいの
そこそこの反響を得ていました。
そして、アメリカ・テキサス州オースティンで
開催される音楽コンペ、
「サウス・バイ・サウスウェスト(SXSW)」から
出演を呼びかけられたことをメンバーに伝えます。
有名になりたい野心の強いジョンと、
自分たちの音楽性を追及することに重点を置く
クララたちとは意見が合わず、
バンドに軋みが入り始めます。
しかし、フランクは自分たちの音楽が
多くの人に聴かれたことを喜び、
バンドはSXSWに出演するためテキサスに向かいます。
SXSWは音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどが
同時開催される大規模なイベントで大変にぎわっています。
大きな音楽祭のステージでの演奏に
難色を示すクララ、ナナ、バラク。
一方、音楽祭のハイな雰囲気の中で、
異様な興奮状態になり精神のバランスを取れなく
なっていくフランク。
コンペではキャッチーな曲が好まれるので、
それに合わせた軽い曲を作って
演奏しようというジョンの提案を受け、
フランクはメンバーの前でヘンに浮ついた曲調で
シュールな歌詞の曲を作って歌ってみせます。
クララ、ナナ、バラクはジョンの方針に
呆れて去っていきます。
結局ステージにはフランクとジョンだけで出演することに...
(ここでの様子は書かないでおきます)


この後、行方不明になったフランクを探すジョン。
フランクの本名も知らず、
手がかりはカンザス州出身ということだけ。
ツィッターを駆使して
カンザス州ブラフ・シティで探し当てます。

そして最後にジョンが見る現実は...



この映画は、コメディーであり、人間ドラマであり、
ミステリーでもあり、ロック映画でもあります。
コメディー的要素はもちろんあるのですが、
すこしとぼけたオフビートな雰囲気の笑いや、
ブラックユーモア的な笑いです。
予想していた以上にビターな味わいのある作品でした。
苦い映画大好きなので、
エンドロールが終わった時
「いいわ~これ!」と、
思わず一緒に行った娘に言いました。

10代の頃の私のマイベスト・ムービーは、
『さらば青春の光』でした。
『FRANK フランク』
とは物語性は違いますが、
苦さは近いテイストを感じました。

『FRANK フランク』では、
ジョンは20代後半の設定だろうし、
バンドのメンバーはバラク以外は30代であるため、
『さらば青春の光』や、
上の方に挙げた
『シド・アンド・ナンシー』
『バック・ビート』
『ベルベット・ゴールドマイン』
『THIS IS ENGLAND』
といった作品と共通する苦さも感じますが、
主な登場人物たちの年齢層がこれらの作品よりずっと高くて、
苦さがもっと痛切とも言えます。
「才能の豊かさとバランスを保てない精神の葛藤。」
「才能がないことが分かっていながらの成功への渇望。」
これは様々な芸術分野であることです。
フランクの子ども時代からの才能と精神の葛藤は悲痛で、
彼を理解していない普通な両親の描写を含め、
天才的な才能を持つ者の孤独の深さに思いが巡ります。
ごく普通の青年ジョンの勘違い的な思い上がりは、
かなり普遍性があります。
自分も心当たりがありますから
結末にはグッときましたよ。

私は高校生の時、
8歳年上の社会人2人と、
バンドをしていました。
名古屋のプロバンドもデビューさせている
ライブハウスのオーナーに、
京都の大学に進学後も通ってライブできるか?
と聞かれました。
私以外の2人はテクニックも高く、
1人はプロミュージシャンの
ツアーバンドに参加した経験も。
何でそこに全く才能もテクニックもない私が
メンバーに入れてもらえたのか。
メンバー募集に応募したタイミングが良かったのでしょう。
まるでジョンですワ。
才能も技術もない私は通うの無理ですと言い、
バンドはそれきりでやめました。



『FRANK フランク』の尺は95分と短めで、
編集も上手くテンポよく進みます。

音楽担当のスティーブン・レニックスの仕事が素晴らしいです。
オルタナティブ・ノイズ系パンクな雰囲気の
「ソロンフォルブス」の曲は難解な訳ではなく、
この手のロックに興味がない人が聴いても、
フランクの才能やバンドの実力が伝わる曲になっているし、
様々なシーンで使われる多くの曲にもとてもセンスがあります。
サントラ即買いしました。
FRANK/スティーヴン・レニックス








マイケル・ファスベンダーはマスクを被っていても名演です。
彼はピアノ、ギター、アコーディオンの演奏が特技ですが、
楽器の演奏は勿論、歌も上手いです!
マスクの表情は常に同じなのに、
嬉しそうに見えたり、しょんぼり見えたり、
表情があるように見えることがあります。
これには監督自身も驚いたそうです。
ラスト近くのマスクを取った痛々しさと、
ジョン以外のメンバーとの演奏には、
思わず涙がこぼれそうになりました。


ドーナル・グリーソンはどこにでもいそうなジョンを好演。
音楽経験が全くなかったそうですが、
それも幸いしてか!?
前半のジョンの自信のなさがとてもリアルでした。


フランクの才能を完全に理解しているのは自分だけだと、
専横的な振る舞いをするクララを演じるマギー・ギレンホールは、
私としては今回が今まで見てきた彼女のベストな演技でした。


実は以前バンドのキーボード担当だった
マネージャーのドン


ドン役のスクート・マクネイリーも、
精神に問題を抱え、感情表現の少ない人物を、
上手く造形していました。
私はいつも「共感性」で映画を語らないことにしていますが、
個人的にはドンに自分は近いかなと感じました。
ドンが持つ変態的な性癖はないですけどね!

ナナ役のカーラ・アザールは、
実力派のドラマー、打楽器奏者として
活躍しているミュージシャンです。
演奏が流石にカッコイイ!
映画は初出演だそうですが、
クールなナナの演技にセンスを感じました。

ちょっとタカビーなフランス人ギタリストのバラクは、
この主な出演者の中では一番若い25歳の
フランス人俳優フランソワ・シヴィルが演じています。
彼も役にぴったりの演技でした。



音楽コメディアンのフランク・サイドボトム


↓フランク・サイドボトムのクイーン・メドレー



フランク・サイドボトムとクリス・シーヴィー


↓フランク・サイドボトムのPanic on the streets of Timperley
 彼のおひざ元マンチェスターの
 ティンパーリーの街を舞台に愉快なパフォーマンスをしています。



『FRANK フランク』は、
80年代にイギリスでとても人気のあった音楽コメディアン、
フランク・サイドボトム
(本名クリス・シーヴィー。2010年に54歳で他界)
のバンドでキーボードを担当していた、
ジョン・ロンスンの回想録が元になっています。
でも、映画のフランクの張りぼての被り物の設定以外の
ストーリーはフィクションです。

フランク・サイドボトムとジョン・ロンスン氏


この映画は、上の動画を見てもらえば分かりますが、
実在したフランク・サイドボトムのパフォーマンスのような
一般ウケもする楽しい音楽コメディーではなく、
日本でヒットしやすい感動の涙的映画でもないです。
強いて言うなら観客を選ぶ
アート系映画のカテゴリーに入るのかもしれません。

良くある映画のタイプでは成功と挫折が描かれますが、
(ブログ更新情報がいっぱい来た、
クリント・イーストウッド監督の『ジャージー・ボーイズ』も
私は未見ですがそんなタイプではないでしょうか。
ところでクリントはブラッドリー・クーパー主演の
「American Sniper」撮り終えポスプロ入ってます。
84歳の精力的な仕事ぶり(ノ゚ο゚)ノ)

『FRANK フランク』では実は成功すら描かれません。

でも始まりから結末に至るドラマのプロセスは充実しており、
ロック映画で重要な要素であるライブ感もあります。
バンドの音楽は俳優たちの生の演奏を使っています。
傑作、名作の類ではありませんが、
印象に残るビターな佳品です。
天才と言われる人たちも不断の努力をしながら、
才能を活かしているのだし、
精神のコントロールが上手くできず
バランスを崩し苦しむ人もいる。
ああ、凡人で良かったよ。
と、そういう話ではありませんョ。
人にはそれぞれ進んでいく道があります。


私は大好きなタイプの
葛藤と挫折を描いた苦い映画ですから、
無理してでも観に行って本当に良かったです。

上の方に私が挙げた作品が好きな方にはおススメだし、
マイケル・ファスベンダーファンは
押さえておくべき作品ですよ。


出演者とレニー・エイブラハムソン監督(右端)



まあ、ファンの贔屓目もあっての期待で、
シネフィルからは怒られそうですけど、
マイケル・ファスベンダーは
21世紀のローレンス・オリヴィエになれるんじゃないでしょうか。
ローレンス・オリヴィエのように監督、製作、脚本まで自分でする、
マルチな才能を含めてでなく、
あくまで俳優としてです。
マイケル・ファスベンダーはまだ37歳ですし、期待しています。
ハリウッド映画にも出演しますが、
ロンドンに住んでいます。
(彼の父はドイツ人、母は北アイルランド人。
西ドイツで生まれ、育ったのは家族が移り住んだアイルランド)
ハリウッド・スターの派手な生活とは一線を画したいようです。


ワンコ、マイケル無視!?



酔っ払い過ぎ(><;)



こんな風にサインもらいたい!



監督・製作・脚本・出演し、
アカデミー賞主演男優賞受賞した『ハムレット』(1948年)の
ローレンス・オリヴィエ


マイケル・ファスベンダーは今や超売れっ子で、
2016年まで出演待機作、
撮影終わってポスプロ中の作品、
今撮影中の作品など、
8作品があります。

撮影済みでポスプロ中の作品2015年公開予定の作品が
マリオン・コティヤール共演の「Macbeth」(原題:マクベス)
なんです!
これでシェイクスピア役者としても
ローレンス・オリヴィエに一歩近づいたのでは。



しかし、マイケル・ファスベンダーは
性格はローレンス・オリヴィエとは真逆!?
ガハハハ笑いがチャームポイントな
ひょうきんな性格みたいで。




アメリカのTC Candlerが選ぶ
「世界で最もハンサムな顔100人 2013年」
の1位に選ばれてる美貌の持ち主なんですがね。



オーストラリアの女性作家のベストセラー
「The Light Between Oceans」が原作の
デレク・シアンフランス監督
(『ブルーバレンタイン』
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』)
の新作が撮影中。
マイケル・ファスベンダーは、
レイチェル・ワイズ、アリシア・ヴィキャンデルと共演です。

また、『FRANK フランク』で共演した、
ドーナル・グリーソン ↓



父のブレンダン・グリーソンと
「Trespass Against Us」(ポスプロ中)で、
共演しました。↓





今年はマイケル・ファスベンダー出演の映画を4本観ました。

『それでも夜は明ける』の演技は、
何だか可愛らしかったですよ。
(真面目な映画ファンには叱られそうな表現)
結局この作品の感想記事は書いてないなアf^_^;



同じくスティーヴ・マックイーン監督とのコンビの第一作
『ハンガー Hunger』 (2008)


これはとても観たかった作品で、
打ちのめされた凄い作品でした。
『ハンガー Hunger』は感想記事を書きました。
ここ←クリックでぜひどうぞ!

そして、『X-MEN: フューチャー&パスト』


これも、観たけど記事書いて無いf^_^;
昨年10月に書いたあらすじ紹介の記事が、
私のブログのアクセス数第2位で、
5千アクセス越えたら記念に書こうかなどと思っているうちに、
書きそびれました。
私的にはマイケル・ファスベンダー、ジェームズ・マカヴォイ、
ニコラス・ホルトという、
お気に入りの俳優たちが共演してるの見てるだけでも嬉しいというね。
ジェームズとニコラスが同居しちゃったりして二ヒヒって、
なに妄想してるんだかのバカっぷり(^▽^;)
映画的にはちょっとサービスの悪い
仮面ライダー祭みたいっだったような...


ハンク(ニコラス)が
映像を集めて報告する場面のTVモニターの1つに、
初代スタートレックが流れていて、
トレッキーのブライア・ンシンガー監督が
おいらに監督させてくれよ~とメッセージしてましたネ
ピカード艦長(パトリック・スチュワート)が、
プロフェッサーですしね!



ブライア・ンシンガー監督が公開した
アポカリプスの脚本の写真

そして、チャニング・テイタムがギャンビットで
出演するかもしれないという、
アメリカでは2016年5月27日公開予定の、
「X-Men: Apocalypse」(X-メン:アポカリプス)
には、マイケル・ファスベンダーも出演します。
もう、これ未来過ぎて見られるのかどうかも想像つかないデス。

はい、そして『FRANK フランク』でした。



なんだか非常にだらだらと長い記事になってしまったのには
訳がありまして。
こういう私が以前はよく書いていた、
映画ブログの記事はもうこれが最後かもしれません。

実は体調が悪くなるばかりなので、
近所の病院で受診、検査したら、
結果が良くなく、
体調不良などと言ってられない事態に。(´д`lll)
今、大きな総合病院に通院して精密検査をしています。
『FRANK フランク』は検査の日程の合間に、
観れそうだったので、前売りを券買っておいて、
4日の初日に観ました。
久しぶり(と言っても私としてはで1週間ぶりくらいでしたが)
に映画館で映画を観られてとても嬉しかったです。
でも、次の日は体が辛く1日寝込んでしまいました(x_x;)
PCに向かう事もなかなかできないため、
書ける時に少しずつ書いておいたら、
長くなってしまいました。
以前はこれくらいすぐ書けたのですが(苦笑)

まだブログも書くつもりではいます。
でも、しばらくしたら休むことになると思います。
その時にはまたご挨拶します。
最後まで読んで下さってありがとうございました。



『かしこい狗は、吠えずに笑う』



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25歳衝撃の才能ビックリマーク
渡部亮平監督応援していますビックリマーク
11月5日(水)レンタル開始!!(TSUTAYA限定)ビックリマーク




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