『ファーナス 訣別の朝』
Out of the Furnace
(溶鉱炉を失って)
2013年製作 アメリカ映画
試写会で鑑賞
↓予告動画 日本版
↓やっぱりこちらの方がカッコイイ!
オフィシャルトレーラー
監督:スコット・クーパー
脚本:スコット・クーパー
ブラッド・インゲルスピー
編集:デヴィッド・ローゼンブルーム
製作総指揮:タッカー・トゥーリー
ロン・バークル
ジェイソン・コルベック
ロビー・ブレナー
ブルックリン・ウィーヴァー
リザ・アジズ
ジョーイ・マクファーランド
クリスチャン・マーキュリー
ジョー・ガッタ
ジェフ・ワックスマン
製作:ジェニファー・デイビソン・キローラン
レオナルド・ディカプリオ
ライアン・カヴァナー
リドリー・スコット
マイケル・コスティガン
撮影:マサノブ・タカヤナギ
音楽:ディコン・ハインクリフェ
キャスト:
クリスチャン・ベール ラッセル・ベイズ
ウディ・ハレルソン ハーラン・デグロー
ケイシー・アフレック ロドニー・ベイズ・ジュニア
フォレスト・ウィテカー ウェズリー・バーンズ
ウィレム・デフォー ジョン・ペティ
ゾーイ・サルダナ レナ・テイラー
サム・シェパード ジェラルド“レッド”ベイズ
トム・バウアー ダン・ダガン
ボイド・ホルブルック 刺青の男
この映画はクリスチャン・ベール
サム・シェパード(ブログではヴィゴの事をよく書きますが、
私が一番好きな俳優・アーティストはサムで、次がヴィゴです。)
ケイシー・アフレック
この私のお気に入りの3人の共演というだけでも、
鼻血が出そうに嬉しくて、
この作品の紹介記事は1年以上前の昨年8月15日に書いています。
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この映画の舞台はアメリカ北東部の
ペンシルべニア州のブラドック。
製鉄の町でしたがアメリカの鉄鋼業が衰退し、
ブラドックは1988年に
財政に困窮している自治体に指定されました。
2005年に市長になったジョン·フェッターマンは、
若者と芸術のプログラムを開始しました。
町を活性化するためにアーティストやクリエイターを誘致する
「クールなアメリカの市長」とニューヨーク・タイムズや、
イギリスのガーディアン誌で紹介されました。
その記事を読んだ監督のスコット・クーパーは、
ブラドックを訪問し、
この映画がインスパイアされました。
あらすじ。
ブラドックに住んで製鉄所で真面目に働き、
恋人のリナ(ゾーイ・サルダナ)との
ささやかなひと時に安らぎを感じている
兄ラッセル(クリスチャン・ベール)は、
製鉄所で働ていたことが原因で
重病になってしまった寝たきりの父を気遣い、
イラクに何度も派兵されて、
怪我もし、精神的にも傷を負った
弟のロドニー(ケイシー・アフレック)が、
ギャンブルのために借金を重ねて、
真面目に働く気がなくなっていることを心配し、
こっそり借金の返済もしてやっています。
ある日酒場でロドニーと待ち合わせをしますが、
ロドニーは現れず、
ラッセルは帰ります。
その帰り道に思わぬ自動車事故を起こしてしまいます。
酒気帯び運転の死亡事故だったため、
刑務所に収監されます。
収監中に父は亡くなり葬式にも出られませんでした。
また弟ロドニーは、
街の顔役ジョン(ウィレム・デフォー)との
関わりを深めてしまいます。
ラッセルが出所してくると、
リナは警察署長のバーンズ(フォレスト・ウィテカー)と
付き合っていました。
ラッセルは諦めきれず復縁を迫りますが
彼女はバーンズの子を妊娠していました。
ロドニーはジョンの仲介で
闇拳闘のファイターをしていました。
ある日ロドニーは
もっと大金の稼げる闇拳闘で八百長試合をして、
借金を帳消ししてもらおうと、
ジョンも借金をしていた大物のワル
デグロート(ウディ・ハレルソン)の
主催する闇拳闘に出場したいとジョンに迫ります。
デグロートの縄張りは州堺を越えた山岳地帯で、
警察も手を出せないような無法地帯でした。
ジョンは危険だと反対しますが、
ロドニーは1度だけだから何とか交渉してくれと
ジョンにしつこく頼みます。
結局デグロートに掛け合ってもらい、
苛酷な闇拳闘の八百長試合に参加します。
ロドニーとジョンは行方不明になり、
警察の捜査があてにできないラッセルは、
おじのレッド(サム・シェパード)と、
自力でロドニーを探し始めます。
このあらすじ、
最後の方はぼやかして書きました。
以前は結構色々な作品の試写会に応募していましたが、
なかなか当たらないし、
しばらく応募もしていませんでした。
しかしこの作品は1年以上前に紹介しているくらいで、
日本公開を心待ちにしていましたから、
試写会でいち早く観られたらとても嬉しいなあ。
そういえば今迄、娘の名前で当選したことの方が多いな。
と、色々なサイトなどの募集に、
全部2人ずつの名前で応募しました。
案の定娘の名前で当選ハガキが来ました(^o^;)
でも娘もこの作品は観たいと言っていたので、
喜んでいました。
とにかくこの作品は男臭いですよ!
キャストは芸達者ばかり、
しかもオレがオレがと主張するタイプではないので、
芝居のアンサンブルが素晴らしいです。
日本人の撮影監督マサノブ・タカヤナギ氏の
カメラも臨場感があり素晴らしかったです。
私は観て満足でした。
主人公がクリスチャン・ベールで、
社会派なクライム・サスペンス。
今回は異常に痩せたり、太ったり、
ヒーロー系マッチョにしたり、
頭髪を抜いたり、歯並び変えたりしていません。
劇中で収監中に痩せたという感じは
出していましたが、
派手な肉体改造はしていません。
地方の製鉄所の労働者感出すために
眉毛を太くし(コリン・ファレルにはまだ負けてる)
髪形はもっさりした雰囲気にしています。
彼はアメコミヒーロー・バットマン
(ブルース・ウェイン)を演じ、
T4ではジョン・コナーも演じているのに、
あのヒーローを演じたスター俳優!と言うよりも、
役作りのためなら過激な肉体改造もする、
演技派俳優という認識をされていると思います。
TVで子役もし、
映画デビューはスピルバーグの『太陽の帝国』の
主人公ですが、
アメリカ人のハリウッドの子役たちが
親やエージェントの金儲けに利用され、
身を持ち崩してしまったりするのと違い、
彼はイギリス人であるため、
イギリスで学業に専念した時期があります。
ハンサムだけど目立つイケメンではないし、
それをウリにはしていない。
チャリティー活動には熱心ですが、
派手なハリウッド・スターとは
一線を画してプライベートは地味。
やはり信頼できる演技派俳優としての地位を
確立しているといえるでしょう。
今回のラッセル役も、
私の先入観があるとしても、
アメリカン・マッチョな自警意識の体現者には見えませんでした。
まあ、アメリカ人の視点では違うのかもしれないのですけど。
子どもの頃に母を亡くし、
面倒をよく見て心配してきた、
弟への愛情からの兄の復讐劇で、
自警意識の称揚は
この映画のテーマではありません。
現代の『ディア・ハンター』でイイじゃん!
これが私の率直な感想。
『ディア・ハンター』に比べたら、
出ている人たちのオーラが違う、
衝撃度も重さも違うということになりますが、
アメリカが抱えた現代社会の負の部分を、
クライム・サスペンスとしてまとめた佳作です。
クリスチャン・ベールの希望だったとのことで、
この嬉しい共演が実現!
どうやってこの体を作っているのだろう?ってことじゃなくf^_^;
闇拳闘の試合はリアルでしたよ!
(ファンの方ごめんなさい)
役柄で見せるケイシーの捻くれた感じ、
捨てられた子犬のような目がたまりません。
2人で行動する場面が多くて嬉しかった。
『MUD』もサム・シェパードはなぞの男役で渋くて
出番も多く嬉しかったけど、
本作のレッド叔父さんの方が自分的には、
静かな格好良さに見とれちゃいましたね(^_^)v
始めワルの顔役に見えますが、
上には上がいて...
ワルな役。
ヤバイ実体験が役立っちゃってるんじゃないの?
という迫力のシーンがあります。
酒場のバーテンダー、ダン(トム・バウアー)
正直言うとこの街にリアルにいそうなのはトム・バウアー。
また、無法地帯でワルの元締めしてそうなナチュラル感は、
ウディ・ハレルソン。
今回は基本的に疲れている雰囲気が良かったです
『ケープ・タウン』も観てないのですが、
今回のフォレスト・ウィテカーの演技は、
久々にグッときました。
『ラストキング・オブ・スコットランド』以来かな(苦笑)
出番は多くないですが、
『大統領の執事の涙』の演技より私は良かったです。
クリスチャン・ベールにゾーイ・サルダナとの
関係を認めて欲しいと語る時のフォレスト・ウィテカー、
静かでグッと来る芝居が良かったですね。
クリスチャン・ベールの反応も大人の男です。
クライム・サスペンスといっても
派手さはありません。
結局アメリカン・マッチョな
自警意識の伝統的を引き継いだ作品じゃないかという判断もされ、
アメリカでは批評家ウケもあまり良くありませんでした。
豪華なキャストといってもこれは超渋好み。
エクスペンダブルズのような派手なキャストではないし、
豪快なアクションもありません。
テーマも不況、イラク戦争、どうにもできない喪失感と、
アメリカの影の部分を描いているためか
観客の支持もあまり集まらず、
アメリカではヒットはしませんでした。
興行収入だけでは製作資金の回収も厳しいのでは?
という気がしないでもない模様...
一般公開は9月27日より。
全国のシネコンでかかります。
日本での宣伝では、
監督の知名度が低い場合、
プロデューサーに有名人が入っていると
やたらデカデカと宣伝に使いますよね。
「プロデューサー・ブラッド・ピット!」とか。
『ファーナス 訣別の朝』は、
レオナルド・ディカプリオとリドリー・スコットが、
プロデューサーに入っているからと
観に行く人がいるのだろうか?
(クレジットはされていませんが、
亡きトニー・スコットもプロデューサーです)
私は素直に『クレイジー・ハート』の
スコット・クーパー監督の新作で、
渋くてカッコイイ演技派俳優たちの
的確な仕事が観られる
クライム・サスペンス。
大人な映画で
見応えありますよ!
と、おススメしたいですね。
まあ、キャストからも
明らかに若い人向けではないですが、
娘も楽しみにしていたので喜んで観てました。
ちらっと本作の感想を書いている
ブログ記事を探して読んでみましたが、
私が抑えた演出と演技で、
現実感が出ていていいな
と思った個所について、
その記事では、
ことごとくこうすればもっと面白かったと、
注文を付けていました。
その人の恋愛観については
幼くてそれはないだろうと思いましたが、
こういう見方もあるんだあと思いました。
前の記事で書いた、
『郊遊 ピクニック』では、
他の人のブログ記事を読んで、
こんなに解釈が違うのだと、
とても驚きましたが、
『郊遊 ピクニック』は、
説明や物語性を極限まで削ぎ落としているので、
観る人によって解釈の差は当然出てくるでしょう。
でも、『ファーナス 訣別の朝』のような、
分かりやすいエンタメ作品でも、
こんなに観方が違ってくるのだなあと思った次第です。
全体的には甘い所もいくつかあるのは事実で、
傑作・名作とは言えないでしょうけど、
キャストのアンサンブルは見応えあるし、
印象に残る良作とは言えると思います。
私は満足な1作でした。
みなさんもぜひ、
ご自分の目で観て確かめて下さいね。
クリスチャン・ベールがサム・シェパードと、
ウディ・ハレルソンの縄張りに入っていくこの場面で、
タトゥーがいっぱいな青年に、
薬が欲しいと声をかけます。
その青年がボイド・ホルブルック。
(『恋するリベラ―チェ』『ザ・ホスト 美しき侵略者』
『ゴーン・ガール』などに出演)
今回ほんとにチョイ役ですよ。
贅沢ですね。
ん~?なんで裸って!?何ででしょう(笑)
サマー・フェニックスとケイシー・アフレック夫妻の
ツーショット。
アウディの『ファーナス 訣別の朝』の上映会で。
もういちいち説明書きたくないのですけどね(^o^;)
サマーは、リヴァー、ホアキンの妹なので、
ケイシーはリヴァー、ホアキンの義弟になります。
ケイシーとホアキンはつるんで
お騒がせ映画も作ってマス。
ケイシー監督、ホアキン主演
『容疑者、ホアキン・フェニックス』
容疑者、ホアキン・フェニックス [DVD]/
ホアキン・フェニックス,アントニー・ラングドン,ジェイミー・フォックス
ジェフ・ブリッジスが、
アカデミー賞主演男優賞受賞した
スコット・クーパー監督の『クレイジー・ハート』
クレイジー・ハート [Blu-ray]/
ジェフ・ブリッジス,マギー・ギレンホール,ロバート・デュヴァル
『ファーナス 訣別の朝』の
ラストに流れるのはパール・ジャムの「 RELEASE」
この映画に感銘したボーカルのエディ・ヴェダーは、
ボーカルを新しく録音しました。
↓PEARL JAM - Out of the Furnace - RELEASE
渡部亮平監督応援しています
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