『シュガーマン 奇跡に愛された男』
マリク・ベンジェルール監督が自殺で亡くなる
オスカーを手にするマリク・ベンジェルール監督
マリク・ベンジェルール監督とロドリゲス
サンダンス映画祭で観客賞、審査員特別賞受賞など、
数々の映画祭でドキュメンタリー映画賞を受賞し、
2013年度のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞した、
『シュガーマン 奇跡に愛された男』(Searching for Sugar Man)の
マリク・ベンジェルール監督が
スェーデンのストックホルムで自殺して亡くなりました。
弟さんが「監督は短い間に憂鬱と戦っていた」
「人生はいつもシンプルではありません」と語りました。
映画に登場した南アフリカ・ケープタウンのレコード店主、
スティーヴン・セーガマンさんは、
「監督が亡くなった知らせをなかなか受け入れられなかった。
監督は本当に素敵で魅力的な人で、タンタンのようだった」
と語っています。
下の記事にも書いていますが、
監督はドキュメンタリーの良い題材を探すために、
南米とアフリカを旅する中で、
ケープタウンでロドリゲスの話を聞きます。
世界中を冒険するタンタンのような
好奇心いっぱいで魅力のある青年だったのでしょう。
これから下で紹介する動画でも
とても気さくな好青年だと分かります。
まだ若いのに、本当に残念です。
ご冥福をお祈りします。
↓昨年のアカデミー賞授賞式でベン・アフレックから
オスカーを受け取りスピーチするマリク・ベンジェルール監督
↓1.99ドルのiPhoneのアプリがこの映画作りを救ってくれたと、
説明するベンジェルール監督。
↓ロドリゲスとインタビューを受けるベンジェルール監督。
ベンジェルール監督の音楽ドキュメンタリー動画も貼ってありますので、
私の昨年書いた『シュガーマン 奇跡に愛された男』の記事を、
編集して再掲します。
『シュガーマン 奇跡に愛された男』
スウェーデン・イギリス合作映画 2012年製作
2013年日本公開
浜松シネマイーラで鑑賞
↓予告動画はこちら
監督・製作・撮影・編集:マリク・ベンジェルール
製作:サイモン・チン(イギリスの映画プロデューサー。
2009年第81回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した
『マン・オン・ワイヤー』のプロデューサー)
アメリカでデビューした後、
南アフリカで局地的に支持された伝説のシンガーソングライター、
ロドリゲスの数奇な運命をひも解くドキュメンタリー。
1970年、著名な音楽プロデューサーに見出され、
アメリカでメジャーデビューした
メキシコ系シンガーソングライターのロドリゲス。
2枚のアルバムをリリースし、
一部で高い評価を得るもののアルバムはまったく売れず、
そのまま音楽シーンから姿を消す。
しかし70年代後半、ロドリゲスのアルバムは
アパルトヘイト時代の南アフリカへ渡り、
「シュガーマン」をはじめとする楽曲が、
抵抗運動を続けていたリベラル派の若者たちから熱狂的に支持されていた。
(映画.COMより)
これは素晴らしいドキュメンタリーです。
上の紹介にあるように、
ロドリゲスはアメリカでは全く売れなかったのに、
南アフリカでは大ヒットしましたが、
「ステージで拳銃自殺した」などの噂が独り歩きしていました。
南アフリカの熱心なファンがロドリゲスの消息を探しますが、
見つかりません。
というのが前半で、
後半はネットの恩恵でロドリゲスの消息を尋ねるHPを見た、
彼の娘が連絡をしてきて事態は急展開します。
ここから先はネタバレあります。
ロドリゲスは生きていて、
解体作業及び清掃をする労働者として働いていました。
3人の娘もいました。
この娘たちの子ども時代には図書館や美術館へ連れて行き、
本物の芸術に触れさせて育てました。
市議会議員に立候補もしていました。
消息がつかめたので、
南アフリカに呼ばれ、凱旋コンサートをして、
熱狂的に受け入れられました。
でもミュージシャンに復帰して
お金儲けをしようという気など
さらさらない彼は労働者として働き続けている。
というロドリゲスの人生を追った内容でした。
ロドリゲスの真面目に肉体労働の仕事に
打ち込んできた姿、
真摯に生きてきた様子が、
娘たちの口から語られました。
「誠実に生きる」ということを考えさせられる、
素敵なドキュメンタリー映画でした。
監督のマリク・ベンジェルールは、
スウェーデン人(母がスウェーデン人、父がアルジェリア人。
1977年スウェーデン生まれ)
ミュージシャンとして活動した後、
ストックホルムを拠点に音楽ドキュメンタリーなどを製作してきました。
ビョーク、スティング、エルトン・ジョン、ロッド・スチュワート、
マドンナ、U2、カイリー・ミノーグ、プリンス、クラフトワークなど、
有名ミュージシャンのドキュメンタリーも製作しています。
彼は2006年によい題材を探すために、
アフリカと南米を旅して、
ケープタウンで、ロドリゲスの話を聞き、
5年かけてこの映画を作りました。
労作で、とても見応えのある作品です。
オスカー受賞後、監督とトーク番組に出演して歌うロドリゲス。
カッコイイです。
↓マリク・ベンジェルール監督のクラフトワークのTVドキュメンタリー
↓同じくU2のドキュメンタリー
↓同じくスティングのドキュメンタリー
ロドリゲスとマリク・ベンジェルール監督
合掌
シュガーマン 奇跡に愛された男 DVD/
ロドリゲス
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