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抱きしめたい―真実の物語―感想 塩田明彦監督復活!北川景子、錦戸亮、風吹ジュン、國村隼、窪田正孝

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抱きしめたい―真実の物語―
2014年製作
日本映画
TOHOシネマズ浜松で鑑賞







↓予告動画


この映画の元になった、
HBC北海道放送制作 
テレビドキュメンタリー「記憶障害の花嫁 最期のほほえみ」ダイジェスト




監督: 塩田明彦
脚本: 斉藤ひろし
    塩田明彦
音楽: 村松崇継
主題歌:安室奈美恵 『TSUKI』

キャスト:
北川景子 つかさ
錦戸亮  雅己
上地雄輔
斎藤工
平山あや
佐藤江梨子
佐藤めぐみ
窪田正孝
寺門ジモン
角替和枝
國村隼
風吹ジュン

高校生の時に交通事故に遭い、奇跡的に一命は取り留めたものの車椅子生活を余儀なくされ、前日のことも忘れてしまうという記憶障害を抱えて生きる女性つかさ。それでも生来勝ち気な彼女は、めげることなく明るく前向きに人生を歩んでいた。そんなある日、タクシー運転手をしているごく平凡な青年・雅己と出会い、2人は恋に落ちる。やがて、いくつもの困難に直面しながらも互いの愛を貫いていく2人だったが…。
(allcinema より)


この映画はノーマークでした。
昨年秋頃から何本も公開されていた、
順列組合せのようなキャスト!?の
似たような題名で覚えられない系の映画かな~くらいの印象...
どんな映画か調べようともしてませんでしたf^_^;
私はシネコンで予告を殆ど見ないです。
時間がもったいないのと、
同じ作品の予告を何度も見たくないから。
日本未公開の新作映画などのトレーラーを
ネットで見るのは好きなのですけど。

観る予定にも入れていなかったのです。
ところが、月額購読料315円払って読んでいる、
週刊WEBマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」で、
[殺しの映画レビュー] 『抱きしめたい -真実の物語-』
-北川景子のベストアクト、塩田明彦復活の一本
←クリック
の記事がUPされたので読んでみたら、
あっ!これが塩田監督の久々の長編映画だったんだ!
と、気付いた次第です。
しかも辛口レビューする柳下さんが褒めている。
これは、観なくちゃいけないでしょ、と観た次第。
『どろろ』2007年以来7年ぶり!の長編。
どろろ(通常版) [DVD]/
妻夫木聡,柴咲コウ,瑛太,麻生久美子


(短編は『世界』(2011年)《311仙台短篇映画祭映画制作プロジェクト作品
『明日』の一編》がありました。
これは、観ました。)

王道ラブロマンスもの、泣かせ映画は後回しで、
一番観ない分野な私ですが、
好きな監督が撮った作品ならば観るのですね。
『余命1ヶ月の花嫁』も、
廣木隆一監督だから観ました。
でも、昨年『だいじょうぶ3組』は試写会当たったので観ましたが、
このところ廣木監督の映画に縁がなく『軽蔑』以降観ていません。
廣木監督はもう泣かせ映画はやめにして欲しいなあ。
『アントキノイノチ』も、
瀬々敬久監督だったので観ました。
瀬々監督は『ヘヴンズ ストーリー』を、
シネマイーラで上映した時舞台挨拶に来てくれて、
お話したことありますが、
シネマイーラに来た時の様子をブログに書かれていて、
私と娘のことも書いて下さっていたのが嬉しかったデス。
『余命1ヶ月の花嫁』『アントキノイノチ』も、
『抱きしめたい』も、プロデューサーは、
TBSテレビの平野隆氏。ヒットメーカーです。
山田洋次、三池崇史、塩田明彦、
滝田洋二郎、飯田譲治、中島哲也
瀬々敬久、SABU、黒沢清といった
個性的な監督の作品を多く手掛けています。
塩田監督とは『害虫』以降のコンビです。
『余命1ヶ月の花嫁』『アントキノイノチ』『抱きしめたい』も、
これ、王道の泣かせ映画ですね。
私は得意な分野ではありませんが(苦笑)
『抱きしめたい』が一番出来が良いと思います。

塩田監督がパンフに
{『抱きしめたい―真実の物語―』に込めたもの。}
という一文を書いています。
監督はつかささんのお母さん、雅己さん、雅己さんのご両親の
話をよく聞いて脚本を書いています。
その中に、
「人の不幸をこれみよがしなお涙頂戴話に仕上げて、
観客の皆さんに心地よく涙を流してもらって終りな
映画には絶対にしたくなかった。
誰かが、確かに生きていたことの証になる映画。
「生きること」についての映画にする。
一人の女性の「死」を描く映画にはしない。
ありきたりの「感動映画」にしない。
そう決意し、注意しながら、
約二年間この映画作りに没頭してきた。」
ということを書いています。(まとめは私)

この映画は本当にこの監督の思いが大切に映像化されています。
俳優たちの話すセリフに頼らず、
映像で語っています。
つかささんがノートに書き残した言葉のテロップを
使うのはクサイ演出ですけど、
役者にクサイ演技をさせるよりは、
分かりやすいし、あっさりしていて良いのかもしれません。
主演の2人の演技が上手い訳ではないですが、
それを補う演出の妙がそこここにあります。
そして演技力のある主演以外の俳優さんたちの
仕事は本当に素晴らしいです。

上に貼ったドキュメンタリー番組のダイジェストを見るだけでも、
グッと来ますよ。
おそらくこのドキュメンタリー番組を見た人は、
ドキュメンタリー番組の方が泣けた、
感動したと言われるでしょう。
でも、映画は親子の愛、夫婦の愛、
友人や仲間たちとのつながりなどを、
フィクションの映像で語ることできちんと
観客の心に届くよう描いているのです。
そうでなければ映画化する意味がありませんからね。

この映画にはつかささん以外にも障碍のある人たちが出てきます。
実在のつかささんは、
「完璧」なバリアフリーなんてなくていい。
誰かの手を少し借りるくらいでないと、
人の温かさが感じられなくなるから。
と、言われていました。
この映画はその温かさも描いています。

とにかく出色なのが、
感動を煽らない抑えの効いた演出です。
コメディー調でテンポも良いです。
先程書いたテロップの使用や、
煽り入ったクサイ場面もありますけど、
はっとする暴力的な笑いやギャグ、
実験的な長回しシーンを入れてみたり、
俳優のライブな身体感覚を取り入れた演出など、
塩田監督はヒットさせなければならないテレビ局制作のジャニ映画で、
妥協する部分は飲み込んで、
自分のやりたいストーリーテリングと演出を随所に織り込んで、
総合的に質の良いエンタメ作品にしています。
錦戸亮の身体性が活かされているし、
北川景子の「整形」疑惑!?さえ、
笑いのネタに転化していたり、
障碍者お笑いコンビの脳性マヒブラザーズの使い方も、
これ、なかなかスゴイです。
子どもの自然な使い方撮り方もとても上手いです。
始め北川景子が流暢にしゃべりすぎてるんじゃないかと
思って観ていましたが、
これは、終盤のつかさのリハビリ中の演技を際立たせるためなのか。
と、納得してしまいましたよ。

音楽は浜松出身の村松崇継(むらまつたかつぐ)
彼は作曲家でピアニスト。
コンサートには何度か行ったことがあります。
作曲家としては大学在学中に映画『狗神』でデビュー、
史上最年少でNHK朝ドラ『天花』の音楽を担当しました。
既に50本以上の映画、ドラマ、舞台の音楽を担当しています。
主張しすぎない音楽で作品世界に色を添えています。
安室のテーマソングはタイアップで仕方ないのでしょう。
でも、まあ我慢できない程のちぐはぐさは感じませんでした。

つかさの母の風吹ジュン、
雅己の両親の國村隼、角替和枝が
とてもイイ味出して若い2人の演技を支えています。
特に私は娘を持つ自分の立場もあり、
風吹ジュンの演技にはグッと来るものがありました。
上地雄輔は相変わらずクサイいですが、
コメディーリリーフ的にはよいのかも。
窪田正孝くんが地味だけどイイ役を上手く演じています。
斎藤工くんがなかなか出て来ないんですよ。
待っててくださいね。
他にホントにチョイ役の人も上手い役者使っています。

『抱きしめたい』は、大傑作で絶対に見逃せない作品
とは言えないけど、
泣き映画としてはかなり上質です。
ちなみに私は泣けませんでしたが、(スミマセン)
良い映画を観たなあという充実感がありました。
何より塩田監督7年ぶりの長編映画復活作として成功していて、
記憶に残ると思います。

柳下さんのレビューはホントに的確で面白く、
こんなの読んでしまったら、
自分の感想なんて恥ずかしくて仕方ないですが、書いてみました。
柳下さんは、
『つかさの死さえも愁嘆場にしない節度こそが上品な映画を生みだしたのだ。
もって世の「泣ける映画」の範としてほしいところ。』
と、結んでいます。
「泣ける映画」が必要ない方も、
塩田監督復活映画として、
チェックしておいて、損はない映画です。
勿論、私の様な捻くれ者はいけませんがσ(^_^;)
素直な心で見たら泣ける映画なのだと思います。
ヒットしているようなので、
『どろろ』のミソは流せるのではと期待(笑)
塩田明彦監督がまた意欲的な映画作りができるといいなあ。

塩田監督の作品は
『黄泉がえり』が一番メジャーで
知られているでしょうか。
黄泉がえり スタンダード・エディション [DVD]/
草ナギ剛,竹内結子,石田ゆり子

『この胸いっぱいの愛を』なんて、
ちょっと恥ずかしい題名の映画もありました。
この胸いっぱいの愛を [DVD]/
伊藤英明,ミムラ,勝地涼



以下は私がおススメしたい作品です。
『カナリア』
カナリア [DVD]/
石田法嗣,谷村美月,西島秀俊


『害虫』
害虫 スペシャル・エディション [DVD]/
宮崎あおい,田辺誠一,蒼井優


『どこまでもいこう』
どこまでもいこう [DVD]/鈴木雄作,水野真吾,芳賀優里亜


『ギプス』
ギプス [DVD]/
佐伯日菜子,鈴木一博,手塚とおる


『月光の囁き』
月光の囁き ディレクターズカット版 [DVD]/
水橋研二,つぐみ,草野康太







本物のつかささんと雅己さん


『かしこい狗は、吠えずに笑う』

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25歳衝撃の才能ビックリマーク
渡部亮平監督応援していますビックリマーク
ぜひ、お近くの映画館にリクエストして下さいビックリマーク


新潟 シネウィンド

2014年3月8日(土)~



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