『旅立ちの島唄~十五の春~』
浜松シネマイーラで鑑賞
2012年製作
日本映画
8月30日(金)まで
↓予告動画はこちら
監督:吉田康弘
出演:三吉彩花
大竹しのぶ
小林薫
早織
立石涼子
山本舞子
照喜名星那
上原宗司
手島隆寛
小久保寿人
日向丈
松浦祐也
若葉竜也
ひーぷー
普久原明
『グッモーエビアン!』の好演が記憶に新しい若手女優、
三吉彩花の初主演作。
沖縄本島から東へ360キロにある絶海の孤島・南大東島で生まれ、
島に高校がないために15歳で親元を離れて暮らさなければならない少女の
“旅立ちの時“を描き出す。
南大東島の現実を徹底的にリサーチし、
感動のドラマを作り上げている。
共演は大竹しのぶ、小林薫ら。
沖縄の南大東島で暮らす中学3年になったばかりの優奈の母は、
兄や姉の進学時にひとり那覇に渡ったまま戻ってこなかった。
優奈は、さとうきび農家を営む父と暮らしていたが、
1年後の高校進学の時には父をひとり残して那覇に行くため、
罪悪感を感じていて……。
(ぴあ映画生活より)
あなたの街から360kmは?
南大東島
南大東島は約110年前までは無人島で、
1900年に八丈島からの開拓者23人が上陸して、
開拓しました。
1820年にロシアの艦船ボロジノ号が、
大東諸島を発見したので、
別名は「ボロジノアイランド」。
沖からの波が高く、船を接岸するのが難しいため、
クレーンで四角い籠のようなものを吊り上げて、
人や物資を運びます。
その様子が映画の中でも描かれます。
子どもたちが15歳で旅立つ、というのは、
この島のような環境になければ
今の世の中ではなかなかないことだと思います。
早く自立して大人にならなければならないのです。
その大きな節目となる14歳から15歳の1年間を
短い撮影期間で(島での撮影は2週間くらいだったそうです)
よく表現したと感じました。
三吉彩花は色白のキレイな女の子で、
ちょっと南大東島の少女っぽくないかな~感が無きにしも非ずですが、
少女のイノセントな存在感があり、
優奈役に合っています。
母親役の大竹しのぶは、
島に帰ることができない難しい心情を、
上手く表現しています。
父親役の小林薫はさすがの存在感で、
島に一人残る寡黙な男を好演しています。
言葉でなく目や表情、存在感で多くを語る芝居です。
「子どもは親を選べないのだから、
親が子どもを守ってやらなければならないんだ。」
という、彼のセリフは、
小林薫演じる寡黙で実直な男が言うからこその説得力があって、
ジンときました。
優奈と文通し、遠距離恋愛する北大東島の少年は、
優奈と同じ沖縄本島の高校進学を予定していたのに、
家庭の事情で島に残って家族を支えなければならなくなり、
高校進学を断念します。
優奈との別れは切なすぎる描写で、
可哀想だなあと思いました。よい子なのに気の毒でした。
だだ郷愁を掻き立てるだけの話にせず、
厳しい現実の中でのリアルな成長物語になっていて
好感を持てます。
もちろん、大東の自然の風景も素晴らしいです。
南大東島には地形的に波が高く浜は岩場のためビーチはなく、
この写真のような海水のプールがあります。
この写真のような海水のプールがあります。
大東島の新垣民謡教室に通う小中学生がメンバーの民謡グループ
「ボロジノ娘」の卒業コンサートで優奈が1人で歌う、
「アバヨーイ」が作品のクライマックス。
↓南大東島出身の内里美香さんが歌う「アバヨーイ」
エンディングに流れるBEGINが書き下ろした、
主題歌「春にゴンドラ」は、お手盛りのタイアップ曲ではありません。
監督がクランクイン前にBEGINの3人に会い、
「ザ・沖縄」という映画ではなくて、
沖縄の方が納得するような映画にしたい、
リアルな曇り空の沖縄を映画で表現したいと、
どんな映画になるかをきちんと伝えて、
作ってもらった曲です。
「アバヨーイ」は旅立つ側の曲ですが、
「春にゴンドラ」は見送る側、旅立つ側
両方の思いがこもった曲になっていて、
ラストシーンにぴったり合っている素敵な曲です。
(パンフ参照)
↓映画のシーンを使った「春にゴンドラ」のMVです。
大人気のNHK朝ドラ「あまちゃん」も海がテーマになっていますが、
騒々しい「あまちゃん」とは真逆で静かな『旅立ちの島唄~十五の春~』
どちらも少女の成長物語。地元、家族がテーマです。
見比べてみるのも興味深いと思います
そういえば離島が舞台の映画『渾身』←リンクあり
も今年観ました。
私は『旅立ちの島唄~十五の春~』の方が好みです。
この映画はぜひティーンにも見て戴きたいです。
シネマイーラには一番いない客層なんですが...(_ _。)
(うちの娘は観ました)
吉田康弘監督は井筒和幸監督の見習いを経て
『ヒーローショー』『黄金を抱いて翔べ』
では、脚本を担当しています。
石田卓也、大竹しのぶ主演『キトキト』(07年)で監督デビュー。
今公開中の、「あまちゃん」種市先輩役の福士蒼汰主演、
『江ノ島プリズム』も監督しています。
これからが楽しみな若手監督です。
インディー映画に欠かせない人、
小林薫が出演している
『夏の終り』(熊切和嘉監督、満島ひかり、小林薫、綾野剛
瀬戸内寂聴原作)
が、シネマイーラで8月31日(土)よりロードショー公開です。
小林薫はまた本作と違った魅力を見せてくれるはずです。
ぜひ、両方の作品を観て戴きたいです。
『夏の終り』がますます楽しみになってきました
↓『夏の終り』予告動画
また、予定と違う記事を書いてしまいました...m(_ _ )m
『旅立ちの島唄~十五の春~』素敵な作品です。ぜひご覧くださいね
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