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セディック・バレ 第二部 虹の橋 感想/怒涛の展開、悲劇の第二部にも感動安藤政信、ビビアン・スー

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『セディック・バレ 第二部 虹の橋』
Warriors of the Rainbow II: Rainbow Bridge 賽德克.巴萊[下]:彩虹橋
浜松シネマイーラで鑑賞

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予告はこちら↓



なかなか見応えのあるメイキングです目
大変な規模で作られた作品であることがよく分かります。
『セデック・バレ』ジョン・ウー(プロデューサー)のコメント&メイキング動画↓


監督・脚本:ウェイ・ダーション
製作:ジョン・ウー
   テレンス・チャン
   ホアン・ジーミン
プロダクションデザイン:種田陽平

出演:リン・チンタイ   モーナ・ルダオ(壮年)
   マー・ジーシアン  タイモ・ワリス
   安藤政信      小島源治
   河原さぶ      鎌田弥彦
   ビビアン・スー   高山初子(オビン・タダオ)
   ダーチン      モーナ・ルダオ(青年)
   木村祐一      佐塚愛佑
   春田純一      江川博道
   シュー・イーファン 花岡一郎(ダッキス・ノービン)
   スー・ダー     花岡二郎(ダッキス・ナウイ)
   ルオ・メイリン   川野花子(ナビン・タウイ)
   ランディ・ウェン  マホン・モーナ
   ティエン・ジュン  タダオ・モーナ
   リン・ユアンジエ  パワン・ナウイ
   田中千絵      小島の妻

1930年、日本統治下の台湾で起こった
先住民族セデック族による抗日暴動
「霧社事件」を描いた歴史大作2部作の後編。
セデック族の決起部隊が学校を襲撃し、
女子どもの区別もなく多くの日本人の命が奪われる。
これを鎮圧するため日本軍が直ちに出動するが、
山岳地帯の地の利を知り尽くしたセデック族の前に苦戦を強いられる。
しかし、圧倒的な武力で徐々に形勢は日本軍に傾いていき、
セデック族の戦士たちはひとりまたひとりと命を落としていく。
監督は「海角七号 君想う、国境の南」のウェイ・ダーション。
製作にジョン・ウー、テレンス・チャンらも参加。

『セデック・バレ 第一部 太陽旗』感想/想像以上のド迫力!←クリックで第一部の感想記事ビックリマーク

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霧社事件とは?

1930年10月27日に台中州能高郡霧社(現在の南投県仁愛郷)で起こった
台湾原住民による日本統治時代後期における最大規模の抗日暴動事件。
霧社セデック族マヘボ社の頭目モーナ・ルダオを中心とした
6つの社(集落)の男たち300人ほどが、
まず霧社各地の駐在所を襲った後に
霧社公学校で行われていた小学校・公学校・蕃童教育所の連合運動会を襲撃。
日本人のみが狙われ、約140人が殺害された。
現地の警察には霧社セデック族の警察官が2名おり、
彼らは事件発生後にそれぞれ自殺。
その後の日本軍の反攻により、蜂起した6社の約1000人が死亡し、
生存者約550人は投降した。

「台湾原住民」とは、17世紀頃の福建人移住前から居住していた、
台湾の先住民族の正式な呼称。
中国語で「先住民」と表記すると、
「すでに滅んでしまった民族」という意味が生じるため、
この表記は台湾では用いられていない。
現在では憲法で「原住民族」と規定されている。
(公式HPより)

ということで、
第二部ではさらに壮絶な戦いと、怒涛の展開、
セディックの人々の悲しい運命が描かれていました。
悲壮な最期、誇りを捨てないセディックの姿に感動しました。
ウェイ・ダーション監督は、
ジョン・ウー・プロデューサーの言うことも聞かず、
時代考証にこだわったセットを作ったり(日本の種田陽平美術監督が
スタッフを日本から引き連れて行って参加)
リアルさを求めた山中での撮影をして、
資金が途中でなくなり、
撮影を中止して資金繰りに回り、
撮影再開して作り上げました。

監督は台北で原住民の人たちが「自分たちの土地を返せ」
とデモをしているのを見て興味を持ち、
原住民のことを調べてみようと思い、
台湾の教科書にも2~3行しか書かれていないという霧社事件について、
描かれた漫画を見つけて、
事件の背景には色々な事柄があるのに驚き、さらに調べました。
これは絶対に映画にしたいと脚本を書き始めましたが、
どう描いたらよいのか大変悩み、
広い視野で捉え、文化と信仰の衝突という描き方にしました。
太陽(日本)と虹(セディック)をそれぞれ信仰する者たちが、
山中でぶつかったという描き方です。
今の時代に生きる観客が理解し受け入れてくれる作品にするためには
どうしたらよいかにもっとも心を砕いたそうです。
脚本は1999年には書き上げられていました。

撮影中の一番の苦労はセディック族の裸足で、
工夫をしても300人の出演者でケガをしなかった人はいなかったそうです。

戦闘シーンでのアクションは、
セディックの狩人、ハンターの動きということを第一に考え、
韓国のアクションチームと綿密にコミュニケーションを取って、
美しく見えるかなどは排除して、獲物をどう捕らえるのかという、
ハンターの動きにこだわって作り上げたそうです。

プロダクションデザインについては、
原住民の町、日本人が作った町、漢民族が作った町の3種類を作りたいと、
種田陽平氏に監督が話したら、種田氏はすぐに意図を理解してくれて、
「日本人の町も日本にある日本人の町ではなく、
台湾にある日本人の町を作ろうと」言われたそうです。
時代考証が素晴らしく、台湾の建築も理解したうえで作ってくれたので、
その仕事ぶりには台湾のスタッフも影響を受けていたと
ウェイ・ダーション監督が語っています。

「台湾には日本の建造物も文化も残っているが職人がいないそうで、日本から美術部や塗装など15人以上のスタッフを連れていきました。更地に山を作る所から始まって、まるで黒澤明作品のようなスケール。でも映画の設計に合わせてランドスケープから造れたのは面白かった。スタッフには“セデック族の集落は『七人の侍』、日本人の町は『用心棒』だと思えば、1本の映画が数本分の体験が出来るぞ”と鼓舞しました」

「『 ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(原題) / The Flowers of War』で仕事をしたチャン・イーモウ監督が一言で皆を動かしてしまう黒澤明監督タイプなら、ダーション監督は自ら動く溝口健二監督タイプ。ダーション監督の執念が作品を引っ張った。良い指揮官だと想いますよ」(シネマトゥデイの種田陽平氏インタビューより)


日本でも人気のビビアン・スーが出演しています。
彼女自身が台湾先住民タイヤル族の血をひいているということもあり、
この映画への思い入れは深く、
ノーギャラでも出演したいと申し出て、
実際出演料は受け取らなかったそうです。
資金難に陥った時は資金援助もしたとのこと。
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日本人キャストも多数活躍しています。
安藤政信は3カ月かけてセディック語を習得し、
台湾へはマネージャーもつけず単身で撮影に参加しました。
迫力ある熱演でした。
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ウェイ・ダーション監督はセディックの人たちがこの映画を、
民族衣装を着て観に来てくれ、
「やっと私たちの物語、歴史、心情が理解された」
と、口々に言ってくれたのが印象的だったと語っています。

私はこの第二部のセディックの人々の壮絶な最期を見ていて、
もちろん胸が痛みましたが、
セディックの誇りをかけた戦いに胸が熱くなり感動しました。
私は『終戦のエンペラー』観て感動できるメンタリティーはないのですけど、
この『セディック・バレ』は自分の心にグッと来て、
胸が熱くなるその温度を自分で感じました。
そんなことは滅多にない体験です。

最後に河原さぶさんが呟く言葉についても、
私は締めくくりの言葉としてふさわしかったと思います。
監督の日本文化に対する敬意も込められていると感じました。

この映画は、台湾では計4時間30分の大作を前編、
後編と2部に分けて公開し、
初日興行収入で同国の過去最高成績を上げる大ヒット。
米アカデミー賞外国語映画賞の台湾代表にも選ばれた。
だがベネチアやトロント国際映画祭で上映された海外版は2時間30分に圧縮。
戦闘シーン中心で人物描写が浅かった。
ダーション監督は「ベネチアやトロントで上映したものは時間がない中、自分が納得しない編集のままで出品してしまった。帰国後すぐに編集をし直し、アカデミー賞やドバイに提出したのはニューバージョン。今回は人間ドラマを重視し、歴史的背景にも注意しながら編集したので、きっと日本人にも気に入ってもらえると思う」と胸を張った。
(シネマトゥデイより)

この、完全バージョンが日本で公開されているものです。
監督は日本ではぜひこの前・後編の完全バージョンで上映したかったそうです。
この映画が台湾でヒットしているという新聞記事を読んだとき、
これは日本での上映はあるのだろうかと思いました。
しかも私はちょっと苦手系だったロマンチックな
『海角七号 君想う、国境の南』の
ウェイ監督が監督しているなんて意外でした。
『海角七号~』の大ヒットがあって
この『セディック・バレ』も映画化することができたのです。
『私の頭の中の消しゴム』←見ていないですが...
のイ・ジェハン監督のガチな朝鮮戦争映画『戦火の中へ』
戦火の中へ [DVD]/チャ・スンウォン,クォン・サンウ,チェ・スンヒョン(BIG BANGメンバーT.O.P)


も、驚きましたが、
『セディック・バレ』はもっと驚きでした。
観ることができて本当に良かったです。

日本で例えばアイヌと和人の衝突、
シャクシャインの戦いやクナシリ・メナシの戦いを、
アイヌの視点から今日的な作品として映画化するなんてことは
ないと思うのです。
『セディック・バレ』ウェイ・ダーション監督の
一世一代の大仕事です。
これから上映される映画館もありますので、
機会があればぜひご覧ください目

私は映画を「この映画は客観的でバランスのとれた描写をしている」
という視点では評価しません。
(これは、あくまで私の評価の仕方ですよ)
映画の作り手が何を語りたいのか、
何を伝えたいのか探るのが、
映画を観る目的のひとつでもあるので、
難解な作品であっても、「分からない、つまらない」で、
絶対に済ませたくないのですね。
作品が何を伝えているか、
それが自分にとって心に響くものかどうかが重要です。
偏っているとかいないとか問題ではありません。
フィクションであれノンフィクションであれ、
ドラマであれドキュメンタリーであれ、
作品として送り出されている物はすべて、
作り手のフィルターを通っているのですから、
極論すれば偏っていない物なんてないのです。

評論家でもありませんし、
細かい分析を書こうとは思いません。
ただ、30年以上も映画をたくさん見て来て、
今更ありきたりのブログ記事にしたくないです。
特に私が単館系の作品を観るのは遅いことが多いので、
感想に速報的な意義はないですからね。
感想記事はなるべく、こんな風に観て面白かったという
物にしたいと思っています。

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ベネチア映画祭でのキャストのみなさん

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これはかわいいビビアン・スー


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